ベントレー「コンチネンタルGT」の高性能版「スピード」に小川フミオが試乗した。
よく出来たクーペ
これが世のなかからなくなってしまっては惜しい。懐があったかいクルマ好きに、1度は乗ってもらいたいのが、12気筒搭載のぜいたくなクーペ、ベントレー「コンチネンタルGTスピード」だ。
6.0リッターエンジンは485kW(659ps)の最高出力と、900Nmの最大トルクを発揮する。これに、電子制御されたリアディファレンシャルと、4WDシステムが組み合わされた。パワフルでナチュラル、運転してまことに気持ちの良いクルマに仕上がっている。
コンチネンタルGTは、初代が発表されたのが、2003年。いらい、2011年と2018年(現行)にフルモデルチェンジを受けてきた。大きなホイールと、薄くみえるボディの2プラス2シーターという基本スタイルは継承されている。
初代は、全輪駆動のくせがそれなりに強くて、見た目は最高にカッコよかったものの、スポーツ・クーペとしての完成度は、まぁ、それなりというかんじだった。
そんな時代もあったなぁと、新型に乗ると、過去のモデルとの差には隔世の感がある。それほど、今回のコンチネンタルGTスピードはよく出来ている。
ひとことで言うと、無理がまったく感じられない。怒濤の加速といい、しっかりした足まわりといい、シャープなステアリングといい、しっかり抑制が効いている。ゆったりも乗れるし、その気になればスポーツカーのように走らせることも出来るのだ。
12気筒エンジンをフロントに置いているとは思えないほど、バランスがよく、コーナーを曲がるときにも外側にふくらもうとするような、いわゆるアンダーステアの傾向はほとんど感じられない。後輪操舵機構もうまく働いているのだろう。
車体の大きさをほとんど意識させない
ぶっといトルクに乗って、スムーズに走っていられるのは、たいへん気持ちが良い。ドライビング・モードの「B(ベントレー)モード」が、シフトタイミングやダンピングなどをうまく組み合わせていて快適だ。1500rpmあたりで充分なトルクが得られるのにも感心した。
いっぽう「スポーツモード」を選ぶと、エンジン回転を2500rpmから上で使うようになる。排気音が勇ましく感じられ、いきなり別世界にひきずりこまれる思いだ。言ってみればスポーツカーへの変身。電子制御技術をたいへんうまく使いながら、運転を徹底的に楽しませてくれるモードだ。
標準ブレーキも効きが良いうえに、微細なコントロールが可能。高級車の基準はブレーキの出来のよさにある、ということがよくわかる。コントロールが絶妙で、車体の大きさをほとんど意識させない。
22インチのホイールに併せた大径タイヤを履いているものの、足まわりがドタバタする感覚もなし。強いて言えば、路面によっては比較的低い速度域から、路面と擦れ合うタイヤノイズを意識させる。
静粛性を追い求めて開発されたリムジンではないので、そこはまぁ、ガマンできるところではないだろうか。
スタイリングは、初代の基本コンセプトをうまくとりこんで、現代的なアレンジをくわえたものだ。“Speed”とか“W12”とか、目立たせたいポイントはクローム仕上げで強調されている。グリルやヘッドランプなどとともに、デザイン処理は巧みだ。
試乗車はシルバーの車体色だったゆえ、クロームとのコンビネーションがことさら洒落て見えた。それが私の印象である。
いま乗るべき1台か
コンチネンタルGTスピードのもうひとつの魅力は、インテリアの仕上げだ。ダイヤモンドステッチ(菱形の縫い取り)とキルティングのように仕上げたシートやドア内張のクオリティの高さなどである。
大きな液晶モニターが計器盤と、ダッシュボード中央にそなわっているので、しっかり現代的な意匠であるが、それでいて、金属の表面加工などに、クラシカルな高級車を思わせるディテールが採り入れられている。オーナーがうれしくなる要素満載だ。
目をひくのが、(オプションの)バング&オルフセンの銘が入ったスピーカーだ。ドアの内張りにマウントされたふたつのスピーカーは、輝くステンレスのカバーで覆われている。
厚みのある金属のカバーは、一般論として良音の再生には良くないと言われているが、ここまで目立てば良いように思える(笑)。
さまざまな点で刺激的なコンチネンタルGTスピード。ベントレー自身「2023年までにはすべてのモデルを電動化」と発表しただけに、純粋な内燃機関として12気筒を味わえる時間はそう長くないかもしれない。
太陽が照っているあいだに干し草を作ったほうが良い、などと英国人が言うように、3400万円を支払えるなら、いま乗るべきクルマかもしれない。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.)
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そしてエクステリアの迫力に負けない内装の高級感。
日本人としては、いつかレクサスLCがこの領域に達する事を願う。