新車試乗レポート [2026.08.29 UP]
レヴォーグレイバック《S:HEV》実力大研究
【スバル レヴォーグ レイバック】燃費だけでないS:HEVモデルの価値【石井昌道】
SUBARU 新型レヴォーグレイバック《ストロングハイブリッド》実力大研究
スバル自慢のスポーツワゴンであるレヴォーグから派生したSUV、レイバック。'23年10月のデビューから1.8ℓターボのみの設定だったが、ついに待望のストロングハイブリッド仕様「S:HEV」が追加された。クロストレックとフォレスターで好評のS:HEVとレイバックの相性を探る。※S:HEVモデルの写真はプロトタイプ
●文:川島茂夫 ●写真:SUBARU
※本記事の内容は月刊自家用車2026年9月号制作時点(2026年7月中旬)のものです。
クローズドコースで素性を体感
今回の取材は、長野駅から八方尾根までの公道をレイバックのターボ車やクロストレックのS:HEV車などで往復し、封鎖された山道でレイバックのS:HEV車を試乗。レイバック同士やS:HEV同士の違いを確認することができた。
新型レヴォーグレイバック S:HEV EX(プロトタイプ/プレミアムアーバンパッケージ装着車) ●車両本体価格:452万1000円(+プレミアムアーバンパッケージ:39万6000円・標準工賃込) ●ボディカラー:アイスシルバー・メタリック
レイバックの上級ワゴン仕様にしてレヴォーグのS:HEV仕様の顔も持つ
クロストレックの成功をレイバックにも応用
レイバックのベースとなったレヴォーグは、レガシィ ツーリングワゴンのスポーツ性や手頃なサイズ感を継承して開発されたモデルだ。レジャー&ツーリング用途に向けた走りや使い勝手を特徴にするだけでなく、WRXと共通したパワートレーンやシャシー設計を採用し、オンロードに於けるスバル車のスポーツ性能を象徴する一車でもある。ならばそのレヴォーグから発展したレイバックはSUVとスポーツを融合させたダートランナー的なクルマかと言えば、少し異なる。オンロードスポーツのイメージが濃いレヴォーグの尖った部分をよりマイルドにし、ユーザーの間口を広げたモデルと捉えた方がいい。レイバックの成り立ちを簡単に説明するなら、インプレッサからクロストレックを生み出したのと同様の手法でレヴォーグから開発されたモデルだ。インプレッサXVがクロストレックの実質的な原点となるが、同モデルも2代目(スバルXV)からはサス設計を悪路対応型とし、現在のクロストレックに至っている。
つまり、レイバックはレヴォーグにSUV的艤装と悪路対応型サスを採用したモデルであり、サスペンションはハードウェア的にもクロストレックと似た構成となっている。ちなみにレイバックの最低地上高はクロストレックと同じ200mmである。
そのレイバックに新たな魅力として加わったのが、今回取材したS:HEVモデルだ。トヨタ車のHEVとして定評のあるシリーズ/パラレル式ハイブリッドシステムを導入。これによりレイバックは登場時から設定されていた1.8ℓターボ車とS:HEVの2タイプのパワートレーン設定となった。
興味深いのはターボ車では200mmだった最低地上高を180mmに下げたことだ。最低地上高と全高を20mm落とし、立体駐車場の全高規制に対応する全高1550mmとした。ターボ車と比較すればローダウン仕様だが、実際はミドルSUVの定番とも言えるRAV4より10mm低いだけである。また、ターボ車には採用されていない4WD制御機能「X-MODE」を搭載。しかも、よりヘビーな使い方に対応し悪路対応力が向上する2モード式だ。ちなみにターボ車に設定がなかったのは開発が間に合わなかったためとのこと。
外観で目立つのはS:HEVの採用によりターボダクトを廃止したボンネット。これは高性能のアピールよりも穏やかな佇まいを求める多くのユーザーの要望に添った変更だ。
S:HEVはレイバックのみへの追加であり、母型とも言えるレヴォーグは2.4ℓターボ車の廃止により、1.8ℓターボ車のみの構成となっている。S:HEVを搭載するレイバックは1550mmに抑えた全高などターボ車からの設計変更点を考えるなら、レイバックの上級仕様であるとともに、レヴォーグのS:HEV仕様を補完する一面もあるのだろう。
なお、S:HEVのエントリーグレードは1.8ℓターボ車のブラックセレクションと同価格。ハーマンカードンのオーディオやパワーリヤゲートなどが標準装備からオプション設定になるが、大幅な予算アップを考えなくてもS:HEVに手が届く価格設定も見所である。レヴォーグと比較すると、電制サスを装備するレヴォーグSTIスポーツ系よりは安価であり、1.8ℓターボ車のGT-H系と同じレンジだ。ターボとS:HEV、レイバックとレヴォーグが価格的にも同等レベルで、キャラクターや走行テイストにより各車の立ち位置を区分した構成である。その中でレジャー&ツーリング志向を代表するレイバックは新採用のS:HEVでその魅力を高めているのだ。
負荷の大きい急登坂も余裕でこなす
極低速まで減速した状態から大きくハンドルを切って急登坂する際も、モーターのトルクでストレスなく上っていく。特に踏み込み初期のスムーズさはターボ車では実現困難なところだ。
バランス良く仕立てられ、独自性と汎用性を両立
見るべきところのひとつはS:HEVのドライバビリティだ。レヴォーグやフォレスターの内燃機系パワートレーンには燃費と動力性能の両立を求めたダウンサイジングターボの1.8ℓが採用されている。CVTとの相性もよく、日常域からスポーティな運転まで上手にこなせるタイプなのだが、レイバックでS:HEVと乗り比べると繋ぎの滑らかさや操作の精度感が明らかに違う。今回の特設試乗コースは幅員が狭く、部分的な急勾配があり、加えてフル転舵でのタイトコーナーなど、パワーコントロールにシビアな場面が続く。特にS:HEVの長所が出やすい状況であり、しかもそれは一般的な状況でも役に立つものだ。
典型的なのがフル転舵のタイトターンで蹴上がるような上りの急勾配というシーンだ。坂道発進プラス狭路という状況で、ターボ車はわずかな過給タイムラグもあって、アクセル開閉のタイミングが神経質にもなる。一方、同じ状況なのにS:HEVは気楽なもの。反応の遅れがほとんどないから、ペダルの踏み込み通りに加速する。
従順なパワートレーンの反応に加え、しなやかな乗り心地も実感できた。ターボ車もレヴォーグよりはしなやかな乗り心地を示すが、S:HEVはさらにしっとりしている。サスのバネ定数はターボ車と共通。つまり、車重に対しては相対的に柔らかいことになる。バネを20mm短くしているなど、単純に乗り心地重視の設計とも言い難いが、スバルらしいバランスの良さを感じることができた。スバル車同士の比較ならば、味付けは乗り心地寄りといってもいいだろう。
そのほか、立体駐車場に対応した全高設定、ターボダクトを廃止してエレガント路線で再デザインされたボンネット周り、しっとりした乗り味のフットワークや扱いやすさ、そして燃費性能がテーマのS:HEV。さらに今回の試乗では試せなかったが、2モード式のX-MODEも採用されている。レヴォーグの路線ともSUVの路線とも少し違っていて、独自性の高いモデルだ。しかも、それでいて一般性もとても高い。スポーツワゴンとSUVの中間的なポジションにあって、そのバランスが現実的。嗜好的にも適応用途面でも汎用性の高いモデルである。
SUBARU 新型レヴォーグレイバック[S:HEV]
【2026年7月2日発売】
上質な走りでツーリング派にも強力アピール
レイバックのS:HEV搭載車なのだが、パワートレーンの変更だけではなく、内外装から装備、足回りにまで手が入っている。スバル自身がターボ車をSUV、S:HEVをワゴンに分類していることでもわかる通り、静かで力強く上質な走りや燃費性能を活かし、上級ツアラーとして仕立てられている。
サスのスプリングを20mmカットし、全高は一般的な立駐に対応する1550mmにおさまっている。ボンネットのエアインテークの有無が外観上におけるターボとの最大の違いだ。
縦置きの大型センターディスプレイが目を引くインパネの造型はスバル車に共通のもの。スポーティさとくつろぎ感が同居する。
本革シートを標準装備する。後席は4:2:4分割のターボ車とは異なり6:4分割で、電池スペース確保のためリクライニング機構は廃止。
シート表皮はプレミアムがタンカラーのナッパレザー、プレミアムブラックは黒革だ。
床下にバッテリーを搭載しながら荷室容量429ℓ(410ℓ+サブトランク19ℓ)を確保。荷室のレバーで後席を格納できる。
2.5ℓボクサーエンジンを搭載するスバルのストロングハイブリッド、S:HEV。回転域にかかわらず極太トルクを発生する電気モーターが上質な走りをもたらすとともに燃費にも貢献。ターボモデルがWLTCモードで14.1km/ℓなのに対して、S:HEVモデルは19.0km/ℓを達成する。大容量バッテリーを搭載しながら燃料タンク容量はターボ車と同じ63ℓを確保。つまり航続距離も延びていて、走りの質感やアイサイトXの安心感と相まって、長距離ツアラーとしての魅力が高まっている。
静かで力強いパワートレーンと硬さを感じさせない足回りはフィールドを選ばない。エレガントさを増したエクステリアが映える都会の街並みを駆け抜けるのも似合う一台だ。
S:HEVは2.5ℓ水平対向エンジン+モーターのシリーズ・パラレル式ハイブリッド。発進・低速時はモーターで走り、高速巡航時にはエンジンを使うなど、自動的に効率の良い動力を選択する。約30km/h以下で一定の条件を満たしていればモーターのみのEV走行モードも使える。一定の条件で後輪への駆動力の伝達をカットするクラッチ開放制御を採用し、さらなる燃費向上も図っている。
18インチアルミホイールはターボ車と異なるデザインで、オールシーズンタイヤを装着。
悪路でのスムーズな走りをサポートするX-MODEはターボ車にはない機能だ。より厳しい状況に対応する2モード式で、ヒルディセントコントロールも備えている。
広角ステレオカメラと超広角単眼カメラを備える最新のアイサイトを搭載し、LEDの光を投影して作動状態を知らせるアイサイトアシストモニターや、渋滞時ハンズオフアシストを含むアイサイトXも標準搭載される。
荷物満載時でも後方視界を確保するスマートリヤビューミラーをオプションで用意する。
スバル車の特徴ともなっている11.6インチセンターインフォメーションディスプレイ&インフォテインメントシステム。ナビはもちろん、タッチパネルにより空調やオーディオの設定も行う。プレミアムのオーディオはハーマンカードンの10スピーカーシステムだ。
3つの画面モードを備え、ナビの表示も可能な12.3インチフル液晶メーター。S:HEVモデルはパワーメーターも表示する。
ハンドルスイッチでSI-DRIVEのモード切り替えが可能。ステアリングヒーターはシートヒーターとともに標準装備となっている。
シートの座面と背もたれが温まる。温度はフロント:3段階、リヤ:2段階で調整でき、運転席と助手席を別々に設定できる。
電動チルト&スライド式サンルーフがオプションで用意される。
トノカバーや荷室証明、荷掛けフックを標準装備。ハンズフリーオープンパワーリヤゲートやAC100Vコンセントも選択可能だ。
新型レヴォーグレイバック《ボディカラー》
新型レヴォーグレイバック《主要諸元&装備一覧》
新型レヴォーグレイバック[S:HEV]《純正カスタマイズ》
3タイプのスタイルパッケージを用意
レイバックのS:HEVモデルもターボ車と同様に1タイプ設定で、グレードの違いは装備差程度。より個性的に楽しめるディーラーオプションパッケージが用意されている。
プレミアムアーバンスタイルパッケージ
●パッケージ価格:39万6000円(標準工賃込)
ボリュームのあるボディ同色ホイールアーチトリムや金属調モールのスカートで上質さに磨きをかけ、ワンランク上の存在感をアピールする。
アクティブスタイルパッケージ
●パッケージ価格:8万6350円(標準工賃込)
前後バンパーパネルをセットで装着し、冒険心を掻き立てる、タフで頼もしいスタイルに。比較的安価に装着できるのも魅力だ。
STIエアロパッケージ
●金属調シルバー・パッケージ価格:25万7950円(標準工賃込) ●ブラック・パッケージ価格:24万350円(標準工賃込)
前後左右にアンダースポイラーを装着。モータースポーツの知見を活かし、上質さと空力性能を兼ね備えたエアロフォルムを実現。
SUBARU レヴォーグレイバック[ターボ車]
●車両本体価格:405万9000円~424万6000円 ●発表年月(最新改良):'23年10月('26年6月)
ドライブモードや装備の改良で走りと利便性がアップ!
直近の改良ではSI-DRIVEの全モードにおいて新制御を導入。スマートリヤビューミラーの標準装備化やコネクティッドサービス「MySubaru Connect」の機能追加、内装のステッチや細部カラーの変更を実施した。
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