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洒落男御用達の鉄板デートカー!! アルファ製スパイダー3選

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洒落男御用達の鉄板デートカー!! アルファ製スパイダー3選

■洒落男にとってアルファといえばスパイダー!

 毎年8月中旬、北米カリフォルニア州モントレー半島で開催される「モントレー・カーウィーク」では、アメリカだけではなくヨーロッパのオークションハウスも、全力を傾注した大規模オークションをおこなうのが恒例となっている。

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 ところが2020年は、新型コロナウイルス禍の影響で「カーウィーク」ともどもキャンセルとなってしまったのは、これまでにもお伝えしたとおりである。

 そこで、先般VAGUEでも複数の「レビュー」を届けているRMサザビーズ社の「SHIFT MONTLEY」を筆頭に、各オークションハウスはこの時期に照準を合わせたオンライン限定のオークションを敢行した。

 例年なら、この時期におこなわれるコンクール・デレガンス「ザ・クエイル・モータースポーツ・ギャザリング」のオフィシャルオークションを受託してきたRMサザビーズ社のライバル「ボナムズ(BONHAMS)」社も、今年は独自のオンラインオークションを開催。「SHIFT MONTLEY」に負けない盛況ぶりを見せたようだ。

 そんなボナムズ出品車のなかでVAGUEが注目したのは、2020年が創業110周年となるアルファ ロメオ。とりわけ、わが国においても大人気モデルである「スパイダー」の3世代について、オークションレビュー(事後リポート)をしよう。

●1959 アルファ ロメオ「2000 スパイダー」

 1958年に発表されたアルファ ロメオ「2000」シリーズは、第二次大戦後に初めて新設計されたアルファ ロメオ「1900」シリーズに端を発する、1975ccの4気筒DOHCユニットを搭載した高級モデルである。

 2000シリーズでは、1900の時代とは違ってカロッツェリア用の専用シャシに架装した準制式モデル「フォーリ・セリエ」がカタログを飾ることはなかったものの、アルファ ロメオの伝統に従って、このスポーティな「2000スパイダー」が制式モデルとして用意されることになった。

 基幹モデルとなるベルリーナのホイールベースを約22cm短縮したシャシに、第二次大戦前からアルファ ロメオに数多くの傑作を架装してきたミラノの名門カロッツェリア「トゥーリング」のデザインによる、典雅なスパイダーボディが組み合わされる。

 ただしこのボディは、トゥーリングお得意のボディ製作法「スーペルレッジェーラ(スーパーレッジェーラ)」ではなく、通常の工法で架装されたスチールモノコックだった。

 2000スパイダーは、特に北米マーケットでの人気が高く、ベルリーナを大きく上回る3443台が製作されたといわれているが、残念ながら残存数は決して多くなく、イタリアではレア車のひとつとして認知されている。

 また「スーペルレッジェーラ」ではないとはいえ、第二次大戦前から名作を数多く上梓してきた「アルファ ロメオ×トゥーリング」の最後を飾った1台であることに加え、「フォーリ・セリエ」時代の古典美をほのかに残した美しさが、とくに近年になって高く評価されるようになったことも加味され、ほんの10年ほど前までは日本円にして500万円もあれば入手できたものが、ここ数年は1000万円から1500万円あたりで推移してきた。

 そんなマーケット感を反映するように、今回ボナムズ・オークション社が設定したエスティメート(推定落札価格)は12万-14万ドル。日本円では1300-1500万円とされていたのだが、7月31日に締め切られた実際のオークションでは9万7000ドル、日本円換算では約1035万円で落札されることになった。

 新型コロナ禍以前の相場価格に近いこの落札価格は、依然として2000スパイダーの人気が衰えていないことを証明したようだ。

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 今回のボナムズ・オークションでは「アルファ ロメオのスパイダー」といえば多くの人が連想するであろうこのクルマも、もちろん出品リストを飾っていた。

●1967 アルファ ロメオ「デュエット1600スパイダー」

 1966年にデビューした「1600スパイダー・デュエット」。基本的なメカニズムを「ジュリア・スプリントGTV」や「GT1300ジュニア」とともにするバリエーションモデルである。

 流麗を究めたボディのデザインは、ジュリエッタ時代に次いで名門ピニンファリーナが手掛けたもので、空力的でスマートなプロポーションと、「osso di seppia(甲イカの骨)」というイタリア国内におけるニックネームの由来でもある、ラウンド形状の長いテールを最大の特徴としていた。

 スパイダー・デュエットは、ジュリア・ファミリーの発展に伴ってバリエーションを増やし、「1300」や「1750」も設定。1969年にはテールを潔くカットした第二世代、通称「コーダ・トロンカ」に移行し、1970年代には「2000」が最上級モデルとなった。

 さらに1980年代には、樹脂製の空力パーツでモダナイズを図った第三世代「アエロディナミカ」へと進化。そして、さらなる大幅なモダナイズが施されて1989年に登場した「シリーズ4」へと最終進化を図り、1993年まで生産された。

 実に27年にもわたって生産された超ロングセラーの開祖であるとともに、独特の美しさを誇るデュエット。現在のクラシックカー国際マーケットにおける評価も、一連のジュリア系スパイダーのなかでは格別のものとなっている。

 ボナムズ・オークションの出品車両は1967年型で、新車時から南カリフォルニアで過ごしてきたというヒストリーを持っている。イタリア車だけを対象とするコンクール・デレガンス「コンコルソ・イタリアーノ」2016年版では、「The Most Original Duetto(最もオリジナリティを保ったデュエット)」に選ばれたほか、有名どころのコンクールで数々の入賞を果たしてきた個体でもある。

 このデュエットに、ボナムズ社が設定したエスティメートは5万-7万ドル、日本円換算で約530万-800万円と、かなり広めにとられていた。そして8月14日に入札締め切りとなったオンラインオークションでは、4万4800ドル、日本円換算で約478万円という、来歴を考慮すればかなりリーズナブルな価格で落札されるに至った。

●2009 アルファ ロメオ「8Cスパイダー」

 今回、最後のオークションレビューは、数ある「アルファ ロメオ・スパイダー」のなかでも、おそらく最強・最速の市販モデルと目されている1台、「8Cスパイダー」である。

 8Cスパイダーは、もともとアルファ ロメオ社内で「スポルティーヴァ・エヴォルータ」というコードネームのもと開発され、第二次大戦前のアルファ ロメオの伝統を復活させたスーパーカー、「8Cコンペティツィオーネ」のオープン版である。

 起源となる8Cコンペティツィオーネは、まずは2003年フランクフルト・ショーにコンセプトカーとして出品された。

 翌2004年の「コンコルソ・ヴィラ・デステ」のコンセプトカー部門で金賞を得たのち、2006年のパリ・サロンにて「500台を限定生産、2008年からEU圏内でデリバリー開始」という生産スケジュールとともに、市販モデルの正式なワールドプレミアが実現。世界限定500台のみが生産されたといわれている。

 そして、8Cコンペティツィオーネの生産が予定どおり終了した2009年からは、2005年の北米「ペブルビーチ・コンクール・デレガンス」にてデビューし、翌2006年にはクーペと同様「コンコルソ・ヴィラ・デステ」コンセプトカー部門で金賞を獲得した8Cスパイダーも生産化。こちらも500台のみが限定製作・販売されることになった。

 8Cコンペティツィオーネ/スパイダーともに、まだ「ヤングタイマー・クラシック」と呼ばれる世代のクルマではなく、どちらかといえば「ユーズドカー」に近いのだが、依然として新車時ないしはそれ以上のマーケット価格を保っていることで知られる。

 この8Cスパイダーに、ボナムズ・オークション社が設定したエスティメート(推定落札価格)は、けっこう強気な27万-32万ドル。日本円では2900-3400万円とされた。

 そして入札開始の一週間後、31日に締め切りを迎えた競売では29万6500ドル(邦貨換算約3162万円)で落札。新型コロナ禍に翻弄される現況のなか、無事エスティメートに到達することができたのだ。

 日本国内では、筆者がスーパーバイザーとして企画・監修した「東京コンクール・デレガンス2009」でプレミア発表会がおこなわれたため、なんだか不思議な親しみを勝手に抱いてしまう8Cスパイダーだが、まだまだマーケットにおける評価が高いことに安堵する一方で、これから先も手の届くクルマにはなってくれそうもないことを再認識させられたようで、ちょっとだけ寂しくも思うのであった。

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