■見た目は「普通」で心臓は「モンスター」
トヨタのラージセダン「カムリ」が2023年をもって日本での生産を終了し、43年の歴史に幕を閉じました。一方で、北米では主力モデルに位置し、2023年11月には新型が登場しています。
そんなカムリの歴史のなかでも、異例ともいえる超ハイパワーエンジンを搭載したスペシャルモデルが披露されたことがありました。
【画像】「えっ…!」 これが「ヤバすぎるカムリの姿」です!(45枚)
カムリは、2ドアスペシャリティクーペ「セリカ」をベースとした4ドアセダンタイプの派生車「セリカカムリ」として、1980年に登場したクルマが源流です。
すぐ2年後の1982年には2代目が登場。このときにセリカの名称が消え、前輪駆動(FF)プラットフォームを採用するなど、セリカとは異なる別のクルマとして歩みはじめ、国外での展開も開始します。
以後、FFミディアムセダンの世界戦略車として、2016年12月の時点で世界100か国以上の国と地域で販売。累計販売台数は1800万台を記録するなど、トヨタの最量販車というポジションを獲得しました。
日本ではセダンが不人気となったことなどから、2017年7月に発表された10代目が最終モデルとなり、2023年12月下旬に生産終了。43年の歴史に幕を閉じました。
国外向けでは2023年11月に、11代目モデルが北米で世界初公開され、今後は海外専売車種として生き長らえることとなります。
そんなカムリですが、一部モデルでV型6気筒エンジンを搭載する高性能モデルが用意されたものの、歴代を通じて比較的落ち着いた存在の上級セダンとして展開されています。
しかし、北米トヨタは2014年に開催された世界最大のカスタムカーショー「SEMAショー」において、見た目はほぼそのままに、超強力なパワーユニットを押し込んだ過激なマシンを公開していました。
その名称は「スリーパーカムリ」。“スリーパー(sleeper)”とはカスタムカーにしばしば用いられる表現で、エクステリアはベース車からあまり変更せず、外からは見えないエンジンや駆動系を強烈にチューンナップしたモンスターマシンのことを指します。
このスリーパーカムリはその名称の通り、エクステリアこそ9代目カムリの2015年モデルで、グレードも標準的な「XSE」をベースとしていますが、中身はまるで別物に改造されていました。
搭載されたパワーユニットは、トヨタが北米市場などで販売するピックアップトラック「タンドラ」の5.7リッターV型8気筒「3UR-FE」型エンジン。
純正で最大出力386馬力・最大トルク544Nmを発揮し、すでにハイパワーな同エンジンですが、スリーパーカムリにはさらにTRD製のスーパーチャージャー、ニトロシステムが搭載されたことで、最高出力850馬力を発揮します。
これに伴い、駆動方式もFRへと変更し、トランスミッションもタンドラと同様のものを採用。足回りは、335/30R18という標準のカムリよりも大幅に太いドラッグレース用グッドイヤー製タイヤを装着しました。
また、一見すると純正に見えるボディも、通常のモノコックボディからフルチューブフレーム構造へと変更されており、もはや「カムリの“皮”を被ったモンスターマシン」に仕上がっています。
1/4マイル(約402m・ゼロヨン)タイムは9.80秒をマークします。日産「GT-R」やホンダ「NSX」でもゼロヨンタイムは11秒台と言われており、スリーパーカムリの加速力がどれほど強烈かを物語っています。
当時の北米トヨタ モータースポーツ ナショナルマネージャーであるスティーブ・アペルバウム氏は次のように述べていました。
「これまでSEMAショーで発表してきたなかで、もっとも過激な作品です。一見するとストック(純正)状態のカムリが本格的なレースカーに変身する様子は、五感を揺さぶります。
モータースポーツ・テクニカル・センターのチャック・ウェイド氏と同チームは、このプロジェクトのビジョンを実現するという実に素晴らしい仕事をしました」
これに対してウェイド氏は、「このカムリは、究極のスリーパーです。驚くべき要素を備えていますし、どんなクルマにも勝るポテンシャルを持っています」と語っています。
※ ※ ※
残念ながらスリーパーカムリの市販化は叶いませんでしたが、SEMAショーではこうしたモンスターマシンが数多く披露されています。
2023年10月から11月にかけて開催されたSEMAショー2023でも、「ランクル40」に700馬力超えのV型8気筒エンジンを押し込んだマシンや、旧車にハイパワーEVユニットを搭載した「レストモッド」マシンなど、夢のあるカスタムカーが多数登場しました。
2024年も、国内外で開催されるカスタムカーショーでどのようなモンスターマシンが登場するのか、期待が膨らむばかりです。
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みんなのコメント
一般販売される記事かと思ったら中身スカスカだった。