2019年10月15日、ダイハツのオープンスポーツ、コペンGRスポーツが発売となった。GRといえば、トヨタが展開するスポーツモデルの1つで、既存のトヨタ車をベースに、走りの性能が高められており、86やヴォクシーなどにも設定されている。
今回、満を持して、開発元のダイハツと親会社であるトヨタのGRカンパニーがコラボしてコペンGRが生み出された。
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GRモデルには、チューニングの度合いにより、GRスポーツ<GR<GRMNという段階があるが、今回コペンに設定されたGRスポーツは内外装のパーツや足回りを中心としたライトチューニングが中心のモデルとなる。
注目の価格はCVTモデルが238万円、5速MTモデルが243万5000円。コペンローブSと比べると、CVT車で29万円高、5MT車で32万3000円高という価格差(※コペン GRスポーツのMT車は「フロントスーパーLSD」が標準装備)。トヨタとダイハツ、それぞれの販売店での購入が可能だ。
そのコペンGRスポーツを愛知県蒲郡のスパ西浦モーターパークにて、モータージャーナリストの小沢コージ氏がサーキット試乗! どんなモデルに仕上がっているのか、ノーマルのコペンとはどう違うのか、徹底チェックした。
文/小沢コージ
写真/茂呂幸正
初出/ベストカー2019年11月26日号
【画像ギャラリー】全国からコペンが200台が集結した一大イベント「LOVE SKY PROJECT」
コペンGRスポーツはどう変わったのか?
愛知県蒲郡のスパ西浦モーターパークにて小沢コージ氏が徹底試乗!
目からウロコというか、灯台もと暗しというか、この手があったかって組み合わせですよ、コペン+GRスポーツ。
2019年1月の東京オートサロンで発表された画期的自動車コラボで、ご存じコペンはダイハツが生んだ入魂の2代目軽オープン2シーター、かたやGRは「もっといいクルマ作り」をするために生まれたトヨタのモータースポーツ直系スポーツカーブランド。
両社は別会社だけど、もちろん親子関係にあるから距離は近い。なによりコペンは誕生5年目で「走行性能を上げてほしい」というユーザーからの熱い希望があり、GRはGRで「GRの世界や使命を広げていきたい」という意思があり、ある意味相思相愛、思いが合致したわけですね。
そこで気になったのは開発体制。小沢はてっきりコペンをGRカンパニーに持ち込み、トヨタ側のスタッフがチューニングしたかと思いきや、実際に手を動かしたのはダイハツ。そもそも両社には交流があったため、GRからの新しい知見もダイハツでの開発に上手く活用できたらしい。
整流効果を持たせたフロント&リアバンパー、フロントバンパーエアアウトレット、床下スパッツを装備。直進安定性、路面との接地感を向上させた
精悍な印象に変わったコペンGRスポーツ
肝心のコペンGRスポーツだけど見た目からしてけっこう違います。基本コペンローブの外観をベースにブラックアウトされた前後ライトを装着。
それらを左右につなぐグリルやガーニッシュが備わるほか、なにより目立つのは前後に大きく口が開いた長方形のブラックアウト部。
同時にフロントサイドのフォグランプも四角くなってワイルドさ倍増。ホイールも専用色のBBSに変更された。インテリアで一番大きいのはGRスポーツ専用レカロシートで座り心地、デザインともに大違い。
GR SPORTS専用の自発光式3眼メーター、MOMO製革巻ステアリングホイール、ピアノブラック調加飾のセンターコンソールとドアグリップなどが多数装着される
GR SPORT専用のレカロシートを装備。シート背もたれ部分にGRのロゴがあしらわれている
エンジンは660ccターボエンジン。トランスミッションはCVTとMTが用意される。FFの2WDだ
「しなやか」で「ちゃんと動く足」に驚愕!
固い足回りと想像していたが実際はしなやかで上質な乗り心地でビックリ!
肝心の走りだけど、まずビックリしたのは方向性。日産のニスモにしろBMWのMにしろ、足回りをスポーティに硬める方向にあるが、GRコペンに関してはある意味真逆。
「しなやか」「ちゃんと動く足」「動かない目線」をモットーに、前後足回りのスプリングは既存のスポーツグレード「S」やノーマルコペンより柔らかくしてあって、その分を専用開発のKYBのダンパーでしっかり動きをコントロールするというコンセプト。
さらに今回はコペンGRスポーツ専用に追加したフロア下のフロントブレースやセンターブレースなどの補強パーツが効いてて、ボディ剛性が段違い。
足がちゃんと動くし、タイヤがあらゆる領域でちゃんと接地してる感じなのよ。実際、走り味は発進直後から全然違って、乗り心地はもちろんステアリングフィールが一段上質に変化した。
660ccターボは64ps/9.4kgmのパワー&トルクは変わらないけど、全体的にひと回り上質な軽オープンスポーツになっている。
その効果はサーキットを全開走行すると歴然。振動が全体的に抑えられてるのはもちろん、乗り心地はいいわ、操舵感はいいわ、なによりカーブの奥までちゃんとステアリングが効いてアンダーステアが出ない。
単なるチューニンググレードというより走り味を根本から作り直されたクルマなのだった。こりゃ侮れない!
今回、合わせて試乗した標準グレードは日常使いにちょうどイイ軽快さ、ダイレクト感のあるSグレードのスポーティな走りもイイ。
それぞれキャラ分けができてるから、グレード選びが一段と悩ましくなるね。
コペンは遊びじゃない。ダイハツの新しい夢なのだ!
「息長くやっていく、根強いファンを増やしていく。もうそれしかないですね」と笑うのはダイハツ乗用車開発トップの南出洋志エンジニア。
発売から5年、今回GRスポーツが追加されたダイハツコペンだけどしっかり根付いたようでホントに安心しました。
スポーツカーがバカ売れするとは思えない時代に登場した2代目コペン。正直、相当気合が要るビジネスになると思ってました。本当の勝負は発売の後だと。
それにもまして凄いのが、今回試乗会が行われた愛知県県蒲郡のスパ西浦モーターパーク。
ダイハツは、モノづくりにコトづくりと、週末にダイハツオーナー限定の「LOVE LOCAL」イベントを開催(写真ギャラリー参照)。
既に7回開催されており、今回はコペンオーナー200台限定なのに500台を超える応募があったとか。コペンファンは着実に増えているのだ。
実際コペンは今も月300台はコンスタントに売れてるそうで、しかも乗ってる人は非常に愛着を感じ、大切している場合が多く、なかには1000万円レベルでチューニングしている人もいるとか。
「ローブ」「Xプレイ」「セロ」の3スタイルあるボディデザインはウケており、一番人気は丸目のセロ。
今じゃ販売の半分がセロで4割がローブ、残り1割がXプレイで、つくづくみんな丸目でカワイイ古典的なスポーツカースタイルが好きだと実感した次第。
写真右のコペンGR SPORTは専用フロントバンパー「Functional MATRIX」を装備している。写真左上はコペンセロ
写真左のローブと比べるとフロントバンパー回りのデザインの違いがよくわかる
「コペンはダイハツにとって愛、夢ですから」(byコペンチーフエンジニア)
コペンのチーフエンジニアの小林明紀氏(右)と小沢コージ氏(左)
最後にコペンのチーフエンジニアの小村明紀エンジニアの言葉が印象的だったので紹介したい。
「クルマがますます道具になりつつある時代。このままだと将来的にIT界の巨人たちがコントロールするようにもなりかねない。
でも我々は、クルマは単なる道具としてだけではなく、対極的なものも必要であり、それを作れるのは自動車メーカーだけだと思っています。その意味でコペンはダイハツにとっての愛であり、夢ですから」と言ったのだ。
もはやスポーツカーは文化事業。クルマ業界もいよいよそういう時代になったった。実に嬉しいことだ。
エンジンのスペックはノーマルから変わらない
アフターパーツにも注目。TRDからも出たゾ!
TRD製アフターパーツを備したコペンGR SPORT
コペンGRスポーツにもアフターパーツが用意されている。ダイハツオリジナルアクセサリーのほか、TRDもパーツを用意。TRDがトヨタ車以外にパーツ提供するのは初めてのことだ。
コペン GR SPORTのスポーティさをさらに高めるアイテムとしてオリジナルから22mm長く、約46mm低くなる「GRフロントスポイラー」、約18mm低くなる「GRサイドスカート」、約42mm低くなる「GRリヤサイドスポイラー」とともに、ブラックカラーの「GRフロントコーナースポイラー」と「GRリヤトランクスポイラー」をラインアップ。
また、チェッカーフラッグ柄でレーシーなイメージを想起させる「GRフューエルリッドガーニッシュ」やCFRP(炭素繊維強化プラスチック)を用いた「GRカーボンナンバーフレーム」、さらにドレスアップアイテムの「ウィンカーバルブセット」も用意される。
コペンGRスポーツのカラーバリエーションは8色と豊富だが、さらに「俺だけの/私だけの」コペンに仕上げたくなる。
TRD製GRフロントスポイラー(4万7000円)
GRフロントコーナースポイラー(4万円)
GRサイドスカート(6万円)
GR製トランクスポイラー(2万円)
GRリアサイドスポイラー」(4万3000円)
GRパフォーマンスダンパー(9万円、ヤマハ製)
COPEN×HKSスポーツマフラー(7万6230円)
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