8月27~28日に鈴鹿サーキットで行われるスーパーGT第5戦『FUJIMAKI GROUP SUZUKA GT 450km RACE』は、2022年最後の長距離450kmレースとなる。富士スピードウェイで開催された第2戦・第4戦とは異なり、初の鈴鹿での450km戦開催となるだけに、第2戦・第4戦とは勢力図にも違いが出ることが予想されている。ここでは第3戦鈴鹿で好走を見せた4台のドライバーに、第5戦の450kmの戦いに向けた見通しを聞いた。
■「暑くなったら終わりかもしれない」石川京侍
2022スーパーGT第5戦鈴鹿 TV放送&タイムスケジュール
第4戦富士では、終盤61号車SUBARU BRZ R&D SPORTと熾烈な首位争いの末、2位でチェッカーを受けた11号車GAINER TANAX GT-R。石川京侍は「前戦が2位だったので、ウエイトも60kgになりました。鈴鹿はウエイト感度(サクセスウエイトの影響)が大きいサーキットですけど、ここでもきちんとポイントを獲りたいですね。まだトップとのポイント差が結構開いてるので、できれば表彰台くらいの気持ちでは行きたいですけど……今回ニッサンGT-RニスモGT3勢は性能調整で(最大過給圧を)絞られたので、厳しいかもしれないですね」と苦笑する。
「コースによりますけど、やはり鈴鹿が一番(ウエイトの影響を受けやすい)ですね。明日乗ってみないとわからないですけど、厳しい一戦になると思います」と石川。
そして、今週末気掛かりなのは予選・決勝時の天候だろう。予選日、決勝日ともに“真夏の鈴鹿”と呼ぶには涼しめのコンディションとなりそうだ。そんななか、11号車は低気温を想定したタイヤを持ち込んだと明かした。
「涼しくなることを予想し、週末の前後の天気とかも見てダンロップさんと話し合い、低めの気温に合うタイヤを持ってきています。なので、暑くなったら終わりかもしれないですけど、気温が低かったいけるかもしれない。そこは博打とまではいかないですけど、僕らにとっていい展開になるように願っています」
第4戦終了時点でポイントランキング5番手につけ、シリーズタイトル獲得の可能性を残すなか、大きな賭けに出た11号車。この賭けが吉と出るれば、シリーズ争いの顔ぶれにも変化がありそうだ。
■「450kmタイヤ無交換は無理」平木玲次
第3戦鈴鹿ではタイヤ無交換作戦を敢行し、2位でチェッカーを受けた5号車マッハ車検 GTNET MC86 マッハ号。エースの平木玲次は「マザーシャシーは燃費が他のクルマと比べてすごくいいので、その点は有利に働くと思います」と話す。
車重が軽く、タイヤに優しいマザーシャシーだけに、『450kmレースでのタイヤ無交換』の可能性について尋ねると「さすがに450kmでタイヤ無交換は無理ですね」と平木。
「前半でなるべく順位をキープし、1回のタイヤ交換と2回の給油義務を終わらせて、後半はロングラン。という戦略で、第4戦富士は挑みました。ただ、思ったよりもタイヤが発動しなくて。途中にはスローパンクチャーも起きてしまい、うまくかみ合わなかったレースでした」
第4戦富士では、後半のロングランで新スペックのタイヤを試したが、コンディションが合わず、17位でチェッカーを迎えた。ただ、第5戦に向けて、第3戦で2位を獲得した際と同じスペックのタイヤも持ち込んでいるという。「気温としては前回の5月も結構高かったので、うまくマッチすれば……上位で戦えるかなっていうところです」と平木。
「鈴鹿は高荷重でサーキットの特性も富士とは違い、(マザーシャシーと)一番相性が良いサーキットです、なので、うまくタイヤとマシンのバランスとが噛み合えば、また上位で戦えると思います」と平木。また、マザーシャシーでの上位進出には予選ポジションが鍵だと口にする。
「マザーシャシーは、ブレーキングもそれほど得意ではないですし、エンジンパワーもあるとは言えないず、オーバーテイクがすごく難しいクルマです。なので、早めに給油やタイヤ交換を終わらせて、ロングで後半ペースを上げながら、みんながピット入ってる間に、前に出れたら……みたいな。あとは後半を抑えきることができればベストだと思います。あとは本当にタイヤと気温のマッチングですね」
11号車石川とは対極に、暑くなることを望む平木。マザーシャシーが再び鈴鹿を沸かせる一台となるのか。それは天候、そして予選結果次第となりそうだ。
■「それでも、僕たちは勝利しか見ていない」新田守男
第3戦鈴鹿の予選ではフロントロウ2番手を獲得した96号車K-tunes RC F GT3。決勝ではピットストップ時間がライバル勢よりも長かったことも影響し7位でチェッカーとなった。
「第3戦から他のチームもいろいろ修正してきているだろうし、あのときのように僕たちがうまくいく感じはないと思います」と新田守男。96号車は3戦連続のシングルフィニッシュにより、サクセスウエイトも38kgとなった。フロントロウを獲得した第3戦からは30kgの増加だ。
そして第4戦富士ではレースペースに課題を抱えていたと明かした新田。それを補う意味でも“基本をしっかり”と口にする。
「僕らの課題としてピットが少し遅いというのがあります。まずはピット作業をきっちりとこなしていけるようにですね。今まで少しづつ修正できているので、(決勝の)2回のピットでしっかりとやることができれば、いいポジションになれるのではないかなとは思います。まずは基本というか、自分たちもミスもないようにですね」
給油時間の長さ、そして車重の重さもあって戦略の幅はGT300規定車両よりも狭いと言う新田。それだけに厳しい戦いを予想するが、「それでも、僕たちは勝利しか見ていませんから」と言う。
大ベテランコンビにとっても未知の領域となる鈴鹿450kmレース。新田と高木真一はどのような走りを見せてくれるだろうか。
■「ウラカンは長距離レースが得意」元嶋佑弥
2021年の第3戦では2位、今年の第3戦では5位と、鈴鹿では上位フィニッシュを続ける88号車weibo Primez ランボルギーニ GT3。「鈴鹿は不思議と成績は良い方ですね。決してクルマ的には得意なサーキットでもないのですけど」と元嶋佑弥は口にする。
「正直、スーパーGTは走行が始まってみなければわからないです。ただ、鈴鹿では暑い時期にタイヤテストもできているので、そのなかで僕たちはそこそこ戦えるのではないかなと思っています。あとは他のタイヤメーカーさんがどこまで来るか次第ですね」
なお、今週末も土曜日は曇り、日曜日も完全な晴れ間とは言い切れない難しい予報だ。そんななか元嶋は「個人的には(天候が)荒れるの大歓迎です」と語る。
「雨が降ったり止んだりでも、降り続いてもですね。ここ数年、スーパーGTでは雨のレースをあまり戦った記憶がないので。個人的にはウエットレースがすごく好きなので、そういったコンディションでも楽しめるとは思います」
「基本的にここ数戦、ドライでは結構調子はいいので。前回の富士が思ったより上位にいけなかったのですけど、その前の鈴鹿も、トラブルがなければおそらく表彰台を争ってたような感じです。なので、鈴鹿に対してはネガティブな印象はないですね」
前戦富士ではQ1敗退となり、17番手スタートとなった88号車。元嶋は「NAエンジンは夏場やはり少し苦しいですね。ストレートスピードがすごく周りと差がついてしまい厳しい戦いになりました」と振り返る。
「第4戦富士では僕のミスでドライビングスルーペナルティもありましたが、レースペースは悪くなかったので、450kmという長距離はランボルギーニ・ウラカン GT3にとって得意なラウンドだと思います。タイヤのドロップがほとんどなく、タイヤのドロップよりもガソリンが軽くなって、後半にタイムが上がるくらいのクルマなので。なので、今回の450kmに関しても、そういった強みには期待できると思っています」
今季3回目の450kmとレースいえど、鈴鹿での450kmは富士での450kmとはまったく異なる。天候、気温、タイヤ、ピット戦略と、さまざまな思惑があるなか、GT300クラスの戦いはどのような展開となるだろうか。27日9時25分から行われる公式練習から目が離せない一戦となるに違いない。
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