ホンダ・N-BOXとダイハツ・タント、スズキ・スペーシアといえば、現在日本で最も売れているジャンルのひとつ「スーパーハイトワゴン」のクルマたちです。今回は、そんな大人気車種について徹底比較していきたいと思います。
●ボディサイズは同等でも取り回しには若干の差が
まず、N-BOX とタント、スペーシアそれぞれの取り回しのしやすさを比較してみます。
N-BOXのボディサイズは全長3395mm×全幅1475mm×全高1790mm、タントが全長3395mm×全幅1475mm×全高1755mm、スペーシアが全長3395mm×全幅1475mm×全高1785mmとなっています。
全長と全幅に関してはまったく同じ数値となっており、全高も最大15mmしか変わりません。ボディサイズに関しては3台ともほぼ同じであるといって良いでしょう。
一方、どれだけ小回りが利くかを表す最小回転半径については若干の差があり、N-BOXが4.5m、タントが4.4m、スペーシアが4.4mとなっています。いずれも、軽自動車ならではの数値ですが、N-BOXだけ若干大きくなっている点は注意が必要です。
また、グレードによっては最小回転半径がさらに大きくなり、N-BOXの4WDモデルとタントの「カスタムRS」では4.7mに拡大しています。コンパクトカーに比べれば非常に小回りが利くことには違いありませんが、ベースモデルに比べた時の20~30cmの差は、駐車場や自宅周辺の道路が狭小な場合には大きく影響する可能性があります。
>>ホンダ N-BOXのカタロググレードをチェックする
●ターボが必要かどうかは要チェック!
経済性が重視される軽自動車にとって、燃費性能は非常に重要な要素です。それぞれのカタログ燃費(WLTCモード)を見ると、N-BOXは20.2km/L~21.2km/L、タントは18.8km/L~21km/L、スペーシアは19.2km/L~22.2km/Lとなっています。
いずれも高水準な燃費性能を誇っていますが、ハイブリッド車が設定されている分、スペーシアがわずかに有利という状況です。
一方、N-BOX、タント、スペーシア カスタムには、ターボエンジンを搭載したモデルが設定されています。コンパクトカーなどの登録車に比べると、軽自動車はエンジンの排気量が小さい分、高速道路の走行時などに非力感を感じることが多いものですが、ターボモデルであればそうした印象はほとんど感じないでしょう。
ターボエンジンは、ノンターボエンジンに比べてカタログ燃費では若干劣りますが、高速道などでは余裕のある走りが楽しめるのが魅力です。さらに、それを活かして、ロングドライブに活用することが多くなれば、実燃費ではノンターボエンジン以上になる場合もあります。
もし、街乗りがメインということであれば、必ずしもターボエンジンは必要ないかもしれませんが、長距離移動にもクルマを使用する機会が多ければ、ターボエンジンモデルを検討してみてもいいかもしれません。
>>ダイハツ タントのカタロググレードをチェックする
●それぞれに個性的な便利機能が搭載!
N-BOX とタント、スペーシアには、それぞれ独自の便利な機能が採用されています。
例えば、N-BOXでは全グレードでベンチシート仕様・スーパースライドシート仕様・車椅子の乗り降りに便利なスロープ仕様が設定されています。
また、フロントシートとの距離や荷室長を、左右席で別々に調節できるスライド幅19cmのスライドリアシートが採用されており、操作は荷室側からも簡単に行えます。N-BOXは、室内長2240mm×室内幅1350mm×室内高1400mmというクラストップの居住空間を誇っており、多彩なシートアレンジができることも含めて、N-BOXの大きな魅力のひとつとなっています。
一方のタントでは、軽自動車で初採用となった「ミラクルオープンドア」が非常に個性的です。車体中央部の柱(ピラー)をドアに埋め込んだことにより、前席から後席までひとつなぎになった大きな開口部は、これまでのクルマの常識をくつがえす、まさに「ミラクル」なものです。
さらに、インパネスイッチで予約をしておけば、次に乗ろうとする時に電子カードキーを所持して車体に近づくだけで、助手席側スライドドアが自動で解錠&オープンする機能の「ミラクルアクセス」も追加され、さらに利便性が増しています。
また、グレードによっては、世界初となる運転席側ロングスライドシートも搭載しています。これは、380mmスライドする助手席に加え、運転席も570mmのスライドが可能となっており、車内の移動もスムーズに行える設計となっています。
>>スズキ スペーシア ハイブリッドの詳細はこちら
●N-BOXが頭ひとつ飛び出ているが…
最後は気になる価格について見てみましょう。(※FF車の場合)
エントリーグレードで比較すると、N-BOXの「G」は144万8700円、タントの「L」は134万2000円、スペーシアの「ハイブリッド G」は139万4800円となっており、N-BOXが最も高くなっています。
次に、中級グレードを見ると、N-BOXの「L」は157万9600円、タントの「X」は149万500円、スペーシアの「ハイブリッドX」は153万3400円と、ここでも同じ順番です。
最後にトップグレードですが、N-BOXの「カスタム EX・ターボ」では、203万9400円、タントの「Xターボ」が166万6500円、2グレードの構成のスペーシアは、上で紹介した「ハイブリッドX」がトップグレードとなるので153万3400円となっています。
このことから、N-BOXはライバルに比べてやや割高であり、トップグレードではその差が顕著に現れていることがわかります。
ですが、実際にはN-BOXが軽自動車としては7年連続トップに輝いているなど、圧倒的人気を誇っています。かつてのイメージに比べれば、「軽自動車にしては高すぎる」と感じる人も多いかもしれませんが、現在の軽自動車、特に今回紹介したスーパーハイトワゴンは、「安くて質素」なクルマではなく、「十分な装備を備えているにもかかわらず、コンパクトで維持費が安いクルマ」という位置付けです。
実際に比較検討する際には、そうした軽自動車に対するかつてのイメージは持たずに、新しいジャンルのクルマとしてとらえたほうがよいかもしれません。
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文:ピーコックブルー
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