この記事をまとめると
■国内メーカーのEVを一気に乗れる関係者向けの試乗会が開催された
【試乗】しっとりなAWDと軽快な2WDの選択が悩ましい! スズキ初のBEV「eビターラ」はEVを身近にしてくれる存在だった
■場所は日産自動車のテストコース「グランドライブ」
■日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員の嶋田智之氏が国産4モデルを試乗した
気になるEVをイッキ乗り!
「日本メーカー各社のEVに一気に乗れる機会があるんですけど、いかがですか?」というお誘いを編集部からいただいて、断る理由なんてあるわけがない。何せこんな仕事をしてるからといってすべての新型車にサラッと乗れるはずもなく、チャンスをいただいてもほかの予定とカチ合っちゃったり、クルマをお借りしようと思っても日程が合わなかったり。なので、仮にほんのちょっと触れることができるだけでもありがたかったりするのだ。そんなわけで某月某日、僕は神奈川県は横須賀市にある日産自動車の施設、GRANDRIVEへと向かったのだった。
この日、“メーカー合同EV取材会”に出店していたのは、スズキ、ホンダ、マツダ、三菱、レクサス、日産という6つのブランド。試乗できるのは基本3台、時間が余ったら追加で1台、といった感じ。僕はそのなかからチョイ乗り試乗しかできてなかった1台と未試乗の2台を選ばせてもらい、スムースにコトが運んで終了時間までゆとりがあれば、さらに未試乗を1台、と決めた。
試乗はGRANDRIVEのコースのみ。1周およそ3.8kmのなかに、整った路面、荒れた路面、峠道風のアップ&ダウン、低中高速それぞれのコーナー、高速道路の一部のようなちょっとしたストレート、首都高速などにありがちな段差といった諸々が適度に配されてる、いうなれば一般道路を再現したクローズドのテストコースだ。あくまでも日常的な走行環境でクルマをチェックするためのコースだから、それぞれの区間、コーナー、ストレートなどには制限速度が設定されていて、オーバースピードで走ると違反切符が切られる……ことはないけど、しっかり叱られる。
撮影のための時間を考えたら……そこを2周? 上手くいって3周? マジかー!?
まぁ触れられるだけでありがたい。試せることはかなり限定的だからちゃんとした試乗記にはできそうにないけど、逆に何もわからないってこともないだろう。んじゃ行ってみるか。
とチョイ乗りしてみたら……。
■スズキ eビターラ
今回の4台のなかでもっとも「ちょうどいいな」と感じたのは、eビターラだった。以前にもチョイ乗りしたことがあるのだが、そのときとまったく同じことを感じたのだから、そこが僕にとっていちばん印象的だったのだろう。
まずはサイズ。絵に描いたようなBセグSUVそのものといえる車体は、いろんな要素を考えると日本では最高に使いやすい大きさ。後席が若干上下方向に窮屈と感じる人もいるだろうけど、前席はまったく問題ないし、このサイズのSUVとしては荷室も満足すべき広さといえる。実用性は充分。
次にパフォーマンス。試乗車はFWDモデルだったが、174馬力に193Nmというアウトプットは、その気になればスポーティな走りを楽しませてくれそう。加速も速さも及第点を超えている。フットワークも軽快で、なかなか楽しい。
ボンヤリと“このパワートレインをスイフトとかに積んだら、最高に楽しいBEV版ホットハッチができあがりそう”なんて思っちゃったぐらいだ。乗り心地は硬めで路面の凸凹にはわりと敏感。そういう意味では欧州車っぽいといえば欧州車っぽい。
航続距離もカタログ上では500kmを越えてるし、今回のロングレンジ版でも価格は補助金を考えたら実質300万円少々。コスパもかなりいい。
日々の相棒として考えると、かなり「ちょうどいい」のだ。
■レクサス RZ550e Fスポーツ
今回の4台のなかでもっとも「文句のつけどころがないな」と感じたのは、RZ550e Fスポーツだった。全長4.8m、全幅1.9mという車体は個人的な好みからするとギリギリ許容というサイズだが、といって扱いに困るほど大きいわけじゃない。
BEVだから当然とはいえ、走りのフィールが感動的なくらい滑らか、そしてふと気づいてビックリしたぐらいに静か。乗り心地は重厚にして快適、フットワークは軽快にして正確。前後にそれぞれ227馬力と268Nmのモーターをもち、0-100kmh加速は4.4秒という加速力は片鱗しか味わえなかったが、力強く俊足であることは疑いようがない。いかにもレクラス、いかにもFスポーツ、なのだ。
でも、もっとも驚かされたのは、飛行機の操縦桿を連想させるステアリングのフィールだった。ロックトゥロックおよそ1回転の範囲内ですべてが、それもさほど不自然な感覚なしにまかなえちゃうのはステアバイワイヤであるから。つまり前輪と機械的なつながりはない。なのに、自然な操舵感が感じられるばかりか、路面からのフィードバックまで感じられるのだ。訊けばフィードバックを瞬時に再現してドライバーに伝えてるのだとか。クルマと対話してる感覚はとても大切だ。
航続距離は582km。価格はツルシで950万円。決して高くないと感じた。
EVになるとメーカーの個性がより光る
■マツダ MX-30 ロータリーEV
今回の4台のなかでもっとも「ああ、気もちいいな」と感じたのは、MX-30 ロータリーEVだった。かつてのように路面を蹴り出す直接的な動力源ではなく、バッテリーを充電するためのレンジエクステンダーとして機能するのみだが、何せロータリーエンジン搭載車である。特別な気もちになるのは当たり前だろう。
830ccの1ローターゆえ、心のなかから決して消えることのない2ローターや3ローターとは異なるけれど、バッテリー残量が低いときや右足を大きく踏み込んだときに小さく聞こえてくるどこかそれっぽいサウンドには、思わずニンマリとさせられる。やっぱりロータリーの火を消してはならない、なのだ。
170馬力に260Nmというモーターが生み出すパフォーマンスは、もちろん今回のようなシチュエーションでは必要にして充分以上。加速のフィールもとても自然で気もちいい。ハンドリングも自然にして正確だし、落ち着きのあるコーナリングを楽しめる。
なによりMX-30というクルマは、デビューから時間が経ってはいるものの、室内の素材の使い分けなども含め、今もってとてもスタイリッシュなクルマだと僕は感じてる。その見た目から想像するように実用性も高そうだが、それだけに留まらない。スペシャルティクーペみたいなものだ。
そういう意味も含め、もっとも趣味的な一面をもつPHEVモデルなんじゃないか? と思うのだ。
■ホンダ N-ONE e:
今回の4台のなかでもっとも「ちょっと欲しいかも」と感じたのは、じつはN-ONE e:だった。軽自動車だから当たり前だけど、eビターラよりも遙かにコンパクトな車体は、走る場所をまったく選ばない。295kmという航続可能距離は、同じ軽BEVのサクラ/ekクロスEVより100km以上も長い。試乗する前からして気になる存在だったのだ。
運転席に座ってみると、シンプルにして機能的なダッシュまわりが目に入る。今どきの軽自動車らしく、パッと見からの安っぽさもない。無理に高級感を演出するような背伸びはないが、上質ではある。シートの座り心地も悪くない。
そして走り出してみると、このクルマはもっと上質だった。路面の荒れた箇所での乗り心地は、近年では不満を感じることがほぼなくなった軽自動車の標準をさらに超えて、イタリアあたりのコンパクトカーをも凌ぐか、といった領域の快適さ。曲がりっぷりはといえば、腰のフワついた感じがない安定感に満ちていて、スポーティといってもいいくらいの気もちよさをももちあわせてる。馬力は64馬力と軽自動車そのものの数値だが、162Nmという強力なトルクが活きて、スムースで力強い加速を味わわせてくれる。その気ならスタートでホイールを空転させることもできるくらいなのだ。
これはもう軽自動車であって軽自動車じゃない。オヤジが乗っても恥ずかしくないルックス含め、全方位的に気に入った。
■まとめ
あまりEVに縁のない人は、電気自動車なんてぜんぶ似たようなものだろう……みたいなイメージをもっておられることが多いように思う。いやいや、とんでもない。内燃エンジンのクルマと同じで、車種の数だけ個性があるのだ。それをあらためて感じることができた、チョイ乗り試乗だった。
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みんなのコメント
弱点が大杉なんだよw