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フォルクスワーゲン・コラード 英国版クラシック・ガイド VR6は当時のFF最速 前編

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フォルクスワーゲン・コラード 英国版クラシック・ガイド VR6は当時のFF最速 前編

VR6は当時の量産FFモデルで最速

執筆:Malcolm Mckay(マルコム・マッケイ)

<span>【画像】フォルクスワーゲン・コラードと同時期のゴルフ 後継モデルとなったシロッコも 全49枚</span>

撮影:James Mann(ジェームズ・マン)

翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)


秀逸の操縦性と快適な車内を備え、ドライバーズカーとして評価されたフォルクスワーゲン・コラード。高めだった新車価格の影響で希少なこともあり、クラシックカーになりつつある今、堅調に支持を集めている。

カルマン社によるボディも魅力的。だが、より価値を求めるならスペックは重要。2.0 8Vの0-97km/h加速は11.5秒だが、VR6なら6.4秒でこなせる。小さな違いではない。コラード・ライフを始める前に、自身の求める内容を明確にした方が良いだろう。

VR6に搭載された自然吸気のV6エンジンは、4気筒エンジンと同じ長さに、6気筒を見事に集約。Vバンク角は15度と狭く、シリンダーヘッド1つで両バンクをカバーした。

フォルクスワーゲンはVR6の増えた重量を受け止めるべく、サスペンションに手を加え、ワイドな扁平タイヤを履かせた。その結果は素晴らしく、1992年のAUTOCARでは、これまで生産されてきた量産FFモデルで最速だとまとめている。

4気筒のコラードより操縦性も優秀。巨大な中回転域のトルクと、知的なトラクションコントロールが組み合わさり、多くのスポーツカーを追い回せる能力を備えていた。

当時のAUTOCARでは、クラシックとして評価を保つだろうとも予見している。「20年後に史上最高モデルの1台として、コラードがクラシックカー・メディアのトップを飾っても、われわれは驚きません」。と。

V6エンジンのVR6は人気が高い。同時に、4気筒エンジンをスーパーチャージャーで加給したG60も、強い支持を集めるコラードだ。

1番の魅力はドライビング体験

ボディ・デザインを手掛けたのは、カーデザイナーのハーバート・シェーファー氏。2代目シロッコの後継モデルに当たるが、発売当初は2台が同時に欧州のディーラーへ並んでいた。

プラットフォームは、フォルクスワーゲン・グループのA2。だがVR6ではA3用のサスペンションが組まれ、フロント・トレッドはワイド化されている。外へ出たタイヤを覆うべく、肉付きの良いフェンダーとバンパーも獲得している。

ガラスはボディ面となだらかに組まれ、100km/h以上で立ち上がるアクティブ・リアスポイラーもまとう。25km/h以下になると格納されるが、手動で可変も可能。ミニ・スーパーカーに相応しい装備だ。

コラードも誕生から30年以上が経ち、部品の一部は発見が難しくなりつつある。ボディは亜鉛メッキされているが、長期間放置されてきたような例では、サビも発生しているはず。オーナー好みに改造された例も多い。

これからコラードを探すなら、今まで充分にオーナーの愛情が注がれてきた1台を見つけたい。サンルーフ・ガイドやヒーターマトリックスの交換など、典型的な不具合に対する心構えもしておきたい。

コラードの魅力はなんといってもドライビング体験。上質な乗り心地に機敏な操縦性、爽快な動力性能が組み合わさり、当時の自動車評論家の心をしっかり掴んだ。

ダンパーとブッシュ類の状態維持はとても大切。改造のし過ぎもオススメしない。せっかくの洗練性を、失わせることにもつながりかねない。

オーナーの意見を聞いてみる

「若い頃から、ずっと欲しいと考えてきました」。と話すのは、コラードG60のオーナー、ローレンス・プリチャード氏。

「以前はM100のロータス・エランを所有していましたが、6年前に売却し、コラードを購入しました。見た目はやれていたので、全塗装しています。ボンネットに気泡が出ていましたが、状態は良い方だったと思います」

「購入後は、スーパーチャージャーとヒーターマトリックスを交換。サンルーフのランナーは、リビルドしています。とはいえ、これまで27万km以上走らせているので、文句はいえないでしょう」

「活発に運転したいと思い、スーパーチャージャーは小計のプーリーに交換済み。オリジナルが入手困難なため、マフラーはステンレスで地元のショップに作ってもらいました」

「実用性も高く、乗るシーンは選びません。子どもたちと日帰り旅行も楽しみました。運転が楽しく、見た目もカッコイイですよね。人とは違うクルマが好みなので、コラードは完璧です」

「ボディは防錆処理済み。わたしが死ぬまで、手放すつもりはありません。息子へもね」

英国で掘り出し物を発見

フォルクスワーゲン・コラード VR6

登録:1995年 走行:5万1600km 価格:2万6995ポンド(410万円)

キャンディ・ホワイトで塗られ、オプションのブラック・レザー内装で仕立てられた、魅力的なVR6。シートヒーターが付きMTでもある。後期型のコラードで走行距離が短いだけに、見た目の状態は素晴らしいようだ。

インテリアも同様で、摩耗した部分は殆ど見られない。フロアマットはフォルクスワーゲンの純正品で、その下のカーペットも真新しい。

新車時は英国ドーチェスターのディーラーで2万1544ポンドで売られ、これまで2オーナー。整備履歴を見ると、2000年に生じたECU不具合の修理に合わせて、新しいエンジンへ載せ替えてあるようだ。

フォルクスワーゲン・コラード 1.8 16V TT

登録:1990年 走行:19万3000km 価格:9994ポンド(151万円)

派手にチューニングされた1台。1991年に、ターボテクニクス社のターボで強化された1.8Lの16Vだ。車高はギリギリに下げられ、少々時代錯誤感のある、巨大な5スポーク・ディープリム・ホイールを履いている。

これまでのオーナーは8名。走行距離は19万km超で、状態はそれなり。シルバーのボディはやれがあるし、クロスの内装はあちこちほつれているという。ダッシュボードにはターボブースト計が追加され、ターボテクニクス社のロゴが貼ってある。

中古車購入時の注意点などは後編にて。

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