2026年5月、トヨタの本格四輪駆動モデルに2つの新顔が加わりました。ひとつは「もっと気軽にランクルを楽しむ」を掲げる新型モデル「ランドクルーザーFJ」、もうひとつは11年ぶりのフルモデルチェンジとなったピックアップトラック新型「ハイラックス」です。
どちらも500万円前後で購入できる本格ラダーフレーム4WDですが、その性格はかなり異なります。日常で使いやすいのはどちらなのか。そして所有する満足感が高いのはどちらなのか。両車を比較してみます。
【画像ギャラリー】500万円前後で選ぶならどっち!?? 新型「ランドクルーザーFJ」と新型「ハイラックス」(38枚)
文:吉川賢一/写真:TOYOTA
同じ500万円前後でも性格は正反対!
2026年5月に相次いで日本発売となったトヨタ新型「ランドクルーザーFJ」と新型「ハイラックス」。どちらもトヨタのIMV系プラットフォームをルーツに持つ、ラダーフレーム構造の本格的な悪路走破性を備えた4WDモデルです。価格帯もランクルFJが450万100円(税込)、新型ハイラックスが498万800円~550万円(税込)と、50~100万ほどの差はあるものの、どちらも500万円前後で手が届くことから、購入候補として比較する人も少なくないでしょう。
しかし、その開発思想は大きく異なります。新型ランクルFJは、「もっと多くの人に、もっと気軽にランクルを楽しんでほしい」という考え方のもとで誕生したSUVです。ラダーフレームやパートタイム4WD、電動リヤデフロックなど、本格クロカンに求められる装備をしっかり備えながら、全長4575mm、全幅1855mmという扱いやすいサイズにまとめられており、日常的に使いやすいことを重視したパッケージとなっています。
一方の新型ハイラックスは、世界中で物流や建設業、農業などを支えてきたピックアップトラックです。従来の「働くクルマ」というイメージから一歩踏み出し、レジャーや趣味まで含めたライフスタイルカーとしての性格を強めており、パノラミックビューモニターやブラインドスポットモニターといった最新の運転支援機能などを採用し、従来以上に乗用車的な快適性を高めています。
12.3インチTFTカラーメーター(FJは7インチ)や、電動パーキングブレーキ(FJは手引き式)など、新型ハイラックスのほうが、ランクルFJよりも部分的には一歩進んだ装備となっていますが、その根底にあるのは、荷物を運び、過酷な環境で働くためのピックアップトラックという成り立ちです。
つまり、新型ランクルFJが「ランクルを日常へ近づけたクルマ」だとすれば、新型ハイラックスは「仕事グルマをライフスタイルカーへ進化させたクルマ」といえます。
日常での扱いやすさはランクルFJが圧倒的
日常での使いやすさを重視するなら、新型ランクルFJが一歩リードします。前述したように、新型ランクルFJのボディサイズは全長4575mm、全幅1855mmと、同社の新型「RAV4」(全長4600mm、全幅1855mm)よりも少し短いというサイズ感。日本でも扱いやすいサイズで、最小回転半径も5.5mに抑えられており、小回り性能は新型RAV4(5.7m)を上回るほど。本格クロカンとしてはかなり優秀な小回り性能です。
一方の新型ハイラックスは、全長5325mm、全幅1885mmと、アルファード(全長4995mm、全幅1850mm)よりも330mmも長く、ランドクルーザー300(全長4985mm、全幅1990mm)と比較しても340mm長い巨大なボディサイズです。最小回転半径も6.3mと、アルファード(5.9m)やランクル300(5.9m)と比べて大きく、2トンクラスの小型トラックに近い取り回し感覚となります。都市部の狭い駐車場では、かなり気を遣う場面が増えるでしょう。
乗り心地の違いも無視できません。新型ハイラックスは荷物を積むことを前提としたピックアップトラックであり、リヤサスペンションには重い荷物を積んでも車体を支えられる板バネ式を採用。高い積載能力を実現できる一方、荷物を積んでいない空荷状態では後輪が跳ねやすく、路面の凹凸を拾いやすい傾向があります。
一方の新型ランクルFJは、リヤに4リンク式コイルスプリングサスペンションを採用。悪路での高い走破性を維持しながらも、日常走行での快適性や後席の乗り心地にも配慮した設計となっています。
近年のハイラックスは快適性も大きく向上していますが、新型ハイラックスが「荷物を積むための足まわり」なら、新型ランクルFJは「悪路性能と乗り心地の両立を目指した足まわり」です。家族との長距離移動や普段使いまで含めて考えると、乗り心地という点では新型ランクルFJにアドバンテージがあるといえます。
ハイラックスならではの魅力も見逃せない
ただ、新型ハイラックスの荷台は新型ランクルFJにはない大きな魅力です。キャンプ用品やサーフボード、マウンテンバイク、DIY資材などを気兼ねなく積み込める荷台は、SUVにはない価値であり、泥や砂で汚れた荷物を積む際にも気を遣う必要がありませんし、汚れたとしても水で一気に洗い流すこともできます。趣味やアウトドアを楽しむための相棒としては、新型ハイラックスに軍配が上がるでしょう。荷台のある生活に憧れる人にとって、その価値は数字では測れません。
燃費の面でも新型ハイラックスが一歩リードします。新型ハイラックスのWLTCモード燃費は11.9km/L。新型ランクルFJの8.7km/Lを大きく上回ります。さらに新型ハイラックスの使用燃料は軽油。レギュラーガソリンを使用する新型ランクルFJよりもリッター当たりの価格が安く、年間走行距離が長いユーザーであれば無視できない差となります。
たとえば、2026年6月末時点の全国平均価格(レギュラー166円/L、軽油155円/L)で計算すると、年間1万km走行時の燃料代は新型ランクルFJが約19万円、新型ハイラックスが約13万円。その差は年間約6万円にもなります。
動力性能においても、新型ハイラックスが優れます。新型ランクルFJが搭載する2.7Lガソリンエンジンは信頼性に優れる一方、最高出力120kW(163PS)/最大トルク246Nmという控えめなスペックで、日常走行には十分な性能を備えるものの、力強い加速を味わうタイプではありません。高速道路の合流や登坂路では、最高出力150kW(204PS)/最大トルクを発揮する2.8Lディーゼルを搭載する新型ハイラックスののほうが力強さを感じる場面もあるでしょう。
ただ、新型ハイラックスは最大積載量500kgの貨物車として登録されるため1ナンバーとなる点は注意が必要です。自動車税は比較的安価ですが、車検は毎年必要となるほか、高速道路料金も中型車区分です。新型ランクルFJが一般的な乗用車と同じ3ナンバー登録であることを考えると、維持のしやすさという点では新型ランクルFJに分があるかもしれません。
多くの人にはFJ、刺さる人にはハイラックス
同じ500万円前後でも、そのお金で手に入る体験は大きく異なり、どちらが幸せになれるのかは、クルマに何を求めるかによって変わりますが、多くの人にとっては新型ランクルFJのほうが扱いやすく感じられるはずです。日本の道路事情に合ったサイズ、家族を乗せやすい快適性、本格的な悪路走破性、そしてランクルブランドの安心感まで兼ね備えています。
新型ハイラックスは、荷台を活用したい人やアウトドアを思い切り楽しみたい人、あるいはピックアップトラックという独特の世界観に魅力を感じる人にとっては、新型ランクルFJでは代替できない価値があります。扱いやすさや万能性で選ぶなら新型ランクルFJ、荷台のあるライフスタイルに惹かれるなら新型ハイラックスといったところでしょうか。参考になれば幸いです。
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
BYD軽自動車「新型ラッコ」発表2週間で1000台突破 メーカー最速ペースで好発進
トヨタ『GR86』次期型どうなる? ファンの反応「ハイブリッド化に興味津々」「価格アップはダメ」
「安くてびっくり」「予想外」「100万円切ったとはいえ」など反響 ホンダ新型「CB400 SUPER FOUR E-Clutch」価格100万円以下で発売に注目集まる
せっかく導入したBEVバスだって使われてない! 日本でバスを無理やりBEV化する必要があるのか甚だ疑問!!
【先入観を捨てて乗るべきか?】214万5000円〜のBYD「ラッコ」試乗。「中国車だから」と敬遠する前に知るべき真価とは
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント