マセラティ ルネッサンス
マセラティが胎動している。最新スーパーカー「MC20」の投入、オールイタリアンでの生産体制構築、20年超ぶりの自社製内燃機関、モータースポーツフィールドへの復帰など、ここ数年育まれてきた萌芽が、一気に華開いたような勢いである。
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2015年にはモデナのヴィア エミリア オヴェストに「マセラティ イノベーション ラボ」を新設。ここでは世界中の国際レーシングサーキットをヴァーチャル上に再現するダイナミックシミュレーターや、あらゆる場所における各季節や日照条件などを光源により再生するスカイライトシミュレーターなど、最先端のデジタルプロセスを用いた研究・開発などを行っている。
次期型SUVやグラントゥーリズモ後継を投入
2019年9月には中期的経営計画「イノベーションプラン」を発表。イタリア国内の生産拡大、全モデルの電動化、自動運転技術の高度化及び拡充の3本柱を軸に、ブランド成長を進めていくと宣言した。
新たなSUV計画も明らかにされ、カッシーノ工場に約8億ユーロ(約941億円)を投じて新ラインを増設。電動化モデルとして、グラントゥーリズモ/グランカブリオの後継車もフィアット クライスラー オートモービルズが8億ユーロ(約941億円)を投じているトリノのミラフィーリ工場で生産する、と公表している。
本拠地モデナの工場も本格的にてこ入れを実施。顧客が見学可能な最新の塗装工程や、カスタマイズ専用のワークショップも新設している。そして、このモデナ工場で生産されるのが最新のスーパースポーツ「MC20」と、その心臓である「ネットゥーノ」エンジンだ。
白紙から開発したMC20と内製V6エンジン
MC20はマセラティ新時代の幕開けを担うニューカーで、MCは「マセラティ コルセ」を、「20」はその誕生年である「2020年」を指す。コルセ、つまりレースとの強い繋がりを車名に冠するとおり、MC20はMC12の進化形としての役割をもつ。すでにマセラティはMC20でのモータースポーツ復帰を予告している。
MC20に搭載する3.0リッターV型6気筒ターボガソリンエンジンは、開発から組み上げまですべてを内製で実施する。最高出力630ps/7500rpm、最大トルク730Nm/3000~5500rpmを発生するユニットは、レヴリミットを8000rpmに刻んだ。
F1技術を応用したプレチャンバーシステムを採用
バンク角90度のV型6気筒アーキテクチャーを基本に、電動ウェイストゲートを設けたターボチャージャーをはじめ、ドライサンプ方式、可変バルブタイミング機構を採用した。また、新世代エンジンに求められる高い効率性を実現するべく、マセラティは燃焼技術に注力。F1テクノロジーを応用し、ツインプラグを配したプレチャンバー(副燃焼室)燃料システムを取り入れている。
新型SUV「グレカーレ」の生産も予告
MC20の量産仕様は2020年末にもラインオフするという。そして、2021年には次期型グラントゥーリズモ、そして新しいSUVがいよいよ姿を明らかにする。ネプチューンが携えるトライデントは、いまクリアな未来を力強く指し示しているようだ。
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