現在位置: carview! > ニュース > スポーツ > クレア・ウイリアムズ、ラッセルのメルセデス昇格を“邪魔”した過去を回想「それがチーム代表として一番心苦しかった」

ここから本文です

クレア・ウイリアムズ、ラッセルのメルセデス昇格を“邪魔”した過去を回想「それがチーム代表として一番心苦しかった」

掲載 更新 2
クレア・ウイリアムズ、ラッセルのメルセデス昇格を“邪魔”した過去を回想「それがチーム代表として一番心苦しかった」

 かつて父フランクからチームを受け継ぎ、ウイリアムズF1の代表として指揮をとったクレア・ウイリアムズ。彼女はF1公式ポッドキャスト『Beyond The Grid』の中で、チーム代表時代のエピソードなどについて語った。

 クレア・ウイリアムズがウイリアムズを率いたのは、2013年から一家がチーム運営から手を引くまでの8シーズン。その中でチームが輩出したスタードライバーのひとりが、ジョージ・ラッセルである。

■メルセデスF1、新人アントネッリの進歩に笑顔。レースペースには課題も、マイアミで見せた速さは「才能の証明だ」

 メルセデスの育成下にあったラッセルはGP3、FIA F2でのタイトルを引っさげて2019年にウイリアムズからF1デビュー。当時のウイリアムズは低迷期にあり、ラッセルは下位集団での戦いを強いられたが、結局同チームには3シーズン在籍して2022年にメルセデスへ移籍した。

 Beyond The Grid司会のトム・クラークソンとの会話の中で、クレア・ウイリアムズは当時の事情についてこう語った。

「ジョージは本当にメルセデスへ行きたがっていて、それが叶わずにとても落ち込んでいました」

「私もできることならジョージの夢を叶えてあげたかったのですが、それはできませんでした。それがチーム代表として最も辛かったことのひとつです」

 ラッセルは2020年、ルイス・ハミルトンの新型コロナウイルス感染を受けてサクヒールGPでメルセデスから代役出走。予選2番手となり、決勝でも優勝を狙える走りを見せていたが、タイヤ交換でのトラブルという不運により9位に終わった。メルセデスは当時、2021年シーズンに向けて既にウイリアムズと契約していたラッセルの獲得を画策していた。

「ジョージは私にとって本当に大切な存在でした。メルセデスのようなチームとの交渉において、彼らがこちらのエースを引き抜くのに見合う対価を提示しないのなら、簡単に手放すわけにはいかないでしょう」

 クレア・ウイリアムズはそう続けた。

「メルセデスが『今すぐジョージが欲しい』と言ってきたからって、やすやすと手放すチーム代表などいるのでしょうか? まだ契約が残っているドライバーに対して、他のチームが上から目線でやってきても御免よという話です。彼はウチのドライバーでしたから」

 とはいえウイリアムズにとっても、ラッセルを引き留めるのは心苦しいことであったとクレア・ウイリアムズは強調する。

「誰かが私が原因で悲しんでいて、自分が邪魔者になっていることが分かっているなかで、それでも自分の立場を貫くというのは本当に苦しいことでした。分かるでしょう?」

「でも私はチームを最優先しなければいけませんでした。ジョージのことだけを考えるわけにはいかなかった……彼の夢を叶えてあげたいという気持ちがどれだけあったとしても、あの時はそれができませんでした」

「それがチーム代表として本当に辛かった瞬間のひとつです。私は基本的に人を喜ばせたいタイプの人間で、人を助けたり、その人の人生を良くする手助けをするのが好きです。でもジョージにはそれができなかった。そのことをずっと心に引きずっています」

「自分を責めているわけじゃないですが、良い気持ちではありません。でも、チームのためにはそうするしかなかったのです」

 その後、ラッセルは2022年にメルセデスと正式契約を結んだ。2014年からコンストラクターズタイトルを8連覇したチームの黄金期は逃す形となってしまったが、加入初年度のサンパウロGPでF1初優勝。今季はハミルトンに代わって新人のアンドレア・キミ・アントネッリをチームメイトに迎え、名実ともにリーダーとなりチームを牽引、マクラーレンに次ぐコンストラクターズランキング2番手に貢献している。
 クレア・ウイリアムズは現在のラッセルの活躍をこう評する。

「今シーズンのジョージの走りを見ていると、彼はもう別次元にいると思います。ドライバーはあるとき突然、絶対的なスターの域に達することがありますが、彼はまさに今そこにいると思います」

関連タグ

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

【独占】アストンマーティンF1、メルセデスからラッセル引き抜きに興味か。2026年以降のホンダ共闘チームを率いるエースに?
【独占】アストンマーティンF1、メルセデスからラッセル引き抜きに興味か。2026年以降のホンダ共闘チームを率いるエースに?
motorsport.com 日本版
ラッセル、メルセデスとの契約延長交渉は進展なし……しかしフェルスタッペン加入は心配せず?「僕は自分の価値を証明してきた」
ラッセル、メルセデスとの契約延長交渉は進展なし……しかしフェルスタッペン加入は心配せず?「僕は自分の価値を証明してきた」
motorsport.com 日本版
活躍中のハジャー、レッドブル昇格の“準備ができていない”と語る「今は毎週末がとても楽しい」
活躍中のハジャー、レッドブル昇格の“準備ができていない”と語る「今は毎週末がとても楽しい」
motorsport.com 日本版
フェラーリF1バスール代表、チーム離脱の憶測報道でイタリアメディアに激怒「いい加減にしてくれ」
フェラーリF1バスール代表、チーム離脱の憶測報道でイタリアメディアに激怒「いい加減にしてくれ」
motorsport.com 日本版
ハミルトン、フェラーリ代表の将来に憶測も全面支持を示す「彼は自分たちをトップに導いてくれる人物」
ハミルトン、フェラーリ代表の将来に憶測も全面支持を示す「彼は自分たちをトップに導いてくれる人物」
motorsport.com 日本版
メルセデス代表、チーム内バトル経験した”先輩”としてマクラーレンにアドバイス「ルールを確立する必要がある」
メルセデス代表、チーム内バトル経験した”先輩”としてマクラーレンにアドバイス「ルールを確立する必要がある」
motorsport.com 日本版
ルクレールはフェラーリに愛想を尽かした? 飛び交う噂を本人否定「僕がどれだけこのチームを愛していることか」
ルクレールはフェラーリに愛想を尽かした? 飛び交う噂を本人否定「僕がどれだけこのチームを愛していることか」
motorsport.com 日本版
結果の出ないコラピントに“審判の時”は迫っているのか? ブリアトーレは「パフォーマンス次第」と示唆
結果の出ないコラピントに“審判の時”は迫っているのか? ブリアトーレは「パフォーマンス次第」と示唆
motorsport.com 日本版
経験者アルボン、レーシングブルズとレッドブルのマシンの違いを証言。しかし角田裕毅らに奮起期待「これはF1……寛容な契約はない」
経験者アルボン、レーシングブルズとレッドブルのマシンの違いを証言。しかし角田裕毅らに奮起期待「これはF1……寛容な契約はない」
motorsport.com 日本版
アストンマーティンF1はランス・ストロールを解雇すべき。元F1ドライバーのグロック痛烈批判「成功のためにリストラが必要」
アストンマーティンF1はランス・ストロールを解雇すべき。元F1ドライバーのグロック痛烈批判「成功のためにリストラが必要」
motorsport.com 日本版
約束された輝かしい未来も生死彷徨う大事故……クビサが不屈の魂で掴んだル・マン制覇の偉業にF1界も湧く「人間離れしている」
約束された輝かしい未来も生死彷徨う大事故……クビサが不屈の魂で掴んだル・マン制覇の偉業にF1界も湧く「人間離れしている」
motorsport.com 日本版
リアム・ローソンのアグレッシブな走りは自信が戻ってきた証拠? レーシングブルズは”現状”好意的
リアム・ローソンのアグレッシブな走りは自信が戻ってきた証拠? レーシングブルズは”現状”好意的
motorsport.com 日本版
どんな時でも冷静沈着! チャンピオン候補ピアストリが持つ一味違う”強み”
どんな時でも冷静沈着! チャンピオン候補ピアストリが持つ一味違う”強み”
motorsport.com 日本版
フェラーリ代表の将来を疑問視する報道に「気分が悪くなる」とハミルトン。大きな信頼を置く恩師を擁護/F1第10戦木曜会見
フェラーリ代表の将来を疑問視する報道に「気分が悪くなる」とハミルトン。大きな信頼を置く恩師を擁護/F1第10戦木曜会見
AUTOSPORT web
クビサ、大怪我からの復帰後にル・マン優勝。アロンソとバスール代表が祝福「モータースポーツの伝説的人物だ」
クビサ、大怪我からの復帰後にル・マン優勝。アロンソとバスール代表が祝福「モータースポーツの伝説的人物だ」
AUTOSPORT web
フェルスタッペンの出場停止ピンチはチャンス? ブランドルはライバル勢の“挑発”を示唆「私がマクラーレンなら彼を煽る」
フェルスタッペンの出場停止ピンチはチャンス? ブランドルはライバル勢の“挑発”を示唆「私がマクラーレンなら彼を煽る」
motorsport.com 日本版
フェラーリがF1カナダGPで“大失敗”した理由とは? チーム代表が指摘。1-3達成メルセデスの仕事ぶりも教訓に
フェラーリがF1カナダGPで“大失敗”した理由とは? チーム代表が指摘。1-3達成メルセデスの仕事ぶりも教訓に
motorsport.com 日本版
フェルスタッペン、カナダ2位に「チームとして良い仕事ができた」しかしタイトル争うにはペース不足?
フェルスタッペン、カナダ2位に「チームとして良い仕事ができた」しかしタイトル争うにはペース不足?
motorsport.com 日本版

みんなのコメント

2件
  • nni********
    ラッセルがもう少し早くデビューしてたらハミルトンのタイトル獲得は難しかった
    代役でいきなりトップ走行
    解説の川井さんが何度も「ヘルメットの位置が高い」を強調していた
    ハミルトンの代役だが、ラッセルはハミルトンよりも10センチ以上の長身
    当然、長身は不利なので川井さんはそれでもトップ走行していたのを強調してた
    当時、最下位争いのウィリアムズのマシンで走行してたラッセルでも、メルセデスならトップ走行
    それだけ当時のメルセデスは圧倒的
    ハミルトンは確かに速いが、ラッセルでもタイトル獲得の可能性があることを実証してくれた!
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村