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三菱ふそう、大型トラックに2つの安全装備を国内初搭載…交通事故のリスクを低減

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三菱ふそう、大型トラックに2つの安全装備を国内初搭載…交通事故のリスクを低減

三菱ふそうトラック・バスは、2021年6月4日に大型トラック「スーパーグレート」の一部改良モデルを発表、同月に発売した。今回、その新型車を取材する機会があったので紹介したい。

新型車は2つの商用車国内初となる安全機能を装備したことがポイントである。1つ目は車線内停止方式のドライバー異常時対応システム「エマージェンシー ストップ アシスト」で、2つ目は左折時の巻き込み事故の被害を軽減する被害軽減ブレーキを備えた「アクティブ サイドガード アシスト1.0」である。

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■エマージェンシー ストップ アシストとは

大型トラック「スーパーグレート」には2019年に国内商用車メーカーとして自動運転レベル2(特定条件下での自動運転機能=この場合は車線を維持しながら前のクルマに付いて走る)の高度運転支援機能を初搭載した「アクティブ ドライブ アシスト」をオプション設定した。

これは、高精度のミリ波レーダー(車間距離を把握)と前方認識カメラ(車線を認識)からの情報を組み合わせて道路と車線の情報を分析し、車線維持制御を実現するもの。ドライバーがシステムに過度に頼っていないかをステアリングに手を添えているかどうかで検知(ハンズオン検知システム)し、30秒以上の手放しで警報を発し、60秒以上の手放しで機能を停止する。

今回の一部改良では、「アクティブ ドライブ アシスト」をさらに進化させた「アクティブ ドライブ アシスト2」に発展。新機能である「エマージェンシー ストップ アシスト」を加えた点がポイントである。これは、車線維持機能の動作中にステアリングから手を離したままの状態が60秒間継続すると、ドライバーが安全に運転操作を継続できないとシステムが判断し、車両を同一車線内に維持しながら減速して車両を停車させるという機能。例えば、ドライバーが体調の急変などで運転ができなくなった場合などに作動し、交通事故のリスクを低減させる。

◎エマージェンシー ストップ アシスト作動の流れ
・ステアリングから手を離して15秒後……メーター内にあるモニターで警告(表示が黄色で、音による警告はなし)
・30~50秒後……5秒ごとに音による警告を行う(モニター表示は赤色)
・55~59秒後……1秒ごとに音による警告を行う(モニター表示は赤色)。ハザードランプの点滅が始まる。
・60秒後……ステアリング操作が検知されるまで、より大きな音が連続して発せられ警告(モニター表示は赤色)を行う。同時に外部に異常を知らせるためにストップランプ/ヘッドランプが点灯し、ホーンが鳴る。特にホーンは盛大に鳴るから、何らかの異常があることはわかるはずだ。なお、制御の中止、作動の解除はインパネにあるレーンキープカットスイッチを押す。

「エマージェンシー ストップ アシスト」の機能は「アクティブ ドライブ アシスト2」に含まれており、「アクティブ ドライブ アシスト2」は全車に約20~30万円(グレードによって異なる)のオプションとして設定される。


■アクティブ サイドガード アシスト1.0とは

大型トラックによる死亡事故のうち左折巻き込み事故が約25%を占めており、特に自転車による事故が多いという。大型車では衝突の際のエネルギーが大きいことから、死亡事故に至る確率が高く、左折巻き込み事故の死亡者数の約90%を大型トラックが占めている。

こうした左折巻き込み事故を未然に防ごうと、三菱ふそうでは2017年に国内の商用車で初となる「アクティブ サイドガード アシスト」を搭載、大・中・小型トラックに展開してきた。車両左側中央に設けたミリ波レーダーユニット(車両右側には設定なし)で、車両の死角になりやすい車両左側の動く対象物(自転車など)や静止物(人)、車両を検知(2つのミリ波レーダーを角度を変えて設置することで、168度の範囲をカバーする)。左折時や左車線変更時に、助手席ドアピラーの室内側にある警報ランプで警告を行うというものである。車両の直進状態で自転車や人、車両を検知した場合には警報ランプが黄色に点灯(ブザー音はなし)、その状態で左折ステアリング操作や左ウインカーを出すと、警報ランプが赤色に点滅し、ブザー音が鳴るという仕組みだ。

今回のスーパーグレートの改良では、このシステムに被害軽減ブレーキ機能を新たに追加して「アクティブ サイドガード アシスト1.0」に進化した。移動している歩行者や自転車(検知範囲は車両左側から2m、車両の前後2m)に対して、警報が発せられているにもかかわらず、車速20km/h以下の領域で左折ステアリングや左ウインカーの操作をしたとき、衝突の危険があるとシステムが判断した場合に被害軽減ブレーキを作動。車両を減速・停止させることで衝突時の被害軽減を図る。被害軽減ブレーキ機能によって停止後は、メーターにメッセージが表示され、ブレーキ保持機能が作動。その後は、通常のアクセル操作によって発進が可能となる。

取材では、自転車に見立てた台車を大型トラック「スーパーグレート」に併走させて、20km以下の速度で走行し、左折する実験を行った。ドライバーが気づかずに左折すれば、前方に進む台車(自転車)は、曲がってくるトラックと接触してしまう。実験では、併走する台車を検知して被害軽減ブレーキが作動。トラックが緊急停止し、台車(自転車)は何事もなかったのようにレールに沿って前方に走り去った。三菱ふそうでは、必ずしも衝突を回避できるものではないが、衝突してしまった場合でも(トラック側の速度の低減によって)被害が軽減されたり、トラックの後輪との接触を回避できる可能性は高まると説明している。左折巻き込み事故の被害低減に向けて有用なアイテムといえるだろう。

「アクティブ サイドガード アシスト1.0」は、上級のプレミアムライン、プロラインに標準装備。エコラインは約15万円のオプションとなる。12速乾式単板クラッチ式AMT(オートメイテッド・マニュアル・トランスミッション)だけに装備され、7速MT車への設定はない。

〈文=ドライバーWeb編集部〉

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みんなのコメント

4件
  • 安全装備はとても大事だが壊れないトラック作ってもらっていいですか?
  • 安全機能て80キロリミッター付けて下さい。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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