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数多くのモデルが誕生! トヨタ・グランエースへ続くトヨタが生み出したミニバンの歴史を辿る

掲載 更新 18
数多くのモデルが誕生! トヨタ・グランエースへ続くトヨタが生み出したミニバンの歴史を辿る

 5ナンバーサイズでスペース効率を求めた商用車から始まった

 ワンボックスカーは海外ではほとんど見られず、日本独自のジャンルと言える。その理由は税制にある。自動車税はかつて、排気量とクルマのサイズで決まっていた。5ナンバーサイズと3ナンバーサイズでは大きく税金が異なっていたのだ。税金をはじめとした維持費は安いほうがいいのは自明で、軽自動車を除けば、この5ナンバーサイズのクルマに人気が集中した。

VIPも大注目のトヨタ・グランエース! 圧倒的存在感の内外装を徹底チェック

 そんな限られたサイズでは、なるべくスペース効率の高いクルマが求められる。商用車ではなおさらだ。スペース効率の高いクルマとなれば、ワンボックスカーとなるのは必然であったと言える。

 日本では1966年にマツダ・ボンゴが登場し大人気となる。翌1967年トヨタ・ハイエースが登場。ボンゴがRR車だったのに対し、ハイエースはフロントのシート下にエンジンを置くFRキャブオーバースタイルだった。この方式は現在のワンボックスカーと変わらない。初代ハイエースはキャブオーバー型ワンボックスの元祖と言っていい。ビジネスユースがメインだったが、その広さや使いやすさから「自家用」として使う人も次第に増えてゆく。

 一方、1980年代に入ると北米で「ミニバン」という言葉が生まれる。3列シートを備えるクルマである。昔から大型のバンが闊歩していたアメリカ。形はそんなバンに似ていたがずっと小さかったため、そう呼ばれるようになった。ミニバンは北米で大人気になった。

 トヨタはこのミニバンに斬新極まりない手法でアプローチする。専用エンジンを75度傾けてフロア下に搭載するミッドシップレイアウトを採用し、内外装とも未来感満点のミニバン、エスティマを登場させる。キャッチコピーはそのスタイリングから「天才タマゴ」。北米では「プレビア」を名乗った。

 だが北米では不発に終わる。理由は“ミニバン=V6”のようなイメージがあったため非力と思われたこと、これでも小さすぎると思われたこと、などだ。一方日本では当初、大きすぎて販売の出足は悪かったが、次第に馴れ、ミニバンブームが到来したこともあってロングセラーモデルとして愛された。

 1967年 ハイエース(初代)

 日本初の本格的キャブオーバーバンは9人乗りのワゴンバージョンも設定

 フロントシート下にエンジンを搭載するキャブオーバー型ワンボックスのパイオニア。3/6人乗りのバン、3列シートで9人乗りのワゴン、12人乗りと15人乗りのコミューターをラインアップした。

 1973年 日産キャラバン

 6年遅れて宿命のライバル現わる

 ハイエースのライバルと言えば6年遅れて登場した日産キャラバン。スライドドアと一体化したボディを一周するモールが特徴。ハイエース同様3/6人乗りのバンと9人乗りのワゴン、15人乗りマイクロバスを設定した。

 1990年 エスティマ(初代)

「天才タマゴ」は斬新なミッドシップレイアウトを採用

 専用エンジンをフロアの下に75度傾けて搭載するミッドシップレイアウトを採用。1993年には、スーパーチャージャー仕様(160馬力)と8人乗り(当初は7人乗りのみ)の「エスティマX」を追加した。

 2001年 エスティマ・ハイブリッド

 ミニバン初のハイブリッドカー

 エスティマは2000年にフルモデルチェンジされFF化。翌年ハイブリッドが追加される。プリウスに次ぐハイブリッドカーで、ミニバンとしては初。後輪にもモーターを備える「E-Four」で10・15モード燃費は18km/Lを誇った。

 Lクラスミニバンの大ヒット作がついに誕生

 その後、ワンボックスカー市場は順調に成長し、レジャーユースのクルマとして選ばれるようになる。きわめて豪華な装備を誇るワンボックスも多く登場した。しかし1990年代に入ると、重篤な問題が発生する。

 それは「衝突安全性」だ。たとえ事故になっても、ある程度キャビンのなかの乗員を守らなければならない、ということ。そのためには衝突時の衝撃を適度に吸収する「クラッシャブルゾーン」が不可欠だ。ところがワンボックスカーはどうだろうか。運転席の前方にボンネットはない。つまりワンボックスカーのままではクラッシャブルゾーンの確保は困難だった。

 ということで1990年代、ワンボックスのミニバン化が始まる。ハイエースもその例に漏れず、1995年、グランビアを登場させた。ヨーロッパ仕様のハイエースを日本市場向けにアレンジしたクルマだった。実質的にハイエースの後継モデルと言える。幅1.8m、全高2m近い堂々としたサイズで、フロントには明確なノーズを持つ。兄弟車として、5ナンバーサイズまでサイズダウンしたハイエースレジアスも設定。ミニバン時代の到来だった。

 1995年 グランビア(初代)

 衝突安全性に対応するためノーズ付き大型ミニバンへ進化

 全幅は1.8m、全高も2mに迫るなど、当時としてはきわめて大型のセミキャブオーバー型ミニバン。当初のラインアップは3Lディーゼルターボと2.7Lのガソリンだったが、1997年に3.4LのV6エンジン搭載モデルが追加された。

 1999年 グランドハイエース

 マイナーチェンジを機に新設定。当時のライバル、日産エルグランドを意識してか大型メッキグリルなどで存在感を高めた。 だがグランビアは大苦戦を強いられる。強力なライバルがいたのだ。

 1997年に登場する日産エルグランドである。メッキなど多用した迫力あるボディスタイル、ディーゼルもあったが主力は3.3L V6エンジン、高品位な室内によって月販1万台を超えるほどの大ヒットとなる。グランビアはマイナーチェンジで対抗するも力及ばず後塵を拝した。

 そこで一念発起。2002年5月、FFミニバン、エスティマをベースに、さらに大きなボディと豪華絢爛な装備を備えるアルファードを登場させた。同時期にエルグランドは2代目モデルが登場。初代と同様のFRミニバンで3.5L V6を搭載していた。勝負はアルファードが圧勝する。アルファードは3L V6に加えて、2.4L直列4気筒モデルも用意していた。この比較的廉価なモデルも大ヒットに貢献。あわてた日産が2004年に2.5Lモデルを加えたほどだった。

 2003年にはアルファードハイブリッドも登場。強敵をねじ伏せたアルファードは、現在に至るまでプレミアム大型ミニバンのベンチマークとして市場に君臨している。

 1997年 ハイエースレジアス

 5ナンバーサイズに収めたグランビアの弟分

 グランビアの兄弟車だが、こちらは5ナンバーサイズに収まる。グランビア同様2.7Lガソリンと3Lディーゼルターボを搭載。通常モデルに加え、若干スポーティな「ウインドツアラー」も設定する。

 1999年 ツーリングハイエース

 マイナーチェンジでレジアス「ウインドツアラー」の兄弟車として新設定。専用のエアロパーツを備えたスポーティモデル。

 1997年 トヨタ・ハイメディック

 歴代救急車もハイエースがベース

 トヨタの救急車「ハイメディック」は歴代ハイエースがベース。1997年にはグランビアベースにスイッチされた。3.4L V6エンジンを搭載。現在は現行ハイエースをベースにした車両が登場している。

 2002年 アルファード(初代)

 大型のボディと豪華絢爛な装備で大人気プレミアムミニバンに成長

 FFベースのプレミアム大型ミニバン。3L V6と2.4Lの直4を搭載。大型のメッキグリルに高品位な内外装で大ヒットする。通常モデルに加え専用エアロパーツを装着するグレードも人気を呼んだ。

 2003年 アルファードハイブリッド

 中身はエスティマハイブリッドと同様のモデル。後輪をモーターで駆動させる電気式4WDで、10・15モード燃費で17.2km/Lを誇る。

 アルファードの派生モデルも登場し不動の地位を築く

 レジャーカーとして1ジャンルを築いたワンボックスカー。バブル真っ只中の1989年に登場した4代目ハイエースは、ワゴンモデルに豪華装備の高級グレードを用意。室内もフルフラットモードや回転対座モードを備えるなどレジャー向け装備を満載した。価格も300万円を大きく超えるものまで用意された。

 5代目が登場するのは2004年。フロントノーズはきわめて短く、ワンボックスカーのフォルムと言っていい。しかし、先の衝突安全性面はどうなったのか。確かに1990年代は、グランビアのように明確なノーズがないと衝突安全性を確保するのは困難だった。だがそこから技術が進歩し、5代目ハイエースの頃には、ほぼワンボックスのフォルムでも衝突安全性が確保できるようになっていたのだ。

 だが状況は変わった。ミニバンブームと言われ、日本でミニバンはすっかり市民権を得ていた。アルファードは高級ミニバン市場を席巻するほど大ヒットしていた。

 そこで5代目ハイエースは、高級車部門をアルファードに任せ、ビジネスユース向けの実用車に徹した。ワゴンは10人乗りのみの設定に留め、多様な商用バンを展開。そんな5代目ハイエースはトヨタの隠れたベストセラーへと成長する。ビジネスユースだけでなく、キャンプなどで使用する大型レジャー用品、オフロードバイクなども積載でき、幅広いユーザー層から人気を得ることに成功した。積載性に加え優れた耐久性も魅力のひとつだ。

 プレミアムミニバン市場で大成功を収めたアルファードだが、モデルチェンジの際、トヨタはまたしても攻めに転じる。アルファードにはトヨペット店扱いの「G」と、ビスタ店(2004年からはネッツ店)扱いの「V」があったが、フルモデルチェンジを機に、Vを別の独立した車種に変更したのだった。それが2008年に登場したヴェルファイアである。

 中身は2代目アルファードと同じだが、上下2分割ライトなどアルファードと明確に差別化された。室内も豪華絢爛で、ヴェルファイアはアルファードをしのぐほどの人気を獲得。攻めは大成功だった。2011年のマイナーチェンジでは、ハイブリッドモデルが登場。人気に拍車をかけた。

 2004年 ハイエース(5代目)

 原点回帰した質実剛健な実用車でトヨタの隠れたベストセラー

 15年ぶりのフルモデルチェンジ。高級感などはアルファードに任せ、実用車として原点回帰した。多様なバンを主力に10人乗りのワゴンも設定。高い積載性と耐久性が人気で隠れたベストセラーカーだ。

 2008年 ヴェルファイア(初代)

 アルファードから独立しアグレッシブスタイルで人気モデルに

 アルファードのフルモデルチェンジでネッツ店扱いの「V」を差別化、新車名が与えられた。上下2分割ライトなど、外観もアルファードと異なる。アルファード以上の人気を獲得する。

 2011年 ヴェルファイアハイブリッド

 マイナーチェンジを機にアルファードとともにハイブリッドを設定。やはり電気式4WDで、JC08モード燃費は最高で17km/L

 2012年 ヴェルファイアG’s

 大型ミニバンでもスポーツできる!

 トヨタの展開していたスポーツコンバージョンがG Sports(G’s。現GR SPORT)。2012年にはヴェルファイア&アルファードにも設定。専用サスで車高30mmダウン、スポット溶接を増やすなどボディまで手の入ったコンプリートモデル。

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みんなのコメント

18件
  • 国産ミニバンなんか貨物車と同類だし幼稚園や教習所のバス
    みたいな車なんて買って楽しいの?

    メッキもLEDも快適装備もいらないしシートはビニールの薄いやつで十分!オラつく奴バカだろ(笑)
  • 基本、貨物車から発展したモデルと、乗用車ベースや専用設計で出てきたモデルでは乗り味に大きな差がありましたね。乗せられるのは快適だが、運転するのは御免こうむりたいクルマなのもこのクルマ達ですね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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