2024年4月18日~21日(現地時間)、WRC(世界ラリー選手権)第4戦クロアチア・ラリーが首都ザグレブ近郊のヤブラノベックを起点としたターマック(舗装)路で開催され、トヨタのセバスチャン・オジェが優勝、2位にはチームメイトのエルフィン・エバンスが入って、トヨタが2戦連続の1-2フィニッシュを達成した。3位にはヒョンデのティエリー・ヌーヴィルが入った。なお、勝田貴元はラリー前半にペースが上がらず苦しんだものの、日曜日には好走を見せて5位でフィニッシュしている。
三つ巴の優勝争いはアクシデントにより決着
ターマックラリーでは有利な先頭スタートを活かしてラリースタートから逃げを打つヌーヴィル、ペース的にはヌーヴィルにやや及ばないもののタイヤ戦略的中などもあって2度首位を奪ったエバンス、そして前走車が掻き出す泥によってなかなかリズムに乗れないながらもなんとかふたりに食いつくオジェ。ラリー最終日まで持ち込まれた3人の優勝争いは、意外な形で幕切れとなった。
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ヌーヴィルがエバンスに2.6秒、オジェに11.6秒差で迎えたラリー最終日ふたつ目のSS18。午後の最終パワーステージでも使われる14.24kmで、エバンスが中間地点のナローなセクションで左リアタイヤをバンクにヒットさせスピン。大きくタイムロスを喫する。
これで優勝の行方は決まったかに思われたが、なんとヌーヴィルも直後に同じナローセクションで右リアタイヤをバンクに当ててしまう。エバンスのGRヤリスがほとんどダメージなく再走したのに対し、ヌーヴィルのヒョンデ i20Nは前後スポイラーを大破。大きくタイムロスを喫してしまった。
結局このステージを終え首位に立ったのは「まったく上手く走れなかった」とこぼしていたオジェだった。2番手はエバンス、終始このラリーで主導権を握っていたヌーヴィルは3番手まで陥落し、この順位は残り2ステージでも変わらなかった。
ドライバーズ&マニュファクチャラーズとも僅差のまま
思わぬ形でシーズン初勝利が転がり込んだオジェは「苦しい展開ばかりだったけど、諦めずにプレッシャーをかけつづけたのが良かった。これで100回目の表彰台なの? WRCに出始めたころはそんな数字なんて想像もできなかったけど、とにかく今でも勝てるスピードがあるってことを示せて良かったよ」と笑顔を見せた。
今シーズンからの、(1)土曜日までの順位、(2)日曜日単独の順位、(3)最終パワーステージの順位という3回のポイント機会がある新規則によって、2位エバンスと3位ヌーヴィルのこのラリーでの獲得ポイントは同じ19点となったため、ドライバーズ選手権ランキングは首位ヌーヴィル(86点)、2位エバンス(80点)と変わらず。
マニュファクチャラーズ選手権でも4位のオィット・タナックが優勝のオジェ(21点)に次ぐ20点のポイントを獲得したため、首位トヨタ(176点)と2位ヒョンデ(169点)は僅差のままとなっている。
次戦第5戦ラリー・ポルトガルは、5月9日から12日、北部のポルト近郊マトショニスを起点としたグラベル(未舗装)路で開催される。出走順がタイムに少なからず影響を及ぼすグラベルイベントで、ステージを1回目に走行する際は路面は砂利や砂に覆われているが、2回目の走行では砂が掃けて下から硬い岩盤や石が現れるなど、路面のコンディションが1回目と2回目で大きく変化するのが特徴となっている。(文:新村いつき)
2024年 WRC第4戦クロアチア・ラリー 結果
1位:S.オジェ(トヨタ GRヤリス ラリー1)2h40m23.6s
2位:E.エバンス(トヨタ GRヤリス ラリー1)+9.7s
3位:T.ヌーヴィル(ヒョンデ i20N ラリー1)+45.8s
4位:O.タナック (ヒョンデ i20N ラリー1)+58.6s
5位:勝田貴元(トヨタ GRヤリス ラリー1)+1m55.5s
6位:A.ミケルセン (ヒョンデ i20N ラリー1)+4m01.0s
7位:G.ミュンスター(フォード・プーマ ラリー1) +5m11.0s
8位:N.グライジン(トロエン C3 ラリー2)+9m21.3s
9位:Y.ロッセル (シトロエン C3 ラリー2)+9m59.5s
10位:S.パエリ(トヨタ GRヤリス ラリー2)+10m22.7s
2024年 WRCドライバーズランキング(第4戦終了時)
1位 T.ヌーヴィル(ヒョンデ)86
2位 E.エバンス(トヨタ)80
3位 A.フルモー(Mスポーツ・フォード)59
4位 O.タナック(ヒョンデ)53
5位 S.オジェ(トヨタ)45
5位 勝田貴元(トヨタ)45
7位 K.ロバンペラ(トヨタ)31
8位 E.ラッピ(ヒョンデ))23
2024年 WRCマニュファクチャラーズズランキング(第4戦終了時)
1位 トヨタ 176
2位 ヒョンデ 169
3位 Mスポーツ・フォード 96
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