この記事をまとめると
■タント「ファンクロス」と「カスタム」の開発者にインタビュー
カスタムはオラ感マシマシ! アウトドア向けの第3のタントも誕生! ライバルに押され気味だったタントが一気に主役に躍り出る
■ファンクロスは数年前から検討されており、マイナーチェンジのタイミングで追加となった
■カスタムに関しては新しいデザインを取り入れてゼロから設計し直した箇所もある
ファンクロス&カスタムのセールスポイントを直撃!
先日、マイナーチェンジを実施して新たにSUVテイストを盛り込んだ「ファンクロス」が追加となったダイハツのスーパーハイト軽ワゴンのタント。今回はそのタントを担当したダイハツ工業 くるま開発本部 製品企画部チーフエンジニアの秋本智行氏(写真中央)と製造企画部 副主任の城迫崇嘉氏(写真右)、国内商品企画部の岩舘朋子氏(写真左)に話を伺った。
なお、秋本氏においてはこのタントの2代目モデルから採用されている「ミラクルオープンドア」の生みの親でもあり、タントに対する思い入れは人一倍強いと言えるだろう。
まず、新たに追加された「ファンクロス」についてだが、登場の経緯については、
「以前からタントのアウトドア仕様についてはオートサロンなどで参考出品することで反応をチェックしてきましたが、近年アウトドアレジャー需要が高まっていることもあってこのマイナーチェンジのタイミングで追加することにしました。ダイハツにはすでにクロスオーバーSUVのタフトが存在していますが、タント ファンクロスはよりファミリー層を意識したモデルとなっています」
高められた最低地上高などを持つタフトに対して、ファンクロスは車高やパワートレインなどに手は加えられていないが、ミラクルオープンドアを持つタントならではのアドバンテージは、ファミリー層には確かに魅力的に映る。
「助手席側にBピラーを持たないタントだけに、当然小さなお子さんが車内で着替えたりすることも容易ですし、ドアを開け放つことで縁側的に座ってリラックスすることができるのもタントならではの特徴です。さらに今回、ディーラーオプションとしてカータープも設定してますが、これも助手席側に設置していただくことで車外をテラス席、車内を部屋的に使っていただけると思っています」
さらにファンクロスでは、アウトドアレジャーの夜間などでも荷室を明るく照らすルームランプやUSBソケットをラゲッジスペースに設置したほか、撥水シートや防水加工シートバックなど、アクティブに使うユーザーのことも考慮した装備が追加されている点も嬉しいポイントだろう。
各種パーツは型を起こし直してお色直し
そしてもうひとつ、従来型とはまったく異なるフロントマスクを与えられた「カスタム」について聞いてみた。
「お客様の声を聞くと、カスタム系はもっと迫力が欲しいという声が多かったんです。そこで従来型が持つ上質さは残しつつ、より立体感を強調して迫力のあるスタイルとしました。マイナーチェンジではありますが、フロントマスクはライト類やバンパーだけでなく、ボンネットやフェンダーも一新しているんです」
ライバル車とは異なり、末広がりの台形となった大型フロントグリルを持ったことで、スーパーハイト軽ワゴンでありながら、どっしりとした印象を手に入れたカスタム。当然ながら全幅の変更はないが、まるでボディがワイドになったような雰囲気を持っているのはデザインの妙と言えそうだ。
そのほか、今回のマイナーチェンジでは全車に上下2段調節式デッキボードを新たに採用し、ラゲッジスペースの使い勝手がさらに向上。デッキボードは脚を立てることでデッキボードの下も個別の荷室スペースとなるほか、車外に持ち出せばローテーブルとして活用することもできる。
さらに、従来型ではパンク修理キットや工具類が収められていたデッキボードの下だが、せっかくの荷室をもっと有効に使えないかと検討した結果、パンク修理キットなどを移設してラゲッジアンダーボックスが設置されている。
ちなみにパンク修理キットなどはどこへ移動したのかというと、なんと助手席フロアの下に移動している。もともとタントはフラットフロアを実現するために一部床面を上げ底としていたため、そのデッドスペースを上手く利用した形となっているのだ。
このようにユーザーのニーズや声を採り入れ、進化を続けているタント。もともとスーパーハイト軽ワゴンの中では高い走行性能と安定性を誇るモデルだけに、アクティブに使えるグレードが追加されたのは朗報と言えるだろう。
オプションで設定されるアダプティブクルーズコントロールなども併用すれば、遠距離ドライブのあとのアウトドアアクティビティでも、運転で疲れてしまって楽しめない……ということもないハズ。そう考えるとタントにアクティブなファンクロスが追加されたのは当然の流れと言えるかもしれない。
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