ついに開幕のときを迎えた2020年BTCCイギリス・ツーリングカー選手権は、8月1~2日の週末にドニントンパークで3ヒートの決勝が争われ、FK8型ホンダ・シビック・タイプRをドライブするTeam Dynamicsのダン・カミッシュ(Halfords Yuasa Racing)がタイトル経験者らを出し抜いて先勝。
しかし続くレース2では名門West Surry Racing(WSR)の王者BMWも意地を見せ、ディフェンディングチャンピオンのコリン・ターキントン(BMW330i Mスポーツ/Team BMW)が王座防衛に向け幸先良く勝利を挙げ、最終ヒートでは今季からインフィニティにスイッチした2017年チャンピオンのFR使い、アシュリー・サットン(インフィニティQ50BTCC/Laser Tools Racing)が早くもニューマシンとの初優勝を飾っている。
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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの影響で、実に8月まで開幕がずれ込んだBTCCの2020年シーズン。カレンダーはオリジナルの日程から1戦減の全9戦を確保したものの、その分だけ、11月の最終戦までにバック・トゥ・バックの2連戦が3度も続く超過密日程となる。
また、COVID-19の余波で長いオフシーズンにシリーズを去る決断を下したドライバーやチームもあり、2013年王者アンドリュー・ジョーダンの撤退を受けたWSRは、席の空いたBMW3シリーズに代役を起用せず久々の2台体制に縮小。さらにボクスホールのファクトリー・バックアップを受けていたPower Maxed Racingは、2021年の復帰に向けチーム全体での参戦休止を決め、これによりBTCC名物ドライバーのジェイソン・プラトらがドライブを見合わせる事態となった。
そんななか開幕を迎えたドニントンパークの予選は、今季からスイッチされたグッドイヤーのワンメイク供給タイヤに加えて、終盤に小雨が混じる難しいコンディションでの勝負に。F1王者ルイス・ハミルトンの実弟であるニコラス・ハミルトン(フォルクスワーゲンCC/ROKiT Racing with Team HARD)がいきなりのクラッシュを喫し、第4世代に進化したフォード・フォーカスST投入のMotorbase Performance勢、ロリー・ブッチャーやアンディ・ニートらもグラスエリアを滑走するなど波乱の展開となる。
そんななか、30分間の計時セッションでまずターゲットタイムを記録したのが、今季からTOYOTA GAZOO Racingのステータスを得て参戦するトム・イングラム(トヨタ・カローラBTCC/Toyota Gazoo Racing UK with Ginsters)。参戦2年目を迎えたSpeed Works Motorsportの現行型カローラ(日本名:カローラスポーツ)は、今季もそのスピードでトップコンテンダーの一翼を担うことが期待された。
しかしすぐさまタイム更新を果たしたのがサットンのドライブするインフィニティで、過去4シーズンにわたってTeam BMRのスバル・レヴォーグGTを操りチャンピオンマシンに仕立て上げた元王者は、今季加入したLaser Tools Racingの元ファクトリーカーをいち早くモノにし、いきなり予選3番手のセカンドロウを確保してみせる。
そのトヨタ、インフィニティを上回ったのが好調Team Dynamicsのカミッシュと、ディフェンディングチャンピオンのターキントンで、最速のBMW以下8台がコースレコードを打ち破り、17番手までが1秒圏内というハイレベルな予選バトルに。
ターキントンは今季からブラック基調へと変化したBMW330i Mスポーツで、シビックをわずか0.087秒上回る1分08秒998を記録し、自身21度目のポールポジションからレース1を戦うこととなった。
明けた日曜、ドライコンディションでスタートが切られたレース1は、ポールシッターと3番手に並ぶFRマシンに対し、蹴り出しで不利なFFシビックの2番手カミッシュがターン1で3番手に後退する。
するとBMWターキントン vs Q50サットンのFR使いチャンピオン同士のバトルが勃発し、テール・トゥ・ノーズで周回を続けた2台は4周目のオールドヘアピンで、Laser ToolsインフィニティがBMWのインサイドへ。サイド・バイ・サイドで立ち上がり、続くコーナーへのライン争奪戦となった2台はわずかに接触し、姿勢を乱したFRカーの内側から3番手カミッシュのシビックが一気に首位へと躍り出る。
すぐさま反撃に転じようとしたサットンだったが、5番手イングラムのカローラからプッシングを受けたBMWがインフィニティのテールにヒットし、Q50BTCCの116号車はたまらずスピンアウト。サットンは車列後方に下がる結果となり、ここで勝負権を失ってしまう。
直後に出動したセーフティカー(SC)明けリスタートでもポジションを守った首位カミッシュは、2番手のチャンピオンを従えて19周を走破。「アシュ(サットン)とコリン(ターキントン)はつねにバトルで熱くなることを知っていたからね。勝負に夢中で『僕のことを忘れた』と感じたときは、正直『チャンスだ』と思っていたよ」と、2020年開幕を飾る今季初勝利を手にした。
続くレース2は、そのシビック・タイプRにサクセスバラストを満載したポールシッター、カミッシュに対して38歳の4冠王者が逆襲。自身もバラストを搭載しながらスタートでFRの利を活かしたBMWターキントンは、2番手以下のポジション変動を尻目に悠々のクルーズでトップチェッカー。2位にはレース1でイングラムを仕留め3位表彰台を獲得していたブッチャーのフォーカスが入り、開幕前公式テスト最速のリザルトがフロックではないことを証明。
3位にWSRの若手トム・オリファント(BMW330i Mスポーツ/Team BMW)、4位イングラムのカローラに続き、5位にはレース1で14番手まで巻き返していたサットンが9台ごぼう抜きの快走を披露し、カミッシュやマット・ニール(FK8型ホンダ・シビック・タイプR/Halfords Yuasa Racing)らも仕留めて入賞圏内までカムバックを果たしている。
そのインフィニティのスピードを証明するかのように、レース3で主役を演じたのはサットンで、リバースグリッド8番手から発進したQ50BTCCは序盤のSC出動にも助けられすぐさま先頭集団をロックオン。
7周目に3番手まで躍進すると、続く周のシケインで2番手ジョシュ・クック(FK8型ホンダ・シビック・タイプR/BTC Racing)を、さらに翌周にはリバースポールシッターだったクリス・スマイリー(Excelr8 Motorsport)の今季デビューとなるヒュンダイi30 Fastback N Performanceをも鮮やかにオーバーテイク。2015年以来のBTCC再投入となるインフィニティに、早くも復帰後初勝利をプレゼントする好パフォーマンスを披露した。
「Laser Tools Racingと(今季ジョイントした)BMR Engineeringにとって、この結果はまさに必要としていたことだった。クルマは僕に大きな自信を与えてくれたし、すでに何の違和感もない。これまでドライブしたレースカーのなかでも最強の部類に入るね。それほど素晴らしい感触だったよ」と、週末を通して他を圧倒するスピードを誇示し、3ヒートすべてでファステストラップを記録した26歳のサットン。
開幕戦を終え、王者ターキントンがタイトル防衛に向け好発進のランキング首位に立ち、それを2位カミッシュが追い、サットン、ブッチャーが同ポイントで並ぶ展開となったBTCCイギリス・ツーリングカー選手権。続く第2戦はこのあとすぐ、連戦の8月8~9日にブランズハッチのGPレイアウトで争われる。
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