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【角田裕毅を海外F1ライターが斬る:第16/17戦】成長ぶりが見えた母国GP。今後の目標はレッドブルのシート

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【角田裕毅を海外F1ライターが斬る:第16/17戦】成長ぶりが見えた母国GP。今後の目標はレッドブルのシート

 F1での3年目を迎えた角田裕毅がどう成長し、あるいはどこに課題があるのかを、F1ライター、エディ・エディントン氏が忌憚なく指摘していく。今回は、第16戦シンガポールGPと第17戦日本GPに焦点を当てた。

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【角田裕毅を海外F1ライターが斬る:第14/15戦】レッドブルが2024年に角田を抜擢すべき理由とペレスの現状

 われらが裕毅になかなか運が向いてこない。モンツァでは、予選で好成績を収めたものの、スタートラインに立つことすらできなかった。シンガポールでは、予選で物事がうまくいかずQ2どまりとなった後、決勝オープニングラップでセルジオ・ペレスに当てられてしまい、2戦連続で1周もできずに終わった。

 シンガポールでレッドブルのシニアドライバーからリタイアに追い込まれたのを見て、「角田はさぞかし荒れるだろうな」と私は密かに考えていた。ところが彼は無線で不満を言ったものの、その接触をレーシングインシデントとして受け入れていた。

 日本GPでは、決勝序盤にリアム・ローソンとバトルになり、その結果、角田がホームグランプリでポイントを獲得するチャンスは消えた。角田はローソンの後ろを走り続けることになり、それによってアルピーヌ2台がポイント圏内でフィニッシュすることが可能になったのだ。角田は間違いなくフラストレーションを募らせていたが、ローソンから厳しいディフェンスを受けた時も、感情の爆発はなかった。「彼はチームより自分を優先している」という発言は、非常に強力なメッセージだったが。

 以前にも言ったと思うが、2023年の角田は、F1キャリアの中で最高の状態だと思う。今年マネージャーになったマリオ宮川氏が良い影響を及ぼしているだろうことは間違いない。今年の角田は、全体的に態度の面でも集中力の面でも向上した。マネージャーを雇うためには安いとはいえない費用が発生しているかもしれないが、角田が支払っている金は有効に使われているといっていいだろう。

 マネージャーによって成長したといえば、昔、私がチームを運営していた時、将来有望な、ある少年を走らせていたことがある。彼はコース上ではモンスターのように速く、ホイール・トゥ・ホイールのバトルも得意だったが、なかなか成長しなかった。しかし私がマネージャーも務めることになり、フランス人の彼に英語を勉強させたりなど面倒をみて、世界トップクラスで戦うのにふさわしいドライバーへと育て上げたのだ。

──あれ、ずいぶん退屈そうだな。「あなたの話はけっこうです」だって? 黙ってそこに座って、耳を傾けていなさい。私が話すことはどれもこれもとても貴重な体験談なのだ。学ぼうという気持ちを持っていれば、いつかそれが役に立って、君は大成功を収めるかもしれない。しかもこの授業は無料なのだ!

 さて、裕毅の話に戻ると、2024年の残留が確定したいま、焦点を来年に向けなければならない。来年はダニエル・リカルドと同じマシンで走り、F1残留をかけて戦うことになる。2025年にはレッドブルのセカンドシートが空くことはほぼ間違いない。ふたりのターゲットはそのシートだ。

 天と地がひっくり返るような出来事がない限り、チェコには、契約延長のための交渉の機会すら与えられないだろう。レッドブルは、チェコに対して、2024年の終わりで出て行ってもらう、と告知済みだと聞いている。いやはや、マルコ氏は、他人のモチベーションを奪う方法をよく心得ているよ。
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筆者エディ・エディントンについて

 エディ・エディントン(仮名)は、ドライバーからチームオーナーに転向、その後、ドライバーマネージメント業務(他チームに押し込んでライバルからも手数料を取ることもしばしばあり)、テレビコメンテーター、スポンサーシップ業務、講演活動など、ありとあらゆる仕事に携わった。そのため彼はパドックにいる全員を知っており、パドックで働く人々もエディのことを知っている。

 ただ、互いの認識は大きく異なっている。エディは、過去に会ったことがある誰かが成功を収めれば、それがすれ違った程度の人間であっても、その成功は自分のおかげであると思っている。皆が自分に大きな恩義があるというわけだ。だが人々はそんな風には考えてはいない。彼らのなかでエディは、昔貸した金をいまだに返さない男として記憶されているのだ。

 しかしどういうわけか、エディを心から憎んでいる者はいない。態度が大きく、何か言った次の瞬間には反対のことを言う。とんでもない噂を広めたと思えば、自分が発信源であることを忘れて、すぐさまそれを全否定するような人間なのだが。

 ある意味、彼は現代F1に向けて過去から放たれた爆風であり、1980年代、1990年代に引き戻すような存在だ。借金で借金を返し、契約はそれが書かれた紙ほどの価値もなく、値打ちがあるのはバーニーの握手だけ、そういう時代を生きた男なのである。

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