「トヨタスープラ」と聞くと、映画『ワイルド・スピード』でおなじみの80スープラや、現行DB型のことを自動的にイメージしてしまう人もいるかもしれない。だがよく考えてみれば、「70スープラ」こと日本国内では初代にあたるトヨタスープラも、かなり魅力的な存在であるのだ。
詳しくご承知の方も多いだろうが、70スープラは、2代目トヨタソアラと共通のプラットフォームを使用する兄弟車として1986年に国内デビューした、1980年代を代表するトヨタのスポーツGTだ。
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その70スープラは今、いくらで売っているのか? 中古車相場とともに、部品はまだ手に入るのか? 中古車事情に詳しい伊達軍曹が専門ショップに徹底取材! 70スープラの現在地をお届けしよう!
文/伊達軍曹
写真/伊達軍曹 トヨタ
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リトラクタブルヘッドライトの70スープラが欲しい!
1986年2月に登場した前期型スープラ3.0GTターボ。搭載されたエンジンは7M-GTE型3L、直6ターボで230ps/33.0kgmを発生
70スープラ後期型の2.0GT ツインターボ(1988~1993年)
後期型2.0GT ツインターボに搭載された2L、直6ターボエンジンの最高出力は210ps/28.0kgm
1990年8月のマイナーチェンジから登場した2.5ツインターボR。2.5L、直6の1JZ-GTE型エンジンを搭載。トヨタ車初となる最高出力280psを発揮する
ロングノーズ&ショートデッキのフォルムは麗しく、5ナンバーとなる標準ボディのほか、1987年からはブリスターフェンダーの「ワイドボディ」を追加。また通常ルーフのほか、エアロトップ(一般的にはタルガトップと呼ばれるルーフ形状)も選択できた。
当初の搭載エンジンは2L、直6自然吸気のSOHCとDOHC、そして同じく2L、直6のツインターボと、3L、直6ターボ。トランスミッションは5MTと4速ATが用意されていた。
1988年8月のマイナーチェンジで車体前後のデザインを変更するとともに、2Lツインターボと3Lターボをハイオクガソリン仕様に改良。そして3L車はすべて輸出仕様と同じワイドボディになった。
またこの時、全日本ツーリングカー選手権のホモロゲーション取得用モデルとして、3Lターボの7M-GTEUエンジンに専用開発の大容量タービンを装着した「3.0GTターボA」が500台限定で販売されている。
1989年8月、2Lツインターボの「GTツインターボ」にもワイドボディが追加され、3.0GTターボにはパワーシートなどを省略した廉価仕様の「3.0GTターボS」を追加。
1990年8月には最後のマイナーチェンジが行われ、3.0GT系のエンジンを2.5Lツインターボの名機「1JZ-GTE」に変更。同時に足まわりにはビルシュタインと共同開発した専用ショックアブソーバーを採用するなどして、グレード名を「2.5GTツインターボ」に改めている。
そして1993年4月に惜しまれながら生産終了となり、同年5月、80スープラこと(日本国内では)2代目のスープラに現行モデルとしての座を譲った……というのが、70スープラのごく大まかなヒストリーだ。
スポーティカー専門店のファイブスターテクニカルを徹底取材!
70スープラは今いくらで買えるのか? 専門店のファイブスターテクニカルさんに取材した
ファイブスターテクニカルのホームページはこちら!
70スープラの中古車情報はこちら!
そんな70スープラも最終年式でも28年落ちということで、旧車と呼ぶにはまだ早いが、「旧車に片足ぐらいは突っ込んでいる」とは形容できる世代になった。そうなれば当然、故障やパーツ供給などの問題についても気になってしまうのが正直なところ。
実際問題として70スープラの中古車というのは2021年の今、買っても大丈夫なものなのか? このあたりの世代の国産スポーティカーを大の得意とする神奈川県秦野市の販売店『ファイブスターテクニカル』の高橋一也さんに、70スープラの“正味のところ”を尋ねた。
――ということで高橋さんにお尋ねします。70スープラって最近、ぶっちゃけ売れてるんですか?
高橋さん かなり売れてますね。少なくとも当店では大人気です。つい先日までけっこうな台数を置いていたのですが、その後バタバタッと売れてしまい、本日記者さんに見ていただける売り物は1台だけ――というような状態ですよ。
――ううむ。中古スープラで人気が高いのは80かと思っていましたが、70もかなりの人気なんですね……。世代やグレードでいうと、やっぱりもっとも人気が高いのは、エンジンが3L、直6ターボでトランスミッションは5速MTで……という個体ですか?
トヨタ初となる280ps+5速MTの2.5GTツインターボが一番人気!
1993年式2.5GTツインターボR。価格438万円、走行6.3万km、ブラック、5MT、車検整備付、社外マフラー
高橋さん うーん、「5速MTが人気」というのは確かにそのとおりで、70スープラの場合は4速ATではなく5MTを探している人のほうが圧倒的に多いですね。でもエンジンでいうと、一番人気は3Lターボじゃなくて後期型の1JZ-GTE、つまり2.5Lツインターボなんですよ。そのエンジンを積んでいて、なおかつ5速MTで、っていう個体がもっとも人気です。
――そうかぁ。やっぱり「トヨタ初の280ps+5MT!」ということで、後期の2.5GTツインターボにはある種の伝説というか神話性がありますからね。2.5GTツインターボは全車ワイドボディですが、そのほかのグレードや世代では、標準ボディとワイドボディのどちらが人気なんでしょう?
高橋さん それも間違いなくワイドボディのほうですね。これまた圧倒的です。
――やっぱりそうでしたか! 確かに70スープラのワイドボディの「迫力はあるんだけど、決して下品ではない」ってニュアンスはかなりステキですものね、納得です。でも、ホモロゲーション取得用の「3.0GTターボA」が一番人気だったりはしないのですか?
高橋さん もちろん人気ですが、なにせ500台しか作られなかった希少コレクターズモデルですから、ほとんど市場に出てきませんよね。
1993年式2.5GTツインターボR。走行6.3万km、ブラック、5MT、車検整備付、社外マフラー
――そう言われてみればそうですね……了解です。ではターボAのことはさておき、70スープラ全体の部品供給状況はどうなんでしょうか? 買ったはいいけど直すのに苦労する……みたいな話だと、ユーザーとしては困りますので。
高橋さん 細かい補修用部品や交換部品については、さほど心配いらないと思いますよ。純正部品も細かいモノまでけっこう出ますし、というか正確には、部品の在庫が残っているようです。
エンジンや足まわり、エアコンなどについては、仮に部品が出ない場合でも他のトヨタ車用部品の流用が利きます。ただ、外観パーツは新品ではもう出てきませんので、ぶつけてしまった場合は中古部品を探すしかありません。そこだけは、70スープラのちょっと大変かもしれない部分ですね。
――機械的なウイークポイントみたいなものは?
高橋さん この70スープラと、同世代の兄弟車である2代目ソアラは、なぜかドアミラーの付け根部分が経年でぐしゃぐしゃになってくるものが多いのですが、強いていえばそのぐらいでしょうか。
もちろん「荒れに荒れた個体ではなく、素性とコンディションの良い個体の場合は」という前提での話ですが、どうにもならないウイークポイントみたいなものは少ないクルマですよ。
今、ウチで修理中の1台はクラッチを交換しているのですが、それは単に「消耗部品が消耗しただけ」ですしね。また純正のクラッチ板も、いまだごく普通に入手可能です。
スープラ2.5GTツインターボRのインパネ。助手席と後席は純正レカロシート。状態良し。運転席のみ非純正装着のレカロセミバケットシートに交換
――となると、70スープラ(の素性とコンディションの良い個体)は、カッコいいし速いし、そして、古いクルマゆえメンテナンスフリーではないでしょうが、さほど手もかからないということで、かなりオススメの「半旧車」ということになりますね。問題は相場というか価格ですが……?
高橋さん ここ数年でかなり上がってしまったのは確かですね。具体的には、弊社が今販売している最終1993年式の2.5GTツインターボRが438万円。内外装および機関のコンディションが良好なものを仕入れ、それを商品にできるまで仕上げてお売りするとなると、だいたいこのぐらいの価格になってしまうのが昨今の相場状況です。
――ううむ。「ざっくり400万円台」というのはなんとも微妙なラインですね。1000万円超の世界になると「無理だ!」とあきらめがつきますが、400万円台だと「……頑張ればイケるかも?」と思えてしまいますから。
高橋さん 今後、70スープラの相場がどうなっていくかの「正確なところ」は、もちろん私にもわかりません。予言者ではありませんので。しかし、さらに年月が経過して「普通に乗れる状態にするにはフルレストアするしかない」という時期になったら、そのときのレストア済み車の相場は必然的に1000万円を超えるでしょうね。
――でも幸いにして、今現在の70スープラは……。
高橋さん もちろんそれなりの整備と補修は必要ですが、幸いにして「フルレストア」まではする必要がない世代です。それゆえ、ご興味のない方に無理におすすめするつもりはないのですが、70スープラにご興味があるのであれば、今のうちに素性の良い個体をご入手いただき、大切に楽しんでいただくのは、決して悪くない話だと思います。
――将来的にはリセール価格もすごいことになるかもしれませんしね?
高橋さん そこはなんとも申し上げられませんが、ただ70スープラは男子の永遠の憧れ(笑)であるリトラクタブルヘッドライトであることと併せ、人気の高いモデルであることは間違いありません。それゆえ可能性の話としては、相場が今後さらに上昇するということもあり得るでしょうね。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
クルマというのは「売却するために買う」というわけではないため、最後のリセールうんぬんの話は今回の主題ではない。
だがいずれにせよ、70スープラを買うなら「今が最後のチャンス!」と安っぽく煽りたくなるほどではないにせよ、「最後のチャンスがそろそろ近づいてきたのかも?」とは思える、専門店筋の話であった。
いわゆる青春時代に70スープラに乗りそこねた人。もしくは、若き日に乗っていたそれにもう一度乗りたいと考えている人。そういった人々にとっては、まだまだ車両も部品もあって、相場も鬼のようには高騰していない、今検討してみるのは、決して悪い話ではない。
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みんなのコメント
丈夫なトヨタ車と言えど、これくらいの年式になると次から次へと故障するよ(整備士)
一昔前なら過走行なんかだと1桁万円でゴロゴロあったのになぁ