今季のF1からウイリアムズへ移籍したカルロス・サインツJr.は、F1第5戦サウジアラビアGPでのダブル入賞に大きく貢献し、チームが獲得の努力を費やすのに相応しい存在であったことを証明した。
昨年メルセデスのルイス・ハミルトンがフェラーリ加入を表明したことで、玉突き的に放出されることが明らかになったサインツJr.は、2025年シーズンに向けたドライバー市場で高い注目を集めた。
■ウイリアムズ移籍5戦目で8位にサインツ喜び「最高だった。快適に走れたし、良い兆候」
名門復活を担うウイリアムズ代表のジェームス・ボウルズは、4度のグランプリウィナーを獲得するという名声のためではなく、技術的な専門知識が豊富なサインツJr.を獲得することに動いた。
そして今年のサウジアラビアGP決勝では、サインツJr.の才能と経験が遺憾なく発揮された。レース後半、チームメイトのアレクサンダー・アルボンがレーシングブルズのアイザック・ハジャーに迫られた際、2台の前を走っていたサインツJr.はアルボンをDRSで牽引。チェッカーまでポジションを守り通し、ウイリアムズは一挙6ポイントを獲得し、コンストラクターズランキング5番手に浮上した。
このチームプレーを成功させる上で、サインツJr.以上の適任者はいるだろうか? 1年半前の2023年シンガポールGPで、首位を走行していたサインツJr.はマクラーレンのランド・ノリス(マクラーレン)をDRSで牽引し、ペースで勝るメルセデスのジョージ・ラッセルに対する“盾”として活用。シーズン中唯一の非レッドブルドライバーによる勝利を掴んだ。
今回は勝利ではなく、ウイリアムズが8位と9位を確保するためだったが、チームにとっては非常に重要な結果だった。
というのも、F1は2026年に大幅なテクニカルレギュレーション変更を控えており、ボウルズ代表は限りあるリソースを2025年のマシン開発にあまり費やず、2026年のマシン開発に集中させるという方針。今後は開発でライバルから徐々に後れを取ることを考えると、シーズンの早い段階でしっかりとポイントを積み重ねておくことが最終的なポジションに大きく影響する。
チームにとっては幸い、サインツJr.はウイリアムズのマシンに適応しつつある。一方で、ハミルトンはフェラーリの跳ね馬を手懐けられずにいる。
ハミルトンが指摘していたメルセデスとフェラーリの違いは、フェラーリではコーナー進入時にエンジンブレーキを多用することだが、これはこれまでメルセデス製のパワーユニット(PU)を使用したことがなかったサインツJr.にとっては逆のケース。ブレーキのフィーリングにより頼っていく必要があるのだろう。
実際、バーレーンGPでのサインツJr.は開幕3戦よりもずっと元気だった。予選ではアルボンを上回る8番グリッドを獲得したが、戦うべきではないバトルに巻き込まれたことを認め、レッドブルの角田裕毅との接触でマシンのサイドポンツーンに穴が空き、リタイアを喫することとなった。
そのため、サインツJr.はサウジアラビアGPでより慎重なアプローチを取った。予選ではふたつ順位を上げて6番グリッドを確保したが、無理やりポジションを守ることはなく、自身の戦いに徹した。
チームはレース終盤にDRSでアルボンを引っ張る戦略をサインツJr.に託すことができると信頼していたものの、サインツJr.本人は少し躊躇っていたことを認めた。
「チームから、ハジャーに抜かれないようDRSをアレックスに与えるよう言われたんだ」とサインツJr.は振り返った。
「特に、DRSの効果が非常に大きな高速サーキットでは、常に自分が危険に晒されるような気がする。ミスをしたり、ウォールにぶつかったりしたら、一歩でも間違えたら、どうなるかは分かるはず。いつも神経質になるよ」
「でも最終的には上手くいったし、最終ラップでは自分のペースを発揮できた。僕にはかなりのペースがあって、それは良い兆候だ」
「自分のアイデアから生まれたモノだから、100%間違いないと分かっている。チームからの提案となると、自分にとっては当然のことじゃないし、それにコミットするのは少し苦労する。でも最終的には正しい選択をしたと思う」
昨年はアルボンとフランコ・コラピントがトップ10に入り、大荒れの展開となった2021年ハンガリーGPではジョージ・ラッセルとニコラス・ラティフィが約4年ぶりのビッグポイントを稼いだこともあったが、ここ数年ウイリアムズには2台で入賞を狙えるだけのマシンもドライバーも揃っていなかった。
サインツJr.がチームに溶け込み、着実にポイントを争うことができるマシンを手にし、ウイリアムズの未来はかなり明るい。舞台裏でのボウルズ代表の改革が完全に実現するにはまだ時間がかかるかもしれないが、小さな蕾が花を咲かせつつある。
サウジアラビアGPのようなレースは、ウイリアムズとボウルズ代表がなぜサインツJr.のような存在を長い間追い求めてきたかを如実にあらわしている。残りのシーズンでもマシンの競争力を維持することができれば、定期的にポイントを獲得できるようになるはずだ。
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