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「新型ヤリスと新型フィット」なぜ同時期発売? 激戦市場での異なる評価とは

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「新型ヤリスと新型フィット」なぜ同時期発売? 激戦市場での異なる評価とは

■「走り」と「癒やし」の違いとは?

 トヨタがグローバル市場を狙うBセグメントの新型「ヤリス」を2020年2月10日に発売。同時期の2月14日に、ホンダは新型「フィット」に発売しました。トヨタとホンダが狙うコンパクトカー市場で、なぜ同時期の発売になったのでしょうか。

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 新型ヤリスの目標台数は7800台/月となり、新型フィットは、1万台/月です。この数字を2019年の登録車販売台数に置き換えると、新型ヤリスの7800台は月により異なりますが、上位10台にランクインする台数です。

 トヨタは登録車販売台数において、2019年の年間販売台数で上位10台のうち7台を占めています。新型ヤリスを投入することで、上位陣をさらにトヨタ一色にする狙いがあるのかもしれません。

 一方、新型フィットの1万台は、上位3台を狙える数字といえ、2019年の年間販売台数では9位の「フリード」が最高位だったため、新型フィットに対するホンダの本気度が分かります。

 両車の発売時期について、新型ヤリスは当初から2020年2月を想定したいたようですが、新型フィットは本来であれば、2019年内の発売を想定していたといいます。

 これは、ホンダ「N-WGN」に採用していたブレーキ部品に不具合が見つかったことで、同じ部品を新型フィットにも採用していたことから、採用部品の見直しなどの影響で発売が遅れたのです。

 その結果、同時期での発売となった両車ですが、それぞれどのような特徴やユーザーからの評価を得ているのでしょうか。

 新型ヤリスは、これまで国内で「ヴィッツ」と呼称していた車名を4代目にしてグローバル市場で使用しているヤリスに改めました。

 2020年は、WRC(世界ラリー選手権)の日本開催が決定し、最終戦となる第13戦に日本ラウンド「ラリー・ジャパン」が組み込まれており、WRCに2017年から参戦してきたヤリスで国内の新車市場でも勝負に出たというわけです。

 一方、フィットの新型は、ライフスタイルに合わせた多彩な5つのタイプを設定して登場しました。

 それぞれのタイプは、シンプルで新型フィットの基本ともいうべき「BASIC」、生活になじむデザインと快適性を備えた「HOME」、アクティブに過ごすことを目指す人のための「NESS」、週末に出かけたくなるアクティブなスタイルに応えるSUVライクな「CROSSTAR」、洗練と上質を兼ね備え、クラス初の本革シートを装備したスタイリッシュな「LUXE」から選ぶことができるのです。

 では、発売直後のユーザーの評判はどうなっているのでしょうか。新型ヤリスについて、トヨタの販売店スタッフは次のように話します。

「新型ヤリスは、以前から諸元などをホームページなどで公開していたため、ある程度グレードやオプションに目星をつけて来店されるお客さまが多く、来店時にそのまま注文するという流れが多いです。

 なかでもハイブリッド車が売れています。グレードでは、1番人気が中間にあたる『G』、その次に最上級の『Z』、最後は『X』です。幅広い年齢層のお客さまがいますが、若い人でも『G』や『Z』を選ぶ人が多く、基本装備以外にこだわるお客さまが増えているという印象です。

 また、基本的な安全装備等は充実しているため、人気のオプションはお客さまによってバラつきがありますが、パラノミックビューモニターは装備されるお客さまが多いです」

 世界トップレベルの燃費性能を誇るハイブリッド車の滑り出しが好調のようです。では、フィットはどうでしょうか。ホンダの販売店スタッフは以下のように話します。

「ハイブリッド車の方が人気ですが、割合でいえば6:4ほどで、そこまで大きな差はありません。先代フィットと同様、遠出ではなく街乗りメインというお客さまが多いためではないでしょうか。

 グレードでは、基本的な装備を備えたベーシックな『HOME』と、ルーフレールが装着可能なアウトドア向きの『CROSSTAR』の2タイプが人気です。ですが、こちらもそれぞれ大きな差はなく、まんべんなく売れています。オプションについて、フィットは基本装備の充実がウリなので、あまり目立って人気なものは見つかりません」

※ ※ ※

 基礎は充実させつつ、幅広いグレード展開がウリの新型フィットは、ほぼ狙い通りの評価を得ているようです。

 両者ともに滑り出しは好調、それぞれの武器をいかんなく発揮していますが、1点だけ気になる差がありました。ヤリスのオプション装備にある全方位モニター「パラノミックビューモニター」です。

 前述とは別のトヨタ販売店スタッフは以下のように話します。

「先日、フィットと悩んだ結果ヤリスにしたというお客さまで、パラノミックビューモニターが決め手になったというお客さまがいました。家族全員が乗るため、駐車に不安のある人でも安心とのことでした。まだ発売直後のため何ともいえませんが、このオプションがあるかないか、大きなポイントとなるのではないでしょうか」

 基本装備に大差のない両車において、全方位モニターの有無は大きな差だといえるようです。

■同じコンパクトカーでも性格は全然違う!?

 新型ヤリスと新型フィットは、同じコンパクトカー市場でライバルとなるクルマです。

 ボディサイズでの類似点は、新型ヤリスが「プリウス」から始まったTNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)によって刷新されたプラットフォームを使っています。

 ボディサイズは全長3940mm×全幅1695mm×全高1500mm-1515mm、ホイールベース2500mm。全長を4m未満に抑えたコンパクトなサイズで登場しました。室内寸法は室内長1845mm×室内幅1430mm×室内高1190mmを実現しています。

 新型フィットのボディサイズは、先代フィットと大きく変わらない全長3995mm×全幅1695mm×全高1515mm-1540mmです。

 ただし、SUV風な外観デザインのCROSSTARのみ3ナンバーで、全長4090mm×全幅1725mm×全高1545mm-1570mmとなりますが、ホイールベースは共通の2530mmです。室内寸法はクラスを超える室内長1955mm×室内幅1445mm×室内高1260mmを実現しています。

 両車のパワートレインには、ともにガソリン車とハイブリッド車を設定しています。

 新型ヤリスのガソリン車は、1.5リッター直列3気筒エンジンで最高出力120馬力を発生する仕様と、1リッター直列3気筒の最高出力69馬力という、ふたつのエンジンを設定。

 ハイブリッド車は、1.5リッター直列3気筒エンジン(最高出力91馬力)に駆動モーター(最高出力88馬力)を組み合わせます。なかでも、「HYBRID X」グレードは、現在国内で公表されているWLTCモード燃費でもっとも低燃費な36.0km/Lを誇っています。

 一方、新型フィットのガソリン車は1.3リッター直列4気筒エンジンで最高出力98馬力を発生。また、ハイブリッド車は先代までひとつのモーターを搭載していましたが、新型フィットでは同社「インサイト」と同等の2モーターシステムを採用し、もっともWLTCモード燃費が良いのが「BASIC」グレードで、29.4km/Lです。

 安全面では、新型ヤリスが予防安全パッケージ「トヨタセーフティセンス(TSS)」を全車標準装備としました。カメラとミリ派レーダーによる衝突軽減ブレーキを核に新機能を搭載。

 さらに、トヨタ車初として交差点右折時に直進してくる対向車を検知して衝突軽減ブレーキを作動させるという機能も採用しています。

 新型フィットも衝突軽減ブレーキや渋滞時追従機能付きアダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)を備える先進の安全運転支援システム「ホンダセンシング」と、新世代コネクテッド技術「ホンダコネクト」を標準搭載しました。

 走りの性能については、新型ヤリスのCMがその性格を端的に表現しています。女性ランナーと新型ヤリスが信号の合図で走り出すというものです。

 スポーティさを全面に打ち出しており、トヨタの説明でも「軽快なハンドリングという強みを活かし」と、とにかく気持ちのいい走りがセールスポイントです。

 ホイールベースの延長分は前席の余裕に使われており、家族4人で使うクルマというより、前席を重視したスタイルとして訴求しているようです。

 一方の新型フィットは、新型ヤリスとは正反対で、4名乗車を意識した空間設計で臨んでいます。フロントのAピラーは従来の半分以下と極めて細く前方視界の良さに貢献するとともに、これが新しさを感じさせるインテリアにつながっています。

 また、水平・直線基調のインストルメントパネルやシンプルで見やすいバイザーレスメーターの採用など、これまでの国産コンパクトカーには無い個性的で、「心地よい居心地」を実現したのです。

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