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【ヒットの法則347】プジョー207CCにはハッチバックとはまた違った豪華さ、味わいがあった

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【ヒットの法則347】プジョー207CCにはハッチバックとはまた違った豪華さ、味わいがあった

2007年6月、プジョー207CCが登場した。207GT、207、207シエロに続いて上陸したクーペカブリオレモデルによって、「207の世界」はどんな広がりを見せたのか。ここでは九州・阿蘇で行われた試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2007年8月号より)

電動リトラクタブルルーフはフルオート
ハッチバックモデルに続いて、予定通り、207シリーズにクーペ・カブリオレ モデルが追加設定された。2007年3月にジュネーブショーでデビューしたばかりだから、わずか3カ月で、予想よりも早く日本に導入されたことになる。

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207CCのバリエーションはハッチバックと同様のもので、1.6L NAエンジンと4速AT、1.6L直噴ターボと5速MTの組み合わせとなる。前者が207CC、後者が207CC GTと呼ばれるのもハッチバックに準じている。

この他、シンプルなレザー仕様の「207CCレザー」、ダッシュボードやシートにインテグラルレザーを配した豪華モデル「207CCプレミアム」を受注生産として設定している。207CCプレミアムはインテグラルレザーだけでなくディレクショナルヘッドライトやバックソナーなどを装備しており、ハッチバックで言えば「207シエロ」に相当する。なお、207CC GTもインテグラルレザー仕様となり、207CCプレミアムと同様の装備が標準設定される。207CC GTと207CCプレミアムが同価格となるのもハッチバックと同様だ。

207CCのポイントは、207シリーズの開発スタートと同時に企画が進行したこと。そのためバランスのいい洗練されたスタイルが実現されているとともに、カブリオレ化をふまえたボディ剛性強化がスムーズに行われている。ボディ強化はボディ下部を中心に行われているようで、これは振動の低減にも貢献している。

先代206CCの場合、206シリーズの完成後に開発されたこともあって、デザインや構成に少し無理がある部分も見受けられた。

シートレイアウトは206CC同様2+2で、若干リアスペースが拡大されているが、依然としてエマージェンシー用というレベル。クーペ時に449L、カブリオレ時は187Lというトランク容量を考えると、やはりリアシートはスマートなラゲッジスペースと見たほうがいい。プジョーとしてもリアシート拡大に大きな努力を払ったとは思えない。リアシートに乗車することを考えるならば、307CCを選択すべきなのだろう。

電動リトラクタブルルーフが完全にオートとなったのも注目点。ロックハンドルを操作する必要はなく、約25秒間ボタンを押し続けるだけで、4枚のウインドウの開閉、ルーフの開閉が自動で行われる。207CCはクーペとしての役割も求められているが、カブリオレの使命もきちんと果たしているのだ。

ひと回り大きくなりクラスがひとつ上がった印象
今回、試乗に用意されたのは207CCプレミアムと207CC GT。まずはそのインテリアに驚かされることになる。高級なレザーをダッシュボードまでふんだんに使うなど、とてもBセグメントのコンパクトカーとは思えない豪華さだ。その上、ディレクショナルヘッドライト、バックソナー、シートヒーター、ESPまでもが標準装備されているというから面喰らう。

これは207シリーズ全体に言えることだが、206の後継車というより、ひとクラス上がった印象だ。フランス車のチープシックな印象はやや薄れ、プレミアムでスポーティな方向へ少し振れたようにも感じる。これにはシトロエンC2/C3の存在というものも影響しているのではないだろうか。つまり、Bセグメント全体をプジョー107と207、シトロエンC2とC3で対応しようということだと想像できる。こう考えれば、207CCとC3プルリエルのあり方の違いもよく理解できる。

207CCのパワーユニットの印象はハッチバックと同様のものだ。1.6L NAエンジン+4速ATは広範囲で豊かなトルクが感じられて、アクセルを軽く踏み込むだけで素直に反応してくれる。4速ATもスムーズなものとなっていた。1.6L直噴ターボと5速MTの組み合わせは、ターボとは思えぬ滑らかな加速が印象的で、まるで2L以上のエンジンに乗っているような感じ。マニュアルシフトを気持ちよく操作していると、知らぬ間に速度が上がってしまうから注意が必要だ。

207CCでちょっと驚いたのは、ハッチバックほどサスペンションに硬い印象がなかったこと。ハッチバックでは高いボディ剛性とともにややゴツゴツしたサスペンションの動きが感じられ、それが軽快感を生んでいたところもあったが、207CCではそんなゴツゴツ感が消えて、しなやかな動きを感じることができた。クーペ・カブリオレということでセッティングを変更したのか、それともいい意味での緩みが出たのか。速度を上げていくと、さらにフラットになり快適なものになっていく。ワインディングを攻めても、フロントタイヤの接地感が高く、電動パワーステアリングも自然な操舵感で、安心してドライビングを楽しむことができた。

ただ違和感があるのは、これまでと比べて格段にクオリティが向上し装備も充実しているため、Bセグメントのコンパクトカーであることを忘れ、もっと滑らかなエンジン回転フィールが、もっとしっとりとした足が欲しいとか、ひとクラスもふたクラスも上のものを求めがちになってしまうこと。207CCはコンパクト・クーペ・カブリオレの新しい世界を作りあげようとしている。(文:松本雅弘/Motor Magazine 2007年8月号より)



プジョー207CC 主要諸元
●全長×全幅×全高:4030×1750×1395mm
●ホイールベース:2540mm
●車両重量:1440kg
●エンジン:直4DOHC
●排気量:1598cc
●最高出力:120ps/6000rpm
●最大トルク:160Nm/4250rpm
●トランスミッション:4速AT
●駆動方式:FF
●車両価格:309万円(2007年)

プジョー207CC GT 主要諸元
●全長×全幅×全高:4030×1750×1395mm
●ホイールベース:2540mm
●車両重量:1440kg
●エンジン:直4DOHCターボ
●排気量:1598cc
●最高出力:150ps/5800rpm
●最大トルク:240Nm/1400-3500rpm
●トランスミッション:5速MT
●駆動方式:FF
●車両価格:344万円(2007年)

[ アルバム : プジョー207CC はオリジナルサイトでご覧ください ]

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