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交通事故が23%減? 後付け「ブラインドスポットモニター」が中古車市場を変える根本理由

掲載 更新 43
交通事故が23%減? 後付け「ブラインドスポットモニター」が中古車市場を変える根本理由

事故防止の新たな切り札

 自動車の安全装備が進化するなかで、車線変更時の接触事故を防ぐ「ブラインドスポットモニター(BSM)」が注目を集めている。BSMは車両の後側方に設けたレーダーセンサーが隣の車線の死角を監視する。接近する車両やバイクがあると、ドアミラー内のインジケーターや警告音でドライバーに知らせる仕組みだ。

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 この装備によって、目視やミラーで見落としがちな部分まで確認でき、事故のリスクを大きく減らせる。警察庁の統計によると、2023年の進路変更時の事故件数は約1万件にのぼる。安全確認が不十分なままの接触や追突が多く、ドアミラーで確認しきれない死角が原因のひとつとされる。

 特に夜間や雨天など視界が悪い状況では、目視による確認が難しくなる。BSMは、こうした課題への対応を目的に開発された。名称や警告方法はメーカーによって異なる。例えば、トヨタでは「ブラインドスポットモニター」、ホンダでは「ブラインドスポットインフォメーション」、日産では「BSI(後側方衝突防止支援システム)」と呼ばれている。

 現在、BSMは自動車の安全性を高める重要な装備として、多くの新車に標準で搭載されている。さらに最近では、既存車や中古車向けに

「後付けできるBSM」

も登場しており、幅広いユーザーから関心を集めている。

後付け製品の登場と普及の背景

 従来、BSMは高級車や新型車に限って搭載されていた。だが近年では、各社から汎用型の後付けBSMが登場し、軽自動車やミニバン、キャンピングカーなど、幅広い車種や年式に対応できるようになった。

 この変化により、アウトドア利用のユーザーやファミリー層、さらに運転に不安を感じる高齢ドライバーからの需要が高まっている。特に高齢者は、視野の狭まりや明暗への順応の遅れ、遠近感の低下といった身体的な変化が起こりやすい。そのため、車線変更時の安全確認が難しくなり、BSMが重要な補助機能となっている。

 実際に後付けBSMを導入したユーザーからは、

「死角の車両を検知してくれるので安心感がある」
「夜間や雨天でも機能が落ちない」
「ヒヤリとする場面が減った」

といった好意的な声が寄せられている。

 BSMはドライバーの見落としを減らし、安心感を高める装備である。だが、これまでは標準装備された新車を買う以外に手段がなく、導入には高いハードルがあった。後付けタイプの登場により、新車を買わずともBSMを備えることが可能になった。こうした背景が、BSMの需要拡大を後押ししている。

仕組みと具体的な効果

 BSMは、リアバンパー内部などにレーダーセンサーを設置し、斜め後方や隣の車線の車両を検知する仕組みである。たとえばトヨタの「ノア」では、隣の車線の最大約60m後方までモニターでき、急接近する車両も検知できる。車両を検知すると、ドアミラー内のインジケーターが点灯し、ウインカー操作時には点滅して注意を促す。

 マツダのBSMでは、時速約15km以上で走行中にリアバンパーのセンサーが側方や後方から接近する車両を検知する。状況に応じて、ドアミラーのインジケーターを点灯させたり、警報音でドライバーに注意を促したりする。メーカーによっては、ハンドルに振動や反力を与えて、車線変更をやめるよう促すモデルもある。

 BSMの効果は、事故統計にも表れている。米国の道路安全保険協会(IIHS)が2017年に発表した調査では、BSMを搭載した車では車線変更時の接触事故が約14%減少した。負傷事故に限れば、23%の減少が確認されている。

 BSMは、夜間や悪天候、トンネル内など視界が悪い状況でも一定の効果を発揮する。ただし、センサーの性能や環境条件によっては、検知能力が下がる場合もある。すべての車両や障害物を検知できるわけではなく、あくまで運転支援システムにすぎない。

 実際に、雨や雪、センサーの汚れなどで正常に作動しないこともある。そのため、ドライバーには常に周囲を確認する責任がある。BSMに頼りすぎることは避けるべきであり、あくまで「補助」として活用すべき装備である。

BSMが持つ可能性と将来性

 後付けできる汎用型BSMの登場と普及は、先進安全技術の恩恵をより多くのドライバーに広げる動きである。これまでは新車購入層が主な対象だったが、今後は中古車や既存車両のユーザーにも安全性の向上が期待される。このことは、個々の車両だけでなく、交通全体の事故リスクを下げる効果も持つ。

 長く同じ車に乗りたいと考えるユーザーにとって、後付けBSMは安全性を簡単に高める手段となる。中古車市場の活性化にもつながる可能性がある。

 現在のBSMは、主にレーダーやカメラを使っている。今後は、LiDARや高精度の超音波センサーの導入が進むことで、死角の検知精度や悪天候時の信頼性が向上すると見られる。さらにAIとの連携が進めば、複雑な交通状況の判断や歩行者の動きの予測も可能になる。自動運転技術の進展にも不可欠な要素である。

 BSMには、低コスト化や性能の向上といった課題も残るが、誰もがより安全に車を利用するための重要な装備である。(木村義孝(フリーライター))

文:Merkmal 木村義孝(フリーライター)
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みんなのコメント

43件
  • sek********
    いくら便利な機能を搭載しても、事故するヤツはモニターすら見ない。警告音も聞かない。
  • lan********
    悲しいことに、ドアミラーなんか見ないから、ブラインドスポットモニターがオレンジや赤に点灯していてもお構い無しに車線変更してくる奴ら多いんですよね。

    あいつらの頭の中は、自分が前に出ているから優先って感じなんでしょうかね。
    暑さでやられてんのかな
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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