現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 今のボルボでは味わえない魅力とは? S90 クラシック試乗記

ここから本文です

今のボルボでは味わえない魅力とは? S90 クラシック試乗記

掲載 更新 1
今のボルボでは味わえない魅力とは? S90 クラシック試乗記

ボルボ・カー・ジャパンが運営する「クラシック・ガレージ」は、“古いボルボ”の整備やレストアを担うスペシャル・ショップ。今回、同ガレージが手がけたS90 クラシックに小川フミオが試乗した。

19台のクラシック・ボルボを商品化

“脱贅沢”なロールス・ロイスとは? 新型ゴースト日本上陸

ボルボは、そのデザイン哲学をことあるごとに喧伝してきた。

「グッドデザインとは、サーフェス(ボディ表面)のスタイリングのことを言うのではありません」。かつてボルボがくれた『Volvo Cars Design』という本にそうある。

「そのプロダクトを容易に理解できて、しかも使いやすくすること。それがデザインの重要な働きなのです」。

そんな言葉を、1998年型の「S90」を試乗して思い出した。シンプルなデザイン、取り回しの良いサイズ、居住性の良いインテリア……まさに、言葉通りではないか。

初代S90は、1996年発表のモデル。1990年に登場した「960」のマイナーチェンジ版である。あわせて名称も変更された。セダンは「S」、ステーションワゴンは「V」を頭につけるのは、現在にいたるボルボの新しい車種呼称システムである。

試乗したS90(すでに販売済み)は、ボルボの日本法人が運営するクラシック・ガレージが手がけた個体である。インポーター自身、ふるいクルマの整備に力を入れているのだ。したがって、試乗車の状態もすこぶる良好だった。

クラシック・ガレージは、S90に限らず、かつて日本で販売されたボルボのなかから、比較的程度の良い個体(中古車)があれば手を入れて、販売するビジネスも展開している。2019年は19台のクラシック・ボルボを商品化したという。

今回のS90クラシックは、「年配のご婦人が大事に乗っていたクルマ」(クラシック・ガレージの担当者)という。

ロング・ツーリングに適したクルマ

S90が高級なセダンであることは、いまもわかる。試乗車は、モデル末期に設定された上級グレードの「CLASSIC」。大きな特徴のひとつがエンジン。ポルシェ・エンジニアリングが手がけたと言われる2921ccの直列6気筒だ。

22年前のエンジンとはいえ、当時、ボルボがジマンしていただけのことはある。低回転域からトルクがしっかり出て、かつエンジンは上の回転域まで軽々とまわるのだ。147kW(200ps)の最高出力は6000rpmで、266Nmの最大トルクは4300rpmで発生するという比較的高回転型である。

運転していると、乗り心地がよさに気づく。1590kgの車両重量を利用し、ボディの揺れをびしっと抑える。加速性はよくて、ハンドリングはすなお。箱型ボディから想像するより、ファン・トゥ・ドライブがしっかりあるのにも、感心した。エクステリアから期待する以上の走りを楽しめる。

ロング・ツーリングがおそらくもっとも得意分野なはず。高速道路を流していると、たいへん快適。神経質ではないステアリング、よく動くサスペンション、振動を吸収するシートなどのおかげで、20年以上も前のクルマとは思えない。

ボルボがS90で提供したかったのは、“ぜいたくな移動時間”であることがよくわかる。余裕ある後席スペースを含む高い居住性と、大容量のトランクルームによって、多人数の長距離移動も問題ないだろう。オーソドックスな3ボックス・スタイルは、機能的だ。しかも、今見ると個性的。

かえって新鮮で、魅力的

インテリアも個性的。現在のボルボは、ホワイト基調の明るいインテリアが主流。しかしS90はブラック基調だ。

申し訳ていどに明るいウッド調のパネルが、インテリア各所に貼ってあるものの、これはクルマのイメージに合わないように思う。ダーク系のほうがよかっただろう。でもひょっとしたら、こういうややちぐはぐなかんじも「おもしろい」と、思うユーザーがいても不思議ではない。

1998年型のS90に乗って思ったのは、今のボルボと大きく異なること。とくに内外装のデザインは違いが多い。

歴史に残るデザインの傑作とはいえないかもしれないが、当時のボルボがやれることを精一杯やったと思わせる。新車で売られていた時期からあるていど時間がたった今、かえって新鮮で、魅力的ではないだろうか。

文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.)

こんな記事も読まれています

フォルクスワーゲン「ポロGTI」誕生25周年!記念モデルを227台限定で発売
フォルクスワーゲン「ポロGTI」誕生25周年!記念モデルを227台限定で発売
グーネット
ヒョンデ 新型高性能EV「アイオニック5N」発売!50台限定の特別仕様⾞も設定
ヒョンデ 新型高性能EV「アイオニック5N」発売!50台限定の特別仕様⾞も設定
グーネット
日産 コネクテッドサービス「ニッサンコネクト」が進化!アプリから操作できる機能が倍増
日産 コネクテッドサービス「ニッサンコネクト」が進化!アプリから操作できる機能が倍増
グーネット
メルセデス・ベンツ 「GLCクーペ」PHEVモデル登場!電気モーターのみで118キロ走行可
メルセデス・ベンツ 「GLCクーペ」PHEVモデル登場!電気モーターのみで118キロ走行可
グーネット
マツダ、新型電動車セダン「MAZDA EZ-6」とSUVコンセプト「MAZDA 創 ARATA」を北京モーターショーで初公開
マツダ、新型電動車セダン「MAZDA EZ-6」とSUVコンセプト「MAZDA 創 ARATA」を北京モーターショーで初公開
月刊自家用車WEB
加藤陽平TD、転倒後も「表彰台にはチャレンジできるなと思っていた」。新加入ダン・リンフットの印象も/EWCル・マン24時間
加藤陽平TD、転倒後も「表彰台にはチャレンジできるなと思っていた」。新加入ダン・リンフットの印象も/EWCル・マン24時間
AUTOSPORT web
ダッシュボードは大改善 フォルクスワーゲンID.5 GTXへ試乗 「7」と同モーターで339ps
ダッシュボードは大改善 フォルクスワーゲンID.5 GTXへ試乗 「7」と同モーターで339ps
AUTOCAR JAPAN
「ミウラ」「カウンタック」「ストラトス」はガンディーニの作でした! オートモビルカウンシル2024で「追悼展示」が急遽開催
「ミウラ」「カウンタック」「ストラトス」はガンディーニの作でした! オートモビルカウンシル2024で「追悼展示」が急遽開催
Auto Messe Web
クルマの買取もグーネットアプリにおまかせ!相場価格がわかる新サービス、3つの便利なポイント
クルマの買取もグーネットアプリにおまかせ!相場価格がわかる新サービス、3つの便利なポイント
グーネット
「お金なさすぎて家賃払えなくて…」大阪出身“売れっ子芸人”が高級SUV「Gクラス」を納車! 東京で“人生初”の車購入「盛山さんがベンツ購入って感慨深い」「夢あるなー」と反響
「お金なさすぎて家賃払えなくて…」大阪出身“売れっ子芸人”が高級SUV「Gクラス」を納車! 東京で“人生初”の車購入「盛山さんがベンツ購入って感慨深い」「夢あるなー」と反響
くるまのニュース
キドニー・グリルからキンクまで 「BMWらしいデザイン」とは何か 8つの特徴を紹介
キドニー・グリルからキンクまで 「BMWらしいデザイン」とは何か 8つの特徴を紹介
AUTOCAR JAPAN
マツダ、北京モーターショーで新型電動車2機種を初披露。2024年中に1車種を発売
マツダ、北京モーターショーで新型電動車2機種を初披露。2024年中に1車種を発売
driver@web
3/4サイズの「セブン」は50ccの原付きカー! ワンオフで製作してナンバー取得済み。左足アクセル仕様の理由とは【マイクロカー図鑑】
3/4サイズの「セブン」は50ccの原付きカー! ワンオフで製作してナンバー取得済み。左足アクセル仕様の理由とは【マイクロカー図鑑】
Auto Messe Web
「しっとり」と「猛烈」の共存 BMW i5 M60 xドライブ 電動の旗艦が見せた幅広い守備範囲に脱帽
「しっとり」と「猛烈」の共存 BMW i5 M60 xドライブ 電動の旗艦が見せた幅広い守備範囲に脱帽
AUTOCAR JAPAN
自動車のカタログ好きは集まれ! ACC・JAPANが東京交歓会を開催
自動車のカタログ好きは集まれ! ACC・JAPANが東京交歓会を開催
driver@web
B-Max Racing Teamが厚木基地の日米親善春祭りにレースカーを展示。乗車体験やサイン会で盛り上がる
B-Max Racing Teamが厚木基地の日米親善春祭りにレースカーを展示。乗車体験やサイン会で盛り上がる
AUTOSPORT web
ホンダ「ヴェゼル」マイナーチェンジ!アウトドアスタイルの新パッケージ「HuNT」登場!
ホンダ「ヴェゼル」マイナーチェンジ!アウトドアスタイルの新パッケージ「HuNT」登場!
グーネット
メルセデスベンツ『Gクラス』にEV誕生、4モーターで587馬力…北京モーターショー2024
メルセデスベンツ『Gクラス』にEV誕生、4モーターで587馬力…北京モーターショー2024
レスポンス

みんなのコメント

1件
  • ウッドの使い方が時代を感じさせますね。
    メーター内のアナログ時計がまた泣かせます。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1089.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

68.0889.0万円

中古車を検索
S90の車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1089.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

68.0889.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村