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【320km/h超えに挑戦】マクラーレン720S(4) マクラーレンF1と競争 長期テスト

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【320km/h超えに挑戦】マクラーレン720S(4) マクラーレンF1と競争 長期テスト

積算 6052km サマータイヤに交換

text:Andrew Frankel(アンドリュー・フランケル)

【画像】マクラーレン720SとF1 全58枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


長期テストのマクラーレン720Sを、少々気が早いがサマータイヤに戻すことになった。走行ペースも良好な乗り心地も変わらないけれど。 現状の720Sも気に入っているが、何かアップグレードしたいと考えている。

積算 6347km 汚れが溜まるリアスポイラー

720Sのリアスポイラーには窪みがあり、そこに汚れが溜まりやすい。外気温が氷点下のときには、フリスビーのような大きな氷ができあがる。空力的に狙っていたことではないと思うけれど。

クルマにしばらく乗らないでいると、その窪みに色々な汚れも溜まってしまう。些細なことだが気になる、デザイン上の必然から生まれた短所ともいえる。

積算 8067km 高圧洗浄機での洗車が楽しい

ほかのクルマでは感じたことがなかったが、マクラーレン720Sを高圧洗浄機で洗う作業が楽しい。ボディに沿ってスポンジを当てると、複雑なデザインであることに改めて気付かされる。

高圧ジェットで水をボディに当てて、どのような水流が生まれるのか観察するのも楽しい。まるで自分が風洞実験をしているように錯覚できる。 エアロダイナミクスを優先させた美しいボディならではだ。

積算 8941km F1の339km/hに挑戦

25年前、筆者はマクラーレンF1に乗り、滑走路を全開で走らせた。ブランティングソープ飛行場をどれだけ短時間で駆け抜けることができるのか。自分の意識が遠くなるような気がしたが、無事にこなせた。

その時に到達した速度は339km/h。可動式の空力装備はまだ完全には機能していないプロトタイプで、アクセルペダルから足を離した時の感覚は、とても興味深いものだった。下手な修正や急ブレーキを掛けることなく、通常の速度域に戻す方法を自ら考えて、実行しなければならなかった。

このテスト走行は、1950年代の爆撃機用に用意された滑走路全面を使用した。そして今回、当時と同じマクラーレンF1のプロトタイプと、長期テスト車両の720Sを走らせることになった。肩を並べるだけのパフォーマンスを備えた、現代のクルマの方が、時代分だけ進化していることを実感した。

ただし、前回とはまったく同じ条件ではない。使用した滑走路は同じだが、走行ルートが異なり、滑走路への侵入速度は25年前より遥かに遅い。

最高出力はマクラーレンF1が636psなのに対し、マクラーレン720Sは720ps。車重は720Sの方が重いが、最高速度への影響はそれほど大きくはない。だが最高速度に到達させるまでの時間には大きな影響がある。

エアロダイナミクスも関係する。720Sの方がボディが大きい分、前面面積が大きい。ダウンフォースも大きいから、必然的に抵抗値、ドラッグも大きくなる。しかも当時と異なりわたしは25歳も年齢を重ねた。最後まで集中力は維持できるだろうか。

超高速域からでも安定のブレーキング

321km/h (200mph)の企画を実現するには、ドライバーの隣に座ってくれるカメラマンを見つける必要もある。猛烈なスピードの中で平穏を保ち、写真を撮影してもらわなくてはいけない。

25年前、とあるカメラマンは乗車を拒否した。幸いなことに、今回お願いしたリュク・レーシーは一切不安がることもなかった。この企画にかなり興奮して賛同してくれたし、見事に冷静に仕事をこなしてくれた。

マクラーレン720Sをスタートさせ、可能な限りハイスピードを保って滑走路に入る。スピードメーターの数字を横目にクルマを加速させる。滑走路の前半は緩い上り坂で、初めは予想より加速は遅めだった。下りに変わる付近で290km/hに到達すると、そこからさらに加速していく。

しばらく走って、正確に計測できるスピードメーターで313.8km/hに届いた。さらに318.6km/hへと数字を伸ばすさなか、この720Sで321km/hにタッチする意味を少し考えてしまった。

マクラーレン720Sはとても快適にスピードを乗せていき、320km/hでブレーキを踏んでも良いかとも思ったが、結局200mphという数字がスピードメーターに表示されるのを見て、更にもう少し加速を続けた。

マクラーレンF1の時とは異なり、321km/h以上の速度からのブレーキングは、160km/h位からのブレーキングとさほど変わらないものだった。クルマはぐらつくこともなく、速度を勢いよく殺していく。

ドラッグの大きさが影響した最高速度

写真は取れた?とカメラマンに尋ねる。リュク・レーシーは、少し残念そうにスピードメーターの数字を撮影した画像を見せてくれた。数字は201mph(323.4km/h)を表示している。

できる限りのことをしたが、同じ距離でクラーレンF1が達成した339km/hに720Sは届かなかった。その理由は、ドラッグの大きさにあると思う。720Sの方が84psも最高出力が高いのに、720Sの公称最高速度は341km/h。一方でマクラーレンF1は386km/hなのだ。

当時にそれは、マクラーレン720Sが高速走行時にも極めて安定しており、コーナリングが速い理由の1つでもある。年間を通じても現実味のない、最高速度を出せる力を秘めているだけが、スーパーカーの取り柄ではないといえるだろう。

テストデータ

テスト車について

モデル名:マクラーレン720S ラグジュアリー(英国仕様)
新車価格:22万4990ポンド(3149万円)
テスト車の価格:24万6450ポンド(3452万円)

テストの記録

燃費:9.2km/L
故障:コーナーを曲がる途中でヘッドライトが消えた
出費:なし

気に入っているトコロ

姿勢制御:高速域に達しても、揺るぎなく姿勢を常に保ってくれる。もし充分な直線さえあれば、320km/hのスピードにタッチすることもさほど難しくはない。

気に入らないトコロ

電動シートの調整:操作部が目に見えず、感覚的にもわかりにくい。今でも意図とは違う動きをさせてしまうことがある。

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