東洋タイヤは2020年2月25日、CAEとAIを融合した自動車用タイヤ開発プロセス「T-モード(MODE)」を活用し、リアルタイムシミュレーション技術とスノー予測技術を新たに確立したと発表した。
機械学習を用いたリアルタイムシミュレーション技術
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東洋タイヤは2000年にタイヤ設計基盤技術「T-モード」を確立し、それを進化させた自動車用タイヤ開発プロセス「T-モード」を体系化したことを、2019年7月に発表している。
※関連記事:タイヤ設計基盤技術「T-MODE」発表【https://autoprove.net/supplier_news/toyo/184013/】
従来の開発プロセスでは、設計仕様をインプットしてシミュレーションを実行し、算出された性能値が目標性能に到達するまで、設計仕様を修正して再度シミュレーションを繰り返していた。この繰り返しが多くなると、全体の所要時間は長くなる。
「T-モード」は各種データを一元管理し、標準化されたプロセスを共有できる基盤システム(SPDM)を活用し、これまでのシミュレーションで蓄積したさまざまなデータを集約することに成功。これらのデータを活用し、設計仕様をインプットすれば、AI技術を介してタイヤ性能の予測値を瞬時に導き出すことができるという、画期的なリアルタイムシミュレーション技術を確立した。
この技術を確立するにあたり、大阪大学と共同研究を行ない、設計工学の考え方に基づいてタイヤの設計仕様とタイヤ性能を横断する階層図を作成し、そのもとでデータサイエンスの手法を活用することにより、タイヤ設計仕様とタイヤ性能の関係の可視化に成功した。
この関係をベースに、シミュレーションデータを題材として機械学習を実施したところ、短時間の計算で精度の良い予測が可能になった。
スノー予測技術
東洋タイヤは、従来から特定の雪質(新雪、シャーベットなど)におけるスノートラクション性能の予測手法を確立していた。「T-モード」の新たに進化したシミュレーション基盤技術を活用し、実際の使用環境における雪質を考慮した高精度なスノートラクション性能の予測が可能になった。
タイヤを実際に使用する条件での。雪からのせん断抵抗力を計測するにあたり、東京海洋大学、長岡技術科学大学、長野工業高等専門学校からノウハウの提供を受け、共同で計測手法の開発および計測を行なった。
その結果、環状せん断特性摩擦試験機を用いた試験により、駆動、制動時の荷重、車速を踏まえたタイヤのゴムと自然雪との間のせん断力を計測できるようになった。これにより、さまざまなタイヤの使用環境における駆動、制動時のブロックやサイプの変形の可視化に成功し、使用環境に適したトレッドパターンの検討を行なえるようになっている。
東洋タイヤは、今後、これらのシミュレーション技術を駆使して、新たな商品開発の取り組むとしている。
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