モデルYはテスラの5番目の車種として、日本では2022年6月に注文受付を開始、納車は9月からだった。それからまだ1年しか経っていないが、一番街で見かけるテスラではないかと思うくらいにヒットしている。ライバルと比較しながらその要因を探った。今回の[TET消費者派チェック]の概要はこちら。リーフの回はこちら。アイオニック5の回はこちら。
乗る前に考えたこと
ぶっちゃけどう違うの!? ミドルクラスEV・3車種をとっかえひっかえ乗ってみた![TET消費者派チェック]
「餅は餅屋」という言い回しがある。誰かに何かを頼むにあたっては、その専門家を訪ねるのがベストだ、という格言だ。
もう15年近く前のこと、ロータス・エリーゼのシャシーをベースとした電気自動車「テスラ・ロードスター」を日本自動車研究所テストコース(高速周回路)に持ち込んだ時、思い出したのはまさにこの言葉だった。「自動車は自動車屋にまかせなさい」と。一般路を誰もが快適なペースで走らせる限りはそこそこ軽快でも、全開加速ではまるで小船のようにノーズが浮いてしまい、フロントタイヤの接地感のなさに恐怖を感じたことを覚えている。
けれども最近になって思うことは、「電気自動車は電気自動車屋に任せるのがいいのでは?」ということだ。毀誉褒貶あるテスラだが、なにしろ彼らはずっと電気自動車のことしか考えていない。そうだからこそ生まれ得た長所をアーリーアダプターが見出し、世界に名を轟かせる存在になったのだろう。
電費
車重がジャスト2トンとリーフよりも320kgも重いにもかかわらず、電費は80km/hが8.8km/kWh、100km/hが6.7km/kWhと、3台中最も良い値だった。前面投影面積も小さい方ではないので、Cd値(空気抵抗係数)がリーフより0.05、アイオニック5より0.09も良い0.23と最小であることが奏功しているはずだ。
パッケージング
パッケージングは、今回の3台の中では圧倒的に優れている。唯一、後席の膝前スペースだけアイオニック5(26cm、ホイールベース3,000mm)に及ばなかった(22cm、ホイールベース2,890mm)が、それはホイールベースの差によるところが大きいはずだ。ホイールベースの差が110mmあるのに対し、膝前スペースの差がわずか4cmにおさまっているのは立派だ。
荷室も854Lと圧倒的に大きい。そしてBEV専業メーカーらしく最初からエンジンのことを考える必要がないので、フランク(ボンネット下の荷室)も大きく深く、容量117Lを確保していて圧勝だ。
テスラのフランクは、最初からそのためのスペースを想定して設計されているように思える。取ってつけたような空間ではなく、とても使い勝手がいい。これはリヤエンジン車のポルシェ911に通じるところがあり、だからこそ顔つきもちょっとポルシェと似ているのではないか。車体全幅に対しちょっとグリーンハウスを絞ってスポーティーさを強調していることは、絶対的なスポーツカー・ブランドを見習った結果であるような気がする。
運転してわかったこと
外観からはそれほどがっしりした印象に思えないのだが、実際に乗ってみると各部品の建て付けや足回りの剛性感に優れていることを感じる。ボディの裏側を覗くと、他社と異なり、モーターを覆いサスペンションの付け根となっている前後のサブフレームは、巨大なアルミの鋳物でできている。コスト低減にも効果的だというこの機構が、車体剛性の面でも威力を発揮しているのだろう。
加速力もいわゆるファミリーカーの範疇を超える強烈さだが、コントロールしにくいと思わせる部分はなかった。
デザイン的には突飛とも思えるサイズのモニターに、多数の情報を高解像度で並べる。ドライバーの目の前には何も遮るものがない。最近になって多くの既存自動車メーカーは小さめのモニターを横にいくつか並べることに腐心しているが、最初からEV世代であるテスラはそうした既成概念から逃れられているのだろう。
それぞれの寸評
田中誠司
すべてにおいて扱いやすく、見ていて刺々しさもなく、内外装はそこそこのクオリティ。白いボディカラーや内装色もあいまって、これは電気自動車界の無印良品なんだなという印象を受けた。そう考えると、最初モデルSやモデルXを作ってからモデル3、モデルYに降りてきた製品展開やブランディングは、順番が逆のようで面白くもある。
曽宮岳大
今回の3台のなかで、スポーティ感は一番強い。流線形のフォルムもそうだが、アクセルの踏み込み量に対する加速度の立ち上がりが、スポーツカーを感じさせる。もちろん常にロケットのように飛び出すわけではなく、鋭い加速を示すのはアクセル踏み込み量を強めた時だけで、アクセル開度が大きめの時に、加速をより強めに演出するテスラのチューニングは、エンジン車に対する挑戦のように感じた。
乗り味は、ガツガツしたような突き上げ感は抑えられていて、マイルドと言っていいレベルだと思う。ハンドリングについては、バッテリー搭載位置が低く、低重心なのはいいが、ブレーキングでフロントタイヤに荷重を乗せたい場面で、フロントタイヤに荷重が乗る感覚はやや薄く感じた。バッテリーという重量物がフロントサスペンションを上からではなく、後ろ方向から押している感覚、というと少し言い過ぎかもしれないが、そんな印象を受けた。この点ではむしろ重心位置が高いエンジン車の方が、荷重がタイヤに素直に掛かっていく様子を意識しやすく、ドライビングプレジャーにも繋がっていると思う。今後のEVではこの辺りの乗り味がどう変化していくのか楽しみだ。
烏山大輔
モデルYは動き出し時にかなり重さを感じるが、ひとたびアクセルを踏み込めば0-100km/h加速3.7秒の実力の通り、スーパーカー並の速さを発揮する。乗り心地も足回りが固く、ステアリングもクイックなのでまさにスポーツカー的だ。個人的には好きな部類の動きなので、問題なく受け入れられるレベルだ。
ライバルはもともとICEを作っていたが、テスラはBEV専業メーカーらしく0からBEVだけを設計しているので、ICE作りの制約や先入観がない。実用的なフランクの大きさもその一例だ。
ドライバーの正面にメーターはなく、速度はセンターメーターの右上に表示される。物理スイッチはステアリングスポークの2個とパワーウインドウとハザードのみ。他のスイッチはないので、ミラーの角度調整はおろかエアコンの吹き出し方向やドラミラーの角度調整さえセンターディスプレイで行わなければならない。
それが面倒だという意見もあるが、我々は生活の中でスイッチやボタンが多いものから、ほとんどの操作をディスプレイで行うものに切り替わっていないだろうか、それは携帯電話だ。だからテスラはスマホユーザー、特に生まれながらスマホが当たり前にあったデジタルネイティブ世代にうけるのだろう。
テスラ モデルY
全長:4,760mm 全幅:1,925mm 全高:1,625mm ホイールベース:2,890mm 車両重量:2,000kg 乗車定員:5名 交流電力量消費率:150Wh/km(WLTCモード) 一充電走行距離:595km(WLTCモード) フロントモーター最高出力:158kW(215ps) フロントモーター最大トルク:240Nm(24.4kgm) リアモーター最高出力:235kW(320ps) リアモーター最大トルク:450Nm(45.9kgm) モーター数:前1基、後1基 駆動方式:AWD(全輪駆動) フロントサスペンション:ダブルウィッシュボーン リアサスペンション:マルチリンク フロントブレーキ:ベンチレーテッドディスク リアブレーキ:ベンチレーテッドディスク タイヤサイズ:前255/35R21、後275/35R21 最小回転半径:6.1m 荷室容量:後854L、前117L 車両本体価格:727万9,000円
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みんなのコメント
むちゃくちゃ格好悪かった
なんだろ、ずんぐりむっくりしていて、ダンゴムシみたい
タイヤのインチとバランスも悪くて、なんだかな〜…って、ダサすぎて笑ってしまった…
御本人様は格好良いと思ってるんだろうが…
まあ価格帯で考えると実によくできた車です。