BEVバスを積極投入 BYDの今
環境と人にやさしいカーボン・ニュートラル社会を目指して、現在の自動車界は電動化へ邁進する状況になっている。
しかし日本で販売されているBEVは乗用車がほとんどで、働く自動車たちに目を移すと現状ではハイブリッド化がやっと。
日本のメーカーによるBEVバスは試作車のみで、カタログモデルとして発売されていないという状況にある。
なおBEVトラックはようやく市販化が近づいてきたレベルだ。
こうした日本でBEVのバスを積極的に投入するメーカーがある。グローバルで累計約7万台ものBEVバスを納入してきた中国の深センに本拠を構えるBYD社だ。
BYD社はバッテリー・メーカーとして創業し、ITエレクトロニクス事業や自動車、新エネルギー事業、モノレール事業などを手がける、中国のグローバル企業である。
同社は2015年に中国自動車メーカーとして初めて日本にBEVバスを納入して以来、小型・中型・大型のバスを64台販売。国内BEVバスの70%を占めるトップメーカーとなっている。2022年度末には100台を予測する。
そのBYDの日本法人ビーワイディージャパンから、日本仕様として開発された全長7mのコミュニティ・バス「J6」と、全長10.5mの大型路線バスの「K8」がフルモデルチェンジされ発表された。
新型バッテリーの小型バス「J6」
全長7mという扱いやすいサイズからコミュニティ・バスや狭隘路線で活躍するBEV小型バスが「J6」だ。日本ではディーゼル・エンジンを積む日野ポンチョがこのポジションで愛用されている。
J6はBYD初の日本仕様車として2020年から納車してきたが、新型J6は日本人デザイナーがエクステリア・デザインを担当し、シンプルで現代的なスタイリングを備える。
今回のモデルチェンジのハイライトは、新開発のブレードバッテリーの採用だ。容量を増しながらコンパクトになり、すべてが床下に収められ客室スペースの拡大を実現した。
ブレードバッテリーは刀のような細長く薄いセルを備え、バッテリーパックの空間利用率を従来比で約50%向上。あわせて高い安全性とエネルギー密度を両立させている。
現行型では105.6kWhだったバッテリー容量は、新型では125.7kWhと約20%増大。満充電時の航続距離は200kmから220km(エアコン非使用/乗車率65%)へと伸ばしている。
また、CHAdeMO規格の急速充電に対応しており、充電時間は約2.5時間とされる。
コンパクトなブレードバッテリーを採用したことにより、現行型では客室後端に置かれていたバッテリーが床下に移動。これにより座席が増設され定員は5名増えた36人となり、後部ウインドウが設けられ室内も明るい。
1年でモデルチェンジ 大型バス「K8」
街中で目にする路線バスのほとんどが全長10.5mの大型バスだ。このクラスではいすゞと日野がハイブリッド・モデルを販売しているが、BEVのバスは販売されていない。
路線バスの王道といえる全長10.5mのクラスに向けて用意されたBEVのバスがK8である。J6と同様に日本仕様車として製作され、2021年より納車を開始している。
K8もブレードバッテリーの実用化によりフルモデルチェンジが行われ、必要とあればデビューから1年目でもどんどん変えてゆく攻めの姿勢が見えてくる。
現行型で287kWhだったバッテリー容量は、新型では314kWhと9.4%増大。満充電時の航続距離は250kmから270km(エアコン非使用/乗車率65%)へと延長。
急速充電はCHAdeMO規格のみで、充電時間はバッテリーが大容量のため約6.5時間が必要という。
ブレードバッテリーの採用により、現行型では客室後端にあったバッテリーが床下に収まり、床面のフルフラット化を実現。乗客の移動が楽になり車内の事故防止・混雑緩和に貢献する。
スタイリングは日本製のバスには見られないグラスエリアの大きなスマートなデザインが特徴で、日本の街並みにも自然に溶け込む。
日本製パーツ 採用の理由
新型「J6」と「K8」は5月10日よりより予約受付を開始し、2023年末を目途に納車を開始する計画。生産は中国で行われ、完成車が輸入される。
気になる価格だが、昨今の原油高騰により材料・輸送など様々な分野での値上がりと、円高傾向が顕著なことから今回は発表されなかった。
ちなみに現行型のJ6は2145万円、K8は4235万円(いずれも税込み/基本仕様)で、既存のディーゼル・エンジンのバスに比べ現実的な価格だった。新型は、多少高くなるものと思われる。
今回のモデルチェンジに伴い、バッテリーの保証期間がこれまでの「5年または40万km」から「8年または40万km」に変更されたことからも同社の自信がうかがえる。
細かな点では日本製パーツを数多く採用していることに注目したい。
整備による休車時間を減らし事業者の効率化が進むうえ、迅速に部品供給ができるのがその理由だ。
ビーワイディージャパンは、2030年までに小型・中型・大型で累計4000台の電気バスを日本で販売することを目指しており、カーボン・ニュートラル社会の実現に貢献したいという。
また災害時などの非常時には空調のある避難所として使え、バッテリーの電力を送電線や家庭に供する基地になるのもBEVバスの美点である。
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みんなのコメント
なぜ、こんな事になったのかな。