豊田章男会長は、「0から10をつくれる人を育てたい」と言った。おそらく日本の全経営者が理想とする所だろうが、それには「育て方」、つまり人との接し方が重要になってくる。章男会長はどのように社員と接しているのだろうか?
※本稿は2025年9月のものです
【画像ギャラリー】すべては「日本を元気にする」ために!! 豊田章男会長は今日も「こういう世界があったらいいな」を目指す(6枚)
文:ベストカー編集部/写真:トヨタ、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2025年10月26日号
豊田章男流「現場との接し方」
豊田章男会長は現場の社員やトヨタグループ、そして取引先などと直接対話する「章男塾」を行っている。そのほかにも社内外の現場を訪れた際に、いきなりQ&Aセッションが始まったりもする。
例えば社内の若手相手なら「なんでもいいからボクに聞きたいことを言ってごらん」。そんなふうに始まり、緊張していた社員たちも徐々に打ち解け、ホンネの会話へと盛り上がっていく。
豊田章男会長にとって現場が何を考え、何に悩んでいるのかを知る機会というだけでなく、それは大きなトヨタ自動車の組織が、間違った方向に行っていないかを確かめる手段でもある。
「正しい情報、特に都合の悪い情報は自分のところにあがってきません。だから、自ら現場に足を運び、現場の声を聞き、一緒に悩んで行動することでしか壁は壊せません。私にとっての『トップダウン』はトップが現場にダウンする、降りていくことなんです」。
豊田章男会長は社長時代にそう話している。トヨタに入社以来、社員から創業家のボンボンと見られ、アンタッチャブルな存在だった自分が、ひとりの豊田章男として見てもらうための術だったに違いない。
しかし、現場に降りていくことは自分をさらけ出し、相手にぶつかっていくことでもあり、勇気が必要だったはずだ。「トヨタらしさを取り戻したい」とひとり闘った社長時代は「自分らしさ」に向き合い続けた闘いだったのかもしれない。
さて、社長時代の社員との会話を紹介したい。少し前の話だが、豊田章男会長が人を育てることを意識して言葉を交わしていることがよくわかる会話だ。トヨタイムズにも掲載されたが、改めて解説したい。
豊田章男社長が、かつてBEVファクトリーになる以前、ZEVファクトリーがあった2019年、その中核であるZEV R&D Labを訪れた時だ。
ZEV R&D LabはEVの開発だけでなく、ビジネスを含めて考えていこうという画期的な部署だった。在籍者の半分以上がトヨタ以外からの出向者で構成され、スバル出身もいればスズキ出身もいる、そんな部署だった。豊田章男社長はこの特異な組織がトヨタに新しい風を起こすことを期待していたに違いない。
挨拶が終わると、いきなり「文句でも不安でも感想でもなんでもいいです。(私)本物ですから、なんでもいいから聞いてみてください」とQ&Aセッションが始まった。しかし、いきなり社長が現われ、どんなことでもいいから質問していいよと言われても、上司もいるなかで、参加者は何も言えないものだ。
そこで司会を務めていた部長さんが「我々には遠慮しないで、骨は拾いますから……(笑)」と発言した。
すると豊田章男社長は「拾えるのか!?」と突っ込んで、こう切り出した。
最終責任者の言葉「日本が元気になるなら何をやってもいい」
「骨拾うって言ってるけど、拾えませんからね(笑)。本当の責任者はこちら(豊田章男)しかいません。責任者っていうのは世間が認める責任者じゃないとダメなんです。
だから私自身が会社を辞めるとか、私が責任を取るということを示さないかぎり、新しいことにはチャレンジできません。だから、もっといいクルマをつくったり、日本を元気にしたいって、さっき言いましたが、あれが達成できるなら何やってもいいですから……。
でもそういうつもりでやったことでも結果がすべてよくなるわけではありません。だからそのために責任者がいるんです。(部長も)そういう態度でやってくれれば、どんどん進んでいくと思いますよ」。
豊田章男社長は組織やトヨタのためではなく、日本を元気にするためなら何をやってもいいと言っている。なぜか? トヨタのミッションは「幸せの量産」だ。トヨタだけが儲かればいいという考えはない。技術を磨き、モビリティによって社会を豊かにし、笑顔を増やし、幸せを生んでいくことが重要だからだ。
日本にこんなことが言えるトップがどれほどいるだろうか? しかもこの会話は従業員たちとの会話のなかで自然に生まれたものだ。
おそらく従業員たちは豊田章男社長のこの発言を聞いて引き込まれたに違いない。その後、次々と質問の手が挙がっていった。そしてこんな質問があった。
「さっき社長が『日本を元気にするためだったら、何をしてもいい』っておっしゃった言葉を聞いて、凄くうれしく思いました。私たちができるような地道なことも大事だけど、もっと大きい動きがあるといいなと思っています。
社長が今後、日本を元気にするために仕掛けていこうと思っていらっしゃることがあれば、ぜひ教えていただきたいなと思います」。
この質問に答えた豊田章男社長の言葉に人を育てる力を感じる。
「皆さんが『こういう世界があったらいいな』というのを実現していく努力を、ずっと続けてください。努力を続けるなかで、進めなくなってどこかで止まったら、それを打ち破る手はずを一緒に考えましょう。
『こういうものが欲しいな、こういう世界があったらいいな、これだったらいいな』がスタートだから、『大きなこと』もやっぱり1からのスタートなんですよね。
今はあらゆることが多様化していますから、個性もあります。その個性が大切だから『それは一部の意見です』と言わずに、自分の思ったことを大切にして、まずはやっていくことが大事なんじゃないでしょうか。
繰り返しますが、この会社であれば最終責任者は、私『豊田章男』一人なんです。そこがはっきりしている以上は、皆さんは、やっぱり何をやってもいいんですよ。だけど、その代わりに『日本のために』とか『ほかの誰かを元気にするために』っていう言い方を絶対にしてくださいね」。
日本のためなら何をやってもいい。自分以外の誰かのために、まずは自分を信じて行動してみよう。壁にぶつかったら一緒に考えよう。最終責任はすべて社長が取るから。そう豊田章男社長は話した。
もちろん、「そうだ、やるんだ」と思い行動しても、すべてがうまくいくわけではない。それでも豊田章男社長は0から10をつくれる人を育てるために、現場でこんな会話をし、きっかけ作りをしているのだ。
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著者の藤井英樹氏は現役のトヨタ社員だ。スピーチライターとして社長時代から現在に至るまで人間・豊田章男の苦悩を見続け、言葉にしてきた。
赤字転落、大規模リコール問題、東日本大震災、タイの大洪水……度重なる危機に豊田章男社長はどう立ち向かい、どのように行動したのか? 生の言葉を聞いた藤井氏が紡いだ言葉から当時の緊張感が伝わってくるようだ。
メディア嫌いという印象を払拭するため、豊田章男社長の素顔を引き出し、本人の中に宿る強い意思を言葉という形にしてきたのも藤井氏の大きな功績だ。
500ページを超える本書は、豊田章男社長がありのままの自分と向き合い答えを探し続けた物語ともいえる。
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