学生が手がけたとは思えないほどの完成度!
インテックス大阪で2月11日(祝・月)まで開催された「大阪オートメッセ2019」。地元・関西の日産京都自動車大学校は、今年は日産愛知自動車大学校とともに2ホールにブースを構え、京都校が「Itachi」と「NATCK-F 00」、愛知校が「Z34サファリVer.」を出展した。言うまでもなく、いずれも各校の学生が手掛けた力作だ。
【大阪オートメッセ2018】日産京都自動車大学校の学生が名機SR20のメーカーチューンドNAを搭載した初代サニークーペを制作!
愛知校カーボディマスター科のカスタムカー「Z34サファリVer.」、その製作コンセプトは「蘇るラリーカー」。ここでいう「ラリーカー」とは、日産車好きなら言わずと知れた、S30型フェアレディZのサファリラリー参戦車だ。
足もとには235/75R15のBFグッドリッチ・マッドテレーンT/A KM3を装着したほか、サスペンションの上下にスペーサーを入れて車高をアップ。これにFRP製のオーバーフェンダーと前後バンパーを装着している……と思いきや、リヤセクションを見てみると、本来あるはずのハッチゲートとガラスがない。その代わりに、下半分が手前に開くゲートが備えられている。
聞けば「ピックアップのユーティリティを持たせるため、リヤの外板は丸ごと作り直した」のだという。ただし「剛性低下を最小限に抑えるため、骨格はそのまま残してある」そうだ。
さらに内外装の細部まで目を凝らすと、Aピラーからルーフレール、Bピラー、ドアハンドル、さらには室内の後部中央にまで、微細な彫金が施された銅板が装着されている。この辺りの派手な装飾は、愛知らしさを表現したものと言えるだろう。
だがそれ以前にこの車両、左ハンドルなのである。「なぜわざわざ北米仕様を?」と率直に疑問をぶつけると、「実はこの車両、Z34の開発に使われたプロトタイプなのです。だから細部が市販車とは異なるのです」と、衝撃の事実を暴露。さすが日産直系の専門学校と言うべきか、度量の広さというかスケールの大きさに度肝を抜かれた。
GT-Rの限定車テイストを盛り込んだマーチにも注目!
京都校カスタマイズ科の学生が担当したカスタムカー「Itachi」は、マーチを「GT-R50byイタルデザイン」風に仕立てたモデルで、そのコンセプトは「若者の車離れを阻止せよ」。若い人でも手に届きやすいマーチをベースに、“カッコいい”“運転したい”と思ってもらえることを目指して製作されている。
「GT-R50 byイタルデザイン」と同じくゴールドのアクセントが目を引くフロントグリルの中央には、GT-Rエンブレムとブラックのバーを使用。それ以外のフロントセクションはFRPでワンオフ製作されているが、ボンネットの裏には京都を象徴する紅葉が描かれているというのが心憎い。
そしてその下には、標準のHR12DE+CVTに代えてマーチニスモSのHR15DE+5速MTを搭載するという本格派だ。
ブリッツの車高・減衰力調整式サスペンション「ダンパーZZ-R」と、レイズの鍛造1ピースアルミホイール「ボルクレーシングZE40タイムアタックエディション」で低く構えたボディサイドに。よく見てみると、GT-Rの埋め込み型ドアハンドルを前後に採用し、リヤドアにはさらに独自のZ型プレスラインを形成。Cピラーには赤のアクセントがまぶしい「Itachi」エンブレム入りガーニッシュが装着されていた。
そして、GT-Rの丸型テールランプを装着したリヤまわりには、インパル製リヤウイングやディフューザーも与えられ、極めてレーシーな装いに生まれ変わっていた。
インテリアは、レカロシートやクスコの4点式シートベルト、スパルコのバックスキンステアリングを使用するだけに留まらない。ダッシュボードをカーボン調、エアコン吹出口やドアハンドル、カップホルダーなどをゴールドアクセント入りとして、外装のイメージを踏襲。「市販車に近いクオリティを目指した」というだけにその質感は高く、実際に来場客から「キット販売してもいいのでは」と評価されたそうだ。
同じ京都校のもう1台、一級自動車工学科が担当した「NATCK-F 00」は、自動車技術会が主催する「学生フォーミュラ」への出場を目指して製作した試作車。同科の吉澤英行先生によれば、「自動車整備だけではなく、ものづくりも経験させたい」というのが、学生フォーミュラ参戦を計画した最大の理由とのこと。
「違う部署が連携することは、学生のうちはなかなかありませんが、社会では当たり前のことです。マシンの開発・製作・走行に加え、市販を想定したコスト計算やプレゼンテーションも求められる学生フォーミュラの競技を通じ、それを経験させることができます。ですからマシン開発・製作に対しても教員は口を出さず、スポンサーを募る活動も学生に任せています」
昨年4月より開始したこの計画はマシンの構想に多くの時間を要し、本格的に製作がスタートしたのは10月ごろからだというが、会場に展示されていた実車は仕上がり品質が高く、初挑戦とは思えないほど。しかも初代リーフのモーター・インバーターをミッドに搭載し、EVクラスへ参戦するというから、今シーズンの活躍に期待大、だ。
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