■中国で巻き返しつつある日系各社のBEV現状
中国市場ではここ1-2年シェアを奪われ気味だった日系メーカーですが、2025年に入ってから巻き返しのターンが到来しています。
【画像】超カッコいい! これが画期的な機能搭載の「トヨタSUV」です!(36枚)
2025年3月に発売された広汽トヨタ(広州汽車との合弁会社)の「bZ3X」は徹底した「現地開発」をアピールしており、パッケージングや装備内容も中国の消費者が好む内容となっています。
また、中国国内で相次いでいるEVの発火事件を受けて消費者にEV不信が広がる中、広汽トヨタはbZ3Xに大型トラックを突っ込ませたり、空中から落下させたりなどをする「過激」な実験映像を公開、このような状況下でも発火しない安全性を前面に打ち出しています。
トヨタ初となる中国専用設計はBYDと共同で開発、一汽トヨタ(第一汽車との合弁)が製造と販売を担当する「bZ3」でした。
毎月の販売台数は4000台前後で、クルマ自体のクオリティも悪くはないものの、中国の消費者の好みを的確には捉えていませんでした。この反省を活かして誕生したのがbZ3Xです。
bZ3Xの内装でまず目につくのは物理ボタンの少なさです。
中国の消費者は「先進性」を重視する傾向にあり、中国メーカー車種はなんでもかんでもタッチ操作に集約がちです。
bZ3Xの中国のトレンドにしたがい、インストルメントパネルは8.8インチの横長ディスプレイに、そして中央には14.6インチディスプレイを配置と、ディスプレイだらけのダッシュボードとなっています。
ダッシュボードに直角で交差するセンター部分には携帯端末用の無線充電パッドやコンソールボックスを備えていますが、これも典型的な中国車の要素となります。
また、運転支援機能に関しては「レベル2+」の高度な運転支援機能を中級グレード以上で搭載しています。
ソフトウェアは中国の自動運転ベンチャー「momenta」と共同開発しており、ドライバー監視の下、ナビ上で設定した目的地までの運転操作をクルマが行なう「NOA(Navigation on Autopilot)」機能にも対応します。
計算能力254 TOPSを有するNVIDIA Orin-XチップセットやLiDARユニット(126ライン)といったハードウェアも併せて搭載することで、中国メーカー車種に対抗する狙いがあります。
こういった先進的な要素を持ちつつも、エクステリアはファミリー向けに保守的に仕上げ、なおかつトヨタ特有の安全性にもしっかりと気を配ることで、日系合弁BEVとしてはかつてないほどの人気を集めています。
グレードは「430 Air」「520 Pro」「610 Max」の3種類で構成され、それぞれ駆動用バッテリーは容量50.03 kWh、58.37 kWh、67.92 kWh、航続距離は中国独自のCLTCモードで430 km、520 km、610 kmです。
価格は10.98-15.98万元(約221万円から約321万円)と非常に安く、大きな話題を呼びました。
bZ3Xは2025年3月6日に中国で発売されましたが、予約開始1時間で1万件を受注、アクセスが集中しすぎて予約サイトが一時接続不可能になるほどでした。
3月16日にデリバリーを開始して約3か月弱が経過しましたが、トヨタによればこれまでに1万5000台以上を納車したと言います。
現在は2万台ほどが納車待ちという状況で、異例の大ヒットを記録しています。
■日産・マツダの「スタイリッシュセダン」も好調!? どんなクルマ?
最近なにかと暗い話題が続く日産も、2025年4月に発売した新たな中国向けEVは好調です。
2024年の中国市場で日産は生産・販売ともに前年比18%減を記録、現在はコンパクトセダン「シルフィ」が販売台数の5割強(34万2395台)を占めており、なんとしてでもこのクラスのセダン市場を守り抜きたいことでしょう。
新たに登場した純電動セダン「N7」は予約開始数時間で1万138件を受注、2025年6月上旬には累計で2万件を突破したと発表されました。
すでに納車は始まっていいるものの、あまりの人気で納車までに1か月を要している状況で、中国SNS上では納車を心待ちにする購入者の声で溢れかえっています。
N7がここまで注目されている理由もbZ3Xと同じように、「日本車という安心感」に「中国人好みの内外装と機能」を組み合わせ、11.99万元から14.99万元(約240.3から300.5万円)という驚異的な安さを実現した「コストパフォーマンス」が大きいと言えます。
N7はモーター出力214 hp・バッテリー容量58 kWhの「510」と、268 hp・73 kWh「625」という2モデルを基軸とし、装備の異なる「Air(510のみ)」「Pro」「Max」の3つのレベルを用意する計5グレード展開となります。
最上級モデル「Max」ではbZ3Xと同じように「momenta」共同開発の「レベル2+」運転支援機能を搭載していますが、bZ3XがLiDARユニットを1基搭載するのに対し、N7は高精細カメラを基本とするシステムになります。
最近なにかと暗い話題が続く日産も、2025年4月に発売した新たな中国向けEVは好調です。
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N7はモーター出力214 hp・バッテリー容量58 kWhの「510」と、268 hp・73 kWh「625」という2モデルを基軸とし、装備の異なる「Air(510のみ)」「Pro」「Max」の3つのレベルを用意する計5グレード展開となります。
最上級モデル「Max」ではbZ3Xと同じように「momenta」共同開発の「レベル2+」運転支援機能を搭載していますが、bZ3XがLiDARユニットを1基搭載するのに対し、N7は高精細カメラを基本とするシステムになります。
販売規模はトヨタや日産ほど大きくないものの、マツダも中国専売車種を続々と発表、市場からの反応は好調です。
かねてから製造と販売で合弁会社を組んでいた現地メーカー「長安汽車」と共同開発した電動セダン「EZ-6」は2024年11月の発売以来、これまでに1万台近くを販売しています。
2025年4月の上海モーターショー2025ではこれに続く第2弾としてSUV「EZ-60」を発表、こちらも予約開始48時間で1万件を受注したとしています。
EZ-6もEZ-60も、どちらも純電動のBEVモデルと発電用エンジンを備えるEREVモデルを設定していますが、EZ-60ではEZ-6のネックとなっていた内装の上質さをさらに向上させ、ワンランク上の空間を作り上げている点が高く評価されています。
また、EZ-6は中国で生産された個体を欧州市場向けに輸出、すでに販売も行なっています。
日産のN7も2026年以降、中国で生産したN7などのEVを東南アジアや中東、中南米へ輸出する予定です。
※ ※ ※
これらの例は、開発コストを抑えるために中国現地のパートナーと中国市場向けに共同開発したものの、結果的に他市場へ展開できるほどコストとクオリティを両立させたEVが完成したという証でもあります。
今後も中国で開発・製造したEVを輸出する例は増えていき、これまで内需が中心だったEV大国の「EV輸出国」としての側面が見られることでしょう。
中国のEV市場において、日本メーカーはかつてガソリン車を純電動に仕立て上げただけのBEVを投入していたこともありましたが、それらはしばしば「油改電」と評され、市場からの反応はよくありませんでした。
また、専用設計のグローバルBEVを投入では中国市場特有のニッチな需要をつかめず、厳しい戦いを強いられていました。
それらの反省を生かし、ここ1-2年ほどでは現地のパートナーとともに、現地のカスタマーに向けて開発する方向へシフトしており、さっそくいくつかのメーカーではその効果が現れ始めている状況です。
電動化の最先端を行く中国市場で得られた反応を、日本や欧州、その他市場向けEVの開発へフィードバックすることも今後期待できることでしょう。(中国車研究家 加藤ヒロト)
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みんなのコメント
中国においては2018年に電気自動車などの新エネルギー車分野での合弁義務(外国企業は必ず中国企業を仲間に入れる)を撤廃。
2022年以降は新エネルギー車分野に関係なく、外国企業が中国市場で単独でビジネス展開できるようになりました。
テスラは2019年に100%自社運営の上海工場を建設。BMWも2022年に合弁相手の中国企業から持株比率を買い増して主導権を完全確保しています。
メルセデスやVWも同様の流れです。
逆に、トヨタ、ホンダ、日産、マツダについては、むしろ中国企業との協業や連携を強化しているように見えます。