天候を問わずオープン状態でパトロール
英国のロンドン警視庁へ、デイムラーSP250のパトカーが導入されたのは、1961年8月20日。「クラス1の試験に合格した、25歳以上の特別な隊員をデイムラーに割り当てます」。と、当時の警視庁幹部はメディアへ語っている。
【画像】こう見えて実は「パトカー」 MGA 1600 デイムラーSP250 同時期の多彩な英国車たち 全181枚
広い視界を確保するため、隊員は天候を問わずオープン状態でパトロールしたらしい。目立たせる理由もあったようだ。1961年のデイリー・ミラー紙は、市街地を走る若いライダー・グループが、200km/h以上出るパトカーで取締りを受ける様子を報じている。
配備された3台のSP250のパトカーは、最初の1か月に140人をスピード違反で検挙。その活躍が知られると、他の地域の警察も導入を進めていった。ロンドン警視庁は、1964年9月の生産終了までに、合計26台を発注している。
1964年末、最後の1台のパトカー仕様が納入。1966年以降の新規車両は、サンビーム・タイガーへ交代され、SP250の運用は1969年に終了した。
551 CLUのナンバーで登録された、ジョン・ドーセット氏のSP250 パトカーは、警察の広報媒体にも登場。着任から最初の1年半は、事故防止を目的に、ライダーのたまり場を巡回したという。
そこには、ロンドン郊外のエース・カフェも含まれていた。常連客には、歓迎されなかったとしても。「以降はロンドン南部のソーントン・ヒースを拠点にし、1965年末まで現役だったようです」。ジョンが説明する。
「自分は2014年に購入しました。前オーナーが高齢で運転できなくなり、15年も保管されたままだったんです。ディファレンシャルをリビルドしましたが、それ以外、購入後は快調です」
レスポンスは信じられないほど 2速で160km/h超
MGAと並ぶと、SP250のボディは優しくカーブを描き、上品に見える。フロントガラスやドアハンドルの形状も美しい。
フロントシート側はゆったりしているが、リアシート側は大人が座るには厳しい広さだ。「運転席の後ろに、警察官の候補生を乗せていたという情報を、デイムラーから以前に聞きました。かなり狭かったでしょうね」。ジョンが笑う。
SP250のボディはグラスファイバー製。落ち着いた塗装色だが、テールにフィンがそびえる印象的な造形で、少し調和していないように見える。
「ロンドンの警察は、パトカーにブラックを選んでいました。堂々とした見た目で、コストを抑えられたからでしょう。その後のタイガーは、ホワイトに塗られていますが」
インテリアはMGAより豪華。ドライバーズシートは居心地が良い。運転が楽しいと、ジョンが説明する。「集中力を切らすことはできません。快適なクルーザーというより、ライトウエイトでレスポンシブな、万能なスポーツカーだと思います」
トランスミッションは、ボルグワーナー社製のオートマティック。高速隊は、マニュアルよりパトロールへ適していると判断したらしい。
「レスポンスは信じられないほどです」。と彼は付け加えるが、2速で160km/hまで豪快に加速できる。この勇ましさで、命知らずの若者ライダーの取締りが可能だったのだろう。V8エンジンの怒号と、ウィンクワース社のベルを響かせながら。
数え切れない命を救った誇らしい歴史
他方、MGAは軽量で正確に操れると、オーナーのサイモン・ドワイヤー氏が説明する。「MGBは、MGAよりだいぶ重く感じられます。走行中は、路面の凹凸が細部まで伝わってきますよ」
「このクルマにはオーバードライブがなく、5速目が欲しいと感じることもあります。ギア比は、100km/h程度までは完璧。それ以上まで加速すると、ショートすぎますね」
「パトカーになったとしても、MGAは、高速道路が普及する以前に設計されたクルマといえるでしょう」。彼がもう1つ不満に感じているのが、ドアの狭さ。警官が格好良く乗り降りするには、シートを回転させる必要があるだろう。
白いMGAは、英国の変化する交通事情に対応していった、高速隊の過去を今に伝える。ランカシャー州の警察は、スピード違反を取締るパトカーを配備し、新たな時代を切り拓いた。白い塗装と、点滅するPOLICEの行灯で。
自動車の普及だけでなく、高速道路時代の到来も象徴していた。ただし、MGAには1930年代的なディティールも残り、1960年代の高速隊には課題のあるパトカーでもあった。
SP250は、落ち着いたサルーン・ベースのパトカー、ウーズレー6/99と乗り比べると、まるで別物のマシンに感じられたことだろう。「ロンドンでの新しい交通取締りを象徴するものだったと思います」。ジョンは自身の考えを話す。
パトカーとしての能力は違っても、この2台が数え切れない命を救ってきたという経歴では共通している。どちらも誇らしい歴史を持つ、ブリティッシュ・ロードスターだ。
協力:スティーブ・ウッドワード氏、ポリスカーUK社、アンバリー博物館
パトカーとして活躍 ロードスター2台のスペック
MGA 1600 MkI(1955~1960年/英国仕様)
英国価格:940ポンド(新車時)/4万ポンド(約744万円/現在)以下
生産数:3万1501台
全長:3962mm
全幅:1473mm
全高:1270mm
最高速度:154km/h
0-97km/h加速:13.3秒
燃費:10.5km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:927kg
パワートレイン:直列4気筒1588cc 自然吸気OHV
使用燃料:ガソリン
最高出力:80ps/5600rpm
最大トルク:10.7kg-m/5500rpm
トランスミッション:4速マニュアル(後輪駆動)
デイムラーSP250(1959~1964年/英国仕様)
英国価格:1539ポンド(新車時)/5万ポンド(約930万円/現在)以下
生産数:2654台
全長:4077mm
全幅:1537mm
全高:1276mm
最高速度:201km/h
0-97km/h加速:10.2秒
燃費:10.3km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1006kg
パワートレイン:V型8気筒2547cc 自然吸気OHV
使用燃料:ガソリン
最高出力:142ps/5800rpm
最大トルク:21.3kg-m/3600rpm
トランスミッション:3速オートマティック(後輪駆動)
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