往年の技術開発用試作車「C111」がモチーフ
ドイツ時間の2025年6月25日夜、メルセデスAMGは本拠地の“アファスターバッハ”で「コンセプトAMG GT XX」を発表しました。
【画像】「えっ!…」5分間の充電で400kmも走れる! これがメルセデスAMGが初披露した夢の電動スーパーカーです(30枚以上)
メルセデスAMG ペトロナスF1チームのジョージ・ラッセル、キミ・アントネッリ、さらにはリザーブドライバーのバルテリ・ボッタスまで登壇し、アリシア・キーズのライブもおこなわれたイマドキ珍しいほどのド派手なイベントが、その舞台です。
ここまで読んで、「本拠地の“アファスターバッハ”って、間違いなのでは?」と思われた方もいるかもしれません。そう、実はここ、本当は“アファルターバッハ(Affalterbach)”なのですが、この日はクルマのパフォーマンスに新たな価値を打ち立てる日として、1日限りで“アファスターバッハ(Af“faster”bach)“を名乗っていたのでした。
それはともかく、発表された「コンセプトAMG GT XX」は、外観だけでもすさまじいインパクトを放っています。
デザインのモチーフとなったのは、1969年以降、メルセデス・ベンツが技術開発用試作車として世に示した「C111」と、その現代版かつ今回のモデルの予告編的に2023年に示された「ヴィジョン ワンイレブン」です。今回の「コンセプトAMG GT XX」、フォルムは全長5.2m超という大型の4ドアクーペとなっていますが、先鋭度合いはそれら2台にも決して負けてはいません。
「コンセプトAMG GT XX」最大の特徴といえば、空力でしょう。空気抵抗を示すCd値は実に0.198。これは空を飛ぶ鷲(わし)と同等だそうです。当然、それが航続距離に効いてくるわけですが、それだけでなく、最高速度とされる360km/hを超える領域まで、アクティブエアロパーツなどなしで操縦安定性を確保するとされています。
さらに細部にまで目を凝らすと、見どころはまさに盛りだくさん。まさにイノベーションの塊という印象です。
例えば、ヘッドライトには外部に向けて接近警告音などを発するスピーカーを内蔵。そしてサイドシルには“MBUX Fluid Light Paint”と呼ばれる導電性塗料によるストライプが入れられています。
これは、微弱な電流を流すと発光する塗料で、ビジュアルの演出として、あるいは充電の進捗状況を知らせるなどの機能を実現しています。
そしてホイール。スポークのすき間を埋めるエアロブレードは開閉式となっていて、普段は閉じた状態で空力を向上させる一方、必要になればリム側が開いてブレーキに空気を取り込みます。動作はハブにつけられたシステムが発電した電力で、Bluetoothによる通信でおこなわれます。
そしてリアまわりでは、6連の砲弾型テールランプの間に備えられた“MBUX Fluid Light Panel”が最大の特徴。3Dピクセル効果でデジタルのAMGロゴから充電状態まで、さまざまなメッセージを表示できます。そうそう、リアウインドウはありません。後方はカメラで確かめる、ということですね。
このエクステリア、正直いって写真より実物の方が断然、魅力的です。つやめかしい姿ですが、空力含めすべてが機能に裏づけられているからでしょうか。
インテリアは、まずF1マシンのようなバタフライ形状のステアリングが大きなインパクトを放っています。ダッシュボードは表面が結晶塗装アルミのように処理されていて、そこにAMGロゴの浮き文字が入ります。
上面のエアダクトはインタークーラーのイメージ。そしてエアベントはAMG車の“パナメリカーナグリル”にインスパイアされたもので、なかにはオレンジ色に光るチューブが埋め込まれています。
面白いのは、レザーに見える部分に実はバイオ素材が使われていることです。
“LABFIBER Biotech Leather Alternative(バイオテックレザーオルタナティブ)”は、植物性タンパク質、バイオベースポリマー、そしてなんと、メルセデスAMG「GT3」用のレーシングタイヤよりリサイクルされた素材から生み出されたもので、見た目や質感は本革そのもの。強度は2倍で、しかも熱伝導率が低いので、夏場でも熱くなりにくいといいます。実際に触ってみると、確かに本革といわれても納得しそうなほどしなやかです。
CFRP製のフロントバケットシートには、3Dプリンターを活用してユーザーごとにカスタマイズされたシートパッドが入ります。このシートパッドも、やはりバイオテックレザーオルタナティブ製です。
さらに、ベルト状とされたドアハンドルに使われているのが“LABFIBER Biotech Silk Alternative(バイオテックシルクオルタナティブ)”という素材。シルクを生成するバクテリアからシルクプロテインを採取し、糸に加工したものです。
こんな具合に、あらゆるところにバイオ素材が使われている「コンセプトAMG GT XX」。実際に見て、そして触れてみると、その感触、手ざわりはいずれも質の高い、メルセデスAMGのプロダクトにふさわしいものに仕上がっているのです。
速い上に航続性能にも自信があるマラソン・スプリンター
こうして内外装をチェックするだけでも、本当に見どころの尽きない「コンセプトAMG GT XX」ですが、何より注目すべきは、やはり走りでしょう。
「BEV(電気自動車)であっても紛れもない“AMGフィーリング”を得られる」……開発陣はそう主張します。
それを実現するのが“アキシャルフラックスモーター”の採用。フロントに1基、リアに2基の計3基が搭載され、トータルでの最高出力は1000kW、つまり1360ps以上にも達します。
リアは当然、トルクベクタリングが可能。これと前輪の駆動とが相まって、クレイジーなアングルでドリフトできると謳われています。
この“アキシャルフラックスモーター”は、通常のモーターに対してサイズは約3分の2、しかも軽量で、かつ高効率なのが大きな特徴です。
実際、最大トルクに直結する円周方向にはそれなりに大きい一方で、幅は80mm程度。これが前後のエレクトリックドライブユニットに収められています。
担当したのは、メルセデス・ベンツ傘下となるイギリスのYASA。実は市販車では、すでにランボルギーニ「レヴエルト」などに使われています。ライバルメーカーではありますが、直接競合しないモデルならば供給が許されるようです。
そして、リチウムイオンバッテリーも専用開発。F1も手がけるHPP(ハイパフォーマンス・パワートレインズ)が開発したそれは、円筒形セルを使ったオイル冷却をおこなうもので、高負荷時の温度上昇を徹底的に抑えています。
「これまでの高性能BEVはスプリンター、つまり短距離走者が多かったけれど、このクルマはいわばマラソン・スプリンターです」と話すのは、メルセデスAMGのミハエル・シーベCEOです。
同様に充電も早く、100km分の充電に必要な時間はわずか58秒。5分もあれば400kmの航続距離を稼ぐことができます。
400kmということは、“アファルターバッハ”から発表後の週末に24時間耐久レースが開催されるベルギーのスパ・フランコルシャンまで途中充電なしで行けて、しかも、数周のコース走行を楽しめるというわけです、わずか5分間の充電で!
* * *
そんなわけで、内容が非常に盛りだくさんの「コンセプトAMG GT XX」ですが、きっと多くのメルセデスAMGファンは「でも、BEVじゃ……」という思いを抱いているのではないでしょうか?
このブランドの魅力は、絶対的なパフォーマンスだけでなく、まさしく“AMGフィーリング”。それが一体どんな形で具現化されているのかが、やはり気になるところです。
今回お披露目されたのはコンセプトカーでしたが、中身はとても現実的。実はこのクルマの量産仕様と思しき車両が、今、ドイツの公道を走り回っています。そう遠くないはずの市販が、非常に楽しみな1台です!(島下泰久)
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みんなのコメント
充電ステーションの横に特高変電所が必要とかコスト的に非現実的な仕様の一次側電源が要求されるとかじゃないよね?
記者はそのような読者が興味ある所のスペックを書いてほしいです。