4月5日に開幕した2024年F1第4戦日本GP。今回も国内トップカテゴリーで活躍するドライバーが多数来場している。その中には今季ホンダ/HRC陣営からトヨタ/TGR陣営に移籍した大湯都史樹の姿もあった。大湯は、日本GPのサポートレースとして開催されるポルシェ・カレラ・カップ・ジャパンに参戦するMOTOKI(Rn-sports)のコーチとして、鈴鹿入りしている。
大湯といえば、2023年F1日本GPの金曜フリー走行を見てオスカー・ピアストリを高く評価。そんなピアストリがそのまま予選で2番手、決勝で3位につけるという大活躍を披露し、大湯の分析が見事的中する結果となった。
午後には降雨も5万人のF1ファンが集結した金曜日【F1日本GP鈴鹿パドック通信/第2回】
そこで、今回も彼がコースの外から見た、F1日本GP金曜フリー走行分析、そして予選、決勝の予想を聞くべく、突撃取材を試みた。
■本命は、やはりフェルスタッペン
2度のフリー走行を見た感想について早速質問すると「フリー走行2回目(FP2)はあのコンディションだったので(苦笑)」と大湯。お昼のインターバル中に雨が降り出し、FP2はダンプコンディションに。各車満足な走行ができないまま幕を閉じる結果となった。
それでも大湯は「FP1で結構みんなアタックしていたので、見応えはあったと思います」と、午前のFP1セッションだけで気になったところがいくつかあったようだ。
「正直『誰がトップを獲るだろうな?』で言っちゃうと……間違いなくマックス・フェルスタッペン(レッドブル)だと思います。けど、レッドブルもドライコンディションに対して合わせ切れている感じはまだないです」と大湯。
「もし、レッドブルが今の状態のまま行ったら、もしかしたら他のチームにも狙い目があるんじゃないかなと思いますけど…………それでも今のところはマックスですね」と予想した。
また大湯は、昨年のフェルスタッペンが魅せたQ3のアタックが記憶に残っている様子。
「2023年はマックスがズバ抜けて良かったですよね。クルマがもちろん良かったのもありますけど、マックスは“鈴鹿攻略”の完成度が高くて『(日本人ドライバーみたいに)何年も鈴鹿で走り込んできた人ですか?』と聞きたくなるような精度の高さでした」
「それを2024年は超えられるか? というと、現状ではちょっと厳しいのかなと思います。クルマが相当良くならないと昨年のアタックのようにはならないのかなと。とはいえ、さすがに最後は合わせ込んでくると思いますけど、それが合わせ切れなくて、もし他が凄いところを見つけてきたら、番狂せが……あるかもしれないですね」
■岩佐歩夢は期待以上の走り
さらに大湯は、今回RBからFP1に出走した岩佐歩夢(RB)の走りも高く評価していた。
「あのFP1は、やはりクルマを絶対に壊せない状況ではあるのですけど、そうありながらも(タイムとか走りを)見られている状況だったと思います。すごくプレッシャーがかかる場面だったと思いますが、慣れ親しんだ鈴鹿だったこともあって順調……と言いますか、それ以上の感じで走れていたという印象です」
「まだセットアップも詰め切れない部分はあったとは思います。けど、それを加味してもすごくやれていたなと思います。もし、もう1セッション走れていたら、もっと良いところに行けていたと思います」と、大湯はFP2でも岩佐の走りを見てみたかったという素直な気持ちを吐露した。
そして角田裕毅(RB)の走りもしっかりと分析している。
「僕のイメージだと昨年の持ち込みセットはけっこう外れていた感じでした。ただ、今回はそこまで大きく外している感じはなかったです。あれ以上(の伸び代)があるのであれば、予選もQ3までいける雰囲気があるのではないかなと感じました」と大湯。
「昨年のFP1は苦労している感じでした。逆にあそこからよく持ち直したなという印象だったので、今回のFP1はある意味期待が持てる走りだったのかなと思います」と、昨年以上に土曜日に向けてはポジティブな部分があるのではないかと話した。
■2位争いは、かなり拮抗すると思います
先述のとおり、大湯の本命予想は、フェルスタッペン最有力に変わりはない。ただ、2位争いは昨年以上に拮抗した戦いになるのではないかと語る。
「昨年のマクラーレンは(トップ争いに)食い込むくらいの勢いでしたけど、その感じが今年はシリーズをとおして見ていても厳しいのかなという気はしています。それで言うと、メルセデスも厳しそうだし……難しいですね。2位を誰だと予想するのはかなり難しい、結構(2位手争いが)拮抗しているイメージはありますね」
「あとは(フェラーリから)放出が決定しているカルロス・サインツが最近調子が良く、逆にシャルル・ルクレールが悩んでいる雰囲気があるので、もしかしたらサインツが来るのかという感じもあります。ただ、ここぞの一発はやはりルクレールに部があるので、どっちになるのか正直わからないです」
フェルスタッペンに続く2位候補の選出に悩んだ大湯。もちろん、レッドブル陣営がワンツー決める可能性もあると口にする。
「今回はレッドブルのワンツーもあり得るかなと思っています。セルジオ・ペレスもそんなに悪くないですからね。ただ、マックスがちょっと抜け出ているので、ペレスがどこまでくるのか……いずれにしても2位争いは僅差になると思います」と、今回の注目は2位争いだと予想した。
■大湯の注目ドライバー
なお、大湯は金曜日の走行をみて、「今回はすごく路面コンディションが悪そうな感じがしています」と分析した。
「もしかすると水曜日に雨が降ったからなのか、理由わかりませんが……それで上位勢がセットアップに苦戦しているというふうにも見えます。FP2でも雨が降りましたが、(土曜日は晴れ予報のため)予選に向けて路面コンディションはどんどん改善していくと思います」
「そこに各チームがどこまで合わせられるか……今日のコンディションにセットアップを合わせすぎて、予選で路面が変わってしまうと『あれっ?』ということになるチームもあるかもしれません」と、予選日の路面コンディションにどこまでアジャストできるかがポイントだと語る。
また、「マックスに食ってかかるのは難しいと思いますけど、フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)は今回注目しています」と大湯。
「というのも、アストンマーティンのセットアップの方向性は、アンダーステア傾向なんです。それでいて鋭くコーナーにも飛び込みやすいクルマでもあるので、アロンソのスタイルに合っていると感じます。今回の鈴鹿で路面コンディションが悪くて、予選でもラバーがあまり乗らなかったと仮定すると……アロンソが面白いポジションまで来るんじゃないのかなと、個人的には期待しています」
最後に「本当はFP2もドライであれば、もっと詳しいことが見ることができたんですけど」と話していた大湯。今回の予想は、あくまで彼の個人の分析を元にしたものだが、土曜日の予選、日曜日の決勝を観戦する上で、ひとつの参考にしていただければ幸いだ。
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