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作りまくれ売りまくれじゃEV時代はこない! バッテリーを生涯ムダにしないための「デジタルパスポート」が必要不可欠だった

掲載 更新 15
作りまくれ売りまくれじゃEV時代はこない! バッテリーを生涯ムダにしないための「デジタルパスポート」が必要不可欠だった

二次利用と資源循環を実現する仕組み

電気自動車でもっとも重要な部品である駆動用のリチウムイオンバッテリーに、デジタルパスポートを義務付ける動きがある。欧州では2027年から実施とのことだ。

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バッテリーのデジタルパスポートとはいわば電池の身分証明で、これを備えることによって資源としてのリチウムイオンバッテリーの行方を確認できる。1セルごとにQRコードで認証を与えることを通じ、そのリチウムイオンバッテリーがどのように使われ、どのように劣化し、今どの状態にあるか、今どこに存在するかを確認できるようになる。

そもそもEVが量産市販された2010年前後から、車載のリチウムイオンバッテリーがどのような状態であるかを通信を利用して確認する仕組みが採り入れられていた。これを管理するのはEVを販売する自動車メーカーだ。EV1台1台の充放電状況から、そのEVがどのように使われているかが報告され、情報が蓄積されていく。

これによって、現実の市場でEVがどのような使われ方をしているか地域別にも特徴を把握でき、次の商品企画や開発の基になる。通信の活用は自動車メーカーの利点だけでなく、利用者も故障診断やOTA(オーバー・ジ・エア)による機能の刷新など、安心して気軽にEVを使い常に最新の仕様で利用できるようにもなる。

そのうえで、車載のリチウムイオンバッテリーでも情報通信機能を活用することで、資源としてのリチウムイオンバッテリーを無駄にせず使い切る取り組みが確実性をもち、産業を下支えする。

すでに何度も述べてきたと思うが、EVで使い終えたあとのリチウムイオンバッテリーは、まだ7割前後の容量を残している。なぜそうなるかというと、電気の利用とは多くがほぼ安定した一定電力量で使われることが多いのだが、一方EVは急な加減速の場面もあって瞬発力としての電力消費がある。そのためには、バッテリー容量に余裕がなければならない。その目安が7割前後の容量を残した状態ということだ。

この容量を切ると、加速力が衰えたり一充電走行距離がかなり短くなったりする。そのまま使い続けるにはバッテリー交換が必要になる。あるいは、廃車ということもあるかもしれない。廃車については、事故車としての廃車も可能性としてはある。

それらのリチウムイオンバッテリーを、そのまま資源リサイクルしたのではもったいない。そもそも、リチウムイオンバッテリーは製造段階で多くの電力消費があり、火力発電を前提にすると製造でCO2排出量が多くなる。そこで、素材リサイクルの前にバッテリー容量を使い切ることが、脱二酸化炭素の視点でも不可欠なのだ。

日本国内で電池を循環させる体制構築が重要

ところが2010年に日産リーフが発売されて以後、世界の自動車メーカーはEV販売にばかり気を取られて廃車後のリチウムイオンバッテリーの二次利用についてほぼ実績がない。唯一日産だけが初代リーフ発売前に二次利用のための会社を設立し(フォー・アール・エナジー社=4R社)、すでに15年の実績をもつ。そして、二次利用の事業化をはじめている。他社はようやく実証実験を始める程度だ。

とはいえ二次利用を前提とするなら、まず廃車後のリチウムイオンバッテリーの存在を明らかにし、それを集めて品質検査を行い、容量の残量によって格付けをし、それによって二次利用における製品保証をしてからさまざま産業における二次利用の道を切り拓かなければならない。その前提となるのがデジタルパスポートだ。

それにはリチウムイオンバッテリー製造段階でパスポートの名にふさわしい証明を発行し、これを1セルごとに取り付ける作業を進める必要がある。なぜ1セルごとといった細かい認証になるかというと、リチウムイオンバッテリーに限らず、バッテリーは使用段階で1セルことに消耗や劣化の度合いが異なるためだ。

したがって、EVに車載されているバッテリーパックをそのまま二次利用に使おうとすれば、もっとも劣化したセルの性能でしか二次利用に活用できず、劣化の少ないセルがあってもそれを活かすことができなくなる。これでは資源を使い切ることにつながらない。日産系列の4R社は、すでに4セルを1単位としたモジュール単位で品質を確認する手立てをもつ。電気なので検査すれば誰にでもできることではあるが、それを短時間で判断できなければ、何百セルも車載するEVの廃車後のバッテリー品質を即座に判定できなくなる。それでは手間が掛かりすぎて二次利用における原価を高めてしまう。こうした実績をもつのは世界でも日産だけといえる。

そして、良質なバッテリー容量からA、B、Cの格付けをし、EVへの積み替え用がA、定置型での利用にはB、スマートフォンなどへの充電用にはCといった使いわけを進めている。それらを、産業として成長させるには、中古EVの海外流出を止め、国内販売を活性化し、そのうえで廃車後のリチウムイオンバッテリーの二次利用を国内で産業化する必要がある。

国内でのEV販売が順調に進めば、日本国内に使用後のリチウムイオンバッテリーの電極で使われた貴重な資源であるコバルトやニッケルが、再利用として存在しつづけることになる。

EVの普及は、ただ目新しい新車が売れればよいということではない。中古EVの市場が確立し、一度日本で売られたEVが国内で止まったうえで、廃車後のリチウムイオンバッテリーの二次利用が進み、最終的な資源リサイクルによって、国内では地下資源として存在しない希少金属を国内に止め置くことこそ、将来へつながることなのである。

その大前提がデジタルパスポートだ。欧州市場で規制がはじまるからというような他人ごとではなく、自ら未来を築くためであることを知ることが大切だ。その意味では、4R社の株が急騰してもいいくらいの話なのである。

文:THE EV TIMES 御堀直嗣
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みんなのコメント

15件
  • 冥土インPRC
    EV TIMESは中国メディアなのに、黄色い熊さんが「作りまくって売りまくれ」を拒否したらダメだろ。
    実際は作りまくって売れ残り、EVの墓場を生み出しているだけだろうけど。
    EV TIMESは中国国内だけで勝手に盛り上がって、日本を巻き込むな。
  • crx********
    容量は容易に判断できるだろうけど、品質はどうなのよ。燃えるのが一番怖いと思うんだが。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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