無料バスの現状と利用実態
郊外型ショッピングモールは、自動車での来店を前提としているケースが多い。だが近年は、車を持たない高齢者や学生、公共交通の利用者を対象に、「無料バス」の運行が広がっている。栃木県宇都宮市の「FKDショッピングモール宇都宮インターパーク店」では、JR宇都宮駅からおよそ1時間おきに無料シャトルバスが出ている。所要時間は約30分だ。
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環境省が実施したアンケート調査では、このバスについて「知っているが利用したことがない」と答えた人が62%を占めた。「知らない」は28%、「知っていて利用したことがある」は約10%だった。
無料シャトルバスは、モールにとって新たな顧客を取り込み、来店頻度を上げる施策として有効だ。実際に全国各地で導入事例が増えている。背景には、中心市街地の衰退や地域の高齢化、公共交通の利便性の低下といった社会的課題がある。こうしたなかで、モール側は新たな顧客の獲得と、地域への貢献を両立しようとしている。
本稿では、郊外型ショッピングモールにおける無料シャトルバスの現状と課題、そして今後の進化の可能性について詳しく見ていく。
集客と地域活性化の両立を実現
無料シャトルバスは単なる送迎サービスにとどまらず、地域における移動手段としての機能も果たしている。環境省のアンケートによると、FKDインターパーク店の来訪者の多くは自家用車を利用していたが、無料バスを含む公共交通の利用者も一定数確認された。とりわけ、高齢者や学生など、車を持たない層にとっては、こうしたバスが実質的な足となっている。
モール側にとっても導入は顧客基盤の拡大につながる。
・来店頻度の向上
・購買単価の上昇
といった経済効果も見込める。岐阜県の事例では、無料バスの運行開始後、中心市街地から郊外への顧客流出が緩やかになり、結果として商店街の活性化にも寄与したという報告がある。郊外型モールは公共交通の便が悪い地域に立地するケースが多く、無料バスがその補完的手段となっている。
加えて、無料バスは地域の移動弱者支援にも貢献している。例えば埼玉県南西部に位置する日高市では、コミュニティーバスの存在が高齢者や移動困難者にとって不可欠な移動手段となっており、「運行を継続してほしい」との声が多く寄せられている。
無料シャトルバスは、単なる集客施策ではない。地域における移動インフラの一部として、生活支援や社会的包摂の観点からも重要性を増している。
無料バス導入の課題
郊外型ショッピングモールにおける導入には、いくつかの課題がある。第一に挙げられるのが「運行コスト」の問題だ。モール側が費用を負担するケースが多く、1日あたり数万円のコストが発生することもある。持続的な運行には、厳格なコスト管理が不可欠となる。
次に、「既存の路線バスや自治体が運行する循環バスとの競合」も避けて通れない課題だ。一部の自治体では、民間バス事業者との協議を通じて、路線や運行時間を調整し、競合を最小限に抑える取り組みが進められている。モールが独自に無料バスを導入する際には、自治体や既存バス事業者との綿密な調整が不可欠となる。サービスの重複や利用者の分散を防ぐためにも、慎重な設計が求められる。
さらに、無料バスの認知度や利用実績には地域差がある。すべてのモールで十分な集客効果が得られるとは限らない。例えば、茨城県の県南地域に位置するつくば市のコミュニティーバスは認知度が9割を超える一方で、最寄りのバス停の認知度は
「約5割」
にとどまっている。必要な情報が十分に行き届いていないケースも少なくない。奈良県中西部に位置する香芝市のアンケートでも、コミュニティーバスを「知っている」と答えた人のうち、実際に利用しているのは約19%に過ぎず、認知と利用の間に大きなギャップが存在している。
各地のアンケート調査からは、運行ダイヤやルート設定が利用者にとって重要な関心事項であることも明らかになっている。利用実態に即した柔軟なサービス設計が、今後の継続的な利用促進には不可欠といえる。
無料バスの社会的意義と今後の可能性
国土交通省や地方自治体の調査によると、郊外型ショッピングモールの利用者や地域住民のなかには、公共交通の利便性の低さや車の運転が難しいことを理由に、外出をためらう人が一定数存在する。
国土交通省が2019年年度に実施した「高齢者の移動ニーズに対応した旅客運送サービスに関する調査研究」では、高齢者の約6割が「公共交通の利便性向上」を課題として挙げている。高齢者の移動手段を支えるうえで、公共交通の改善は避けて通れないテーマとなっている。
こうした背景のもと、無料バスの導入は地域活性化にも寄与している。岐阜県や日高市の事例を見ても、
・住民同士の交流促進
・地域のつながり強化
といった副次的効果が確認されており、単なる移動手段以上の価値を持ち始めている。
持続的なサービス提供には、運行コストの分担や、利用者データを活用した効率的なダイヤ設定が不可欠となる。一部のモールでは、買い物金額に応じて無料バスチケットを配布する取り組みも始まっている。今後は、こうした利用促進策に加えて、環境負荷低減を意識した運行計画も求められるだろう。
集客と地域貢献の両立を図る郊外型ショッピングモールの無料バスは、新たな地域交通の潮流として注目されている。移動手段の確保と生活支援、そして継続的な集客を実現するモデルとして、導入の広がりに期待がかかる。(木村義孝(フリーライター))
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みんなのコメント
主に免許をもたない高齢者や学生の集客にバスは効果的でも、無料だと運行コストや利用客以外のタダ乗りといった問題もあってか、廃止や縮小されたり、事業者のほうで有料の路線バス化される事例も目立つ。
ショッピングモールに来る客はお金があるのだから自家用車やタクシーで来ればいい。