過去最高の営業収益と重い債務負担
2026年4月に開業30周年を迎えた東葉高速鉄道は2026年6月22日、2025年度(第45期、2025年4月~2026年3月)の決算を発表した。発表によると、年間輸送人員は前年度比4.4%増の5863万人で、1日平均は16万2000人となった。旅客運輸収入は同4.5%増の165億7100万円、関連事業による運輸雑収は同0.7%減の5億3500万円(前年度比0.7%減)、営業利益は同14.2%減の50億1000円だった。年間輸送人員と営業収益はいずれもコロナ禍前の水準を上回り、過去最高を更新している。
【画像】「えぇぇぇ!」 これが1963年頃の「西船橋駅」周辺です!(計8枚)
一方で営業利益は、修繕費や固定資産除却費の増加により減少した。同社は経費の抑制に取り組みながら、定期外利用の需要を増やす取り組みを進めている。行楽期に合わせた土休日1日乗車券の発売や、東葉車両基地まつり、イオンモール八千代緑が丘20周年祭といった催しに合わせた企画乗車券の販売を行ったほか、高架下の土地貸付や駅構内の空間活用も進めた。催事出店の誘致やロッカーの設置なども行い収入増を図ったが、費用の増加を補うには至らなかった。ただし増収減益の状況でも営業利益率は29.3%となり、第三セクター鉄道としては高い水準にある。
これに対し、営業外収支を加えた経常利益は38億5700万円、当期純利益は26億9100万円となった。営業外費用のうち、鉄道建設時の長期債務にともなう支払利息は10億6300万円にのぼる。営業段階では黒字を維持し、経常利益と当期純利益も黒字となっているが、長期債務は2084億円あり、利息負担が重い状況が続いている。
なお、損益計算書上では営業利益、経常利益、当期純利益はいずれも黒字だが、貸借対照表では純資産の部で利益剰余金が
「540億円のマイナス」
となっており、この数値が累積赤字として扱われている。
開業30年後も残る2000億円の債務
東葉高速鉄道は、千葉県船橋市の西船橋と千葉県八千代市の東葉勝田台を結ぶ全長16.2kmの第三セクター鉄道として1996(平成8)年に開業した。西船橋では東京メトロ東西線と相互直通運転を行い、東京の都心に直接つながっている。
千葉県が2019年に公表した東葉高速鉄道株式会社経営健全化方針によると、資本金626億円の出資比率は、千葉県が34.19%、船橋市が24.92%、八千代市が21.88%、東京地下鉄(東京メトロ)が12.46%、京成電鉄が1.92%などとなっており、県と沿線自治体でおよそ8割を占めている。
西船橋~東葉勝田台間の新線は、当初は営団地下鉄(現在の東京メトロ)が東西線の延長として計画し、1974(昭和49)年に免許申請が行われた。しかし、並行する京成線の収益低下が懸念されたことなどから、最終的には第三セクター会社が事業主体となった。鉄道建設公団(現在の鉄道・運輸機構)が建設を担い、完成後に一定期間で元利を分割して返す条件で事業者に引き渡す方式(P線方式)が採られた。
こうして1981年に東葉高速鉄道は発足したが、用地取得が進まず工事が遅れ、金利負担が増えたことなどにより、1996年の開業時には約3000億円の有利子負債を抱えることになった。開業後も利用者数は当初の見込みを下回り、経営は厳しい状況が続いた。そのため、株主である千葉県・船橋市・八千代市による利子補給や、鉄道建設・運輸施設整備支援機構による償還期間の大幅な延長などの支援が続けられてきた。
近年は沿線開発が進み、利用者数も増えている。営業収益や経常収益は黒字に転じており、長期債務や累積赤字も少しずつ減っている。
ただし、開業から30年が経った現在でも長期債務は約2000億円残っている。今後の金利の動きや、時間の経過にともなって増える設備更新費用などを考えると、営業利益で高い水準を保っているとはいえ、会社と鉄道の維持という面では楽観できない状況が続いている。
100億円規模の新駅着工とまちづくり
こうした状況の中、同社は今回の決算でも、国や沿線自治体、鉄道建設・運輸施設整備支援機構による支援に対し深甚なる謝意を示している。今後の支援のあり方については、関係機関と同社でつくる東葉高速自立支援委員会で検討を続けているとしている。
また、これまでと同様に、関係機関には同社の置かれた状況について理解を「お願いしている」と記している。決算という公式文書の中にも、厳しい経営状況への受け止めがにじむ内容となっている。
一方で、同社の株主である沿線自治体は、同社が生む経済効果の受け手でもある。各自治体にとって、同社への支援がどの程度の効果を持つのかを数値で示すことは容易ではない。ただし、沿線自治体の関わり方は、利子補給などの形で直接資金を入れるだけではない。沿線でのまちづくりを進め、地域そのものを育てることで支える方法もある。
同社は2025年5月23日、船橋市海老川上流地区で、海老川新駅(仮称)の本体工事に着手した。船橋市では同地区で医療と健康を中心にした大規模なまちづくり「ふなばしメディカルタウン構想」を進めている。同社は2024年4月に同市と東葉高速線における海老川新駅(仮称)整備工事に関する基本協定を結んでいる。
今回着工した新駅は、このまちづくりの中心となる施設である。建設費には一部で国の補助金も使われ、船橋市が全額を負担する。建設費は当初およそ71億円と報じられたが、2025年6月3日に同市が公表した概算では95億6080万円となっている。開業は2029年3月末の予定である。
京成の施設取得と民間巻き込みの課題
海老川新駅(仮称)は、東海神駅と飯山満駅のほぼ中間に位置し、両駅からの距離は約2.0kmである。両隣の駅との距離が短い場合、新駅ができても既存の利用者がそのまま移るだけとなり、新たな利用が増えない可能性がある。ただし、大都市近郊の通勤路線では、現状の駅間約4kmという距離は長い部類に入る。
船橋市が新駅に投じる約100億円の建設費が、同社の収入をどの程度押し上げるかははっきりしない。一方で、この新駅の前提となっているふなばしメディカルタウン構想は、健康維持や予防医療の考え方を取り入れたまちづくりであり、地域の持続的な発展を目指すものである。同社の支援だけを目的としたものではない。新駅とまちづくりの関係については、今後長い目で見ていく必要がある。
一方、八千代市では2026年5月29日、京成電鉄が八千代緑が丘駅に直結する大型商業施設イオンモール八千代緑が丘の土地と建物を第三者から取得した。京成電鉄は不動産事業の強化を進めており、今回の取得物件は長く安定した収入が見込めるとしている。株主であり同時に競合でもある京成電鉄が、東葉高速鉄道と直結する収益性の高い資産を持つ形となった。これは、東葉高速鉄道の受け手が沿線自治体だけではないことを示している。
多額の長期債務を抱えながらも、鉄道事業そのものでは高い利益率を維持しているだけに、自治体や民間を含め、どこまで関係者を巻き込みながら支えの形を広げられるかが今後の課題となるだろう。(銀河鉄道世代(フリーライター))
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みんなのコメント
また素人が書いてんのか。
固定資産除却費は、原則として特別損失、例外として営業外費用だぞ。
営業利益に影響するわけないだろ。