ダイハツは2019年7月9日に新型タントをデビューさせた。
トヨタの完全子会社となって初の大掛かりなフルモデルチェンジ車ということもあり相当な意欲作で今後の動向が注目されるが、ダイハツにはもう1台噂になっているクルマがある。
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2017年の東京モーターショーに出展していたコンパクトSUVのDN TRECだ。ショーモデルと呼ぶには現実味を帯びたデザインとスペック、完成度の高い内装など市販を前提としたプロトタイプであることは明らかだったが、そのデビューはいつなのか!?
注目度抜群のダイハツの新型コンパクトSUVはどんなクルマなのか、いつ市販を開始するのかを年間100日ディーラーを回って情報を集めている遠藤徹氏が徹底調査。
文:遠藤徹/写真:DAIHATSU、SUZUKI、平野学
東京モーターショー後に発売を開始!?
トヨタの販売店筋では今年春頃、「今秋の10月か11月頃にC-HRの下に位置するコンパクトSUVが発売になり、それはダイハツからのOEM供給になる可能性がある」という情報が流れていた。
2017年の東京モーターショーに出展されたDN TRECは非常に現実味を帯びたデザイン、作りこみの高さなどから市販化されるのは確実視されていたが、ようやくその時が近づいた
この情報を得た時点でダイハツの販売店では、「そんな情報は聞いていない。夏にタントがフルモデルチェンジするという情報が入っているだけ」ということだった。
それが7月に入ると状況が変わってきた。
「どうやら2017年の第45回東京モーターショーに参考出品したプロトタイプのDN TREC(ディーエヌ トレック)が11月5日頃に発売になるらしい」ということだった。
ダイハツの某開発責任者も2018年秋の取材で、「市販に向けて開発を進めているが、正式な発売時期はまだ決まっていない」とコメントしていた。
ターゲットはスズキクロスビー
ボディサイズは全長3989mm×全幅1695mm×全高1600mmと予想。これはライバルのクロスビーよりも若干大きいが、充分に使いやすい手ごろなサイズ感が最高!!
軽SUVとして大人気のハスラーの小型車版がクロスビーで、軽自動車よりもゆったりとした室内、使い勝手のよさから人気が高い。このマーケットにダイハツが挑む
今のところほぼプロトタイプに近い内容で市販される見込みである。
タントで初採用したダイハツの新世代プラットフォームである「DNGA」を採用。ボディサイズは全長3989mm、全幅1695mm、全高1600mmでスズキのクロスビーの全長3760×全幅1670×全高1705mmに比べると40mm長く、25mm広く、70mm低い。
したがってクロスビーよりも乗用車に近いスタイリッシュなボディシェルといえる。
ショーモデルと言いながらエクステリア同様にインテリアも現実的。基本的なデザインは市販化されても踏襲するはずで、包み込まれるようなデザインがナイス
エクステリアデザインは直線と曲面を融合させたシンプルな5ドアSUVレイアウトを採用。フロントは横長の異形2灯式LEDヘッドランプに大型台形ハニカムグリル。
リアビューはヘッドランプに似た横長異形コンビランプとルーフスポイラーを配している。室内は2列シート5人乗りで、エクステリアデザインに合わせシンプルな作りで仕立てている。クロスビーより若干サイズが大きいぶん、広いレイアウトが売りとなる。
シートは助手席が前に倒れフラットになり、長尺ものを積める空間を確保しているようだ。タイヤサイズは215/55R13でアルミホイールバージョンも用意する。ボディカラーはモノトーンとルーフとボディパネルが異なる組み合わせの2トーンの構成となる見込み。
消費税込み車両本体価格は180万~220万円でほぼクロスビーと同じ設定となる見込みである。消費税が10%となった後にデビューするため、そのぶん若干高くなるかもしれないが、それはクロスビーも同じだ。
左右のコンビランプをつなぐようなラインがあしらわれフロントと同一のデザインコンセプトを見せるリアビュー。おとなし目のルーフスポイラーが装着される
パワーユニットはプロトタイプでは1.2Lハイブリッドだが、当初はこれとは違い新開発の1L、3気筒NAガソリンと同ターボを搭載するはず。駆動方式はFFと4WD、トランスミッションは新開発のCVTとの組み合わせとなる。
安全対策は新型タント同様に次世代スマートアシストを標準装備する。今秋開催の第46回東京モーターショーには市販バージョンが参考出品され、直後からティザーキャンペーンをスタートさせる見通しである。
タントで初採用されたダイハツのDNGA(ダイハツニューグローバルアーキテクチャー)、デュアルモードのD-CVTは新型コンパクトSUVにも搭載される
ダイハツ、トヨタの販社とも大歓迎!!
トヨタにOEM供給する姉妹車は同一のボディパネルと基本コンポーネントを共用する。ネーミングはかつて存在した「ラッシュ」が有力である。
外観はエンブレム以外はダイハツブランド車と同じになる。ダイハツが開発、生産し、トヨタの扱い店に供給し発売する。当初はトヨタ店、トヨペット店の併売とするが、2020年5月から系列店の一本化に伴い全店扱いに拡大する。
ダイハツテリオスの後継モデルとしてダイハツはビーゴ、トヨタはラッシュとして2006~2016年まで販売。FRと4WDというラインナップだった
月販計画はトヨタブランドが5000台、ダイハツブランドは1000台、合わせて6000台規模となる見込み。トヨタブランドだけでもSUV車のトップブランドに浮上する可能性が強い。
かつてダイハツはオフロード系4WDでは「ラガー」や「ロッキー」などをラインアップし、2016年までは「ビーゴ」も販売していた。コンパクトSUVの開発ノウハウは保持しているので、方針が決まれば復活させるのは難しいことではない。
販売の主体は引き続きトヨタに委ねられることになるが、ダイハツも増販に意欲的に取り組むことになる。それでは販社の声を聞いてみよう。
【証言1(首都圏ダイハツ店営業マン)】
最近、この分野ではスズキに差をつけられているので、新世代モデルでの復帰には大いに期待しています。
本格的な販売は2020年に入ってからになりそうです。今秋の第46回東京モーターショーには市販モデルを参考出品することになると思います。
以前ダイハツで販売していたオフロード4WD系モデルはマーケットが小さく生産中止に追い込まれましたが、今度はクロスオーバー系SUVを中心にマーケットが大幅な拡大傾向にあるので成功する確率が高いと思っています。
この種のモデルはオプションパーツの装着率も高く、台あたりの収益も幅が大きくなるので、商売上も優位になるので期待しています。
ダイハツは軽自動車の特化しながらも、その上の層を取り込むためにも新型コンパクトSUVへの期待感は大きい。パーツ類も豊富にラインナップされるはずだ
【証言2(首都圏トヨペット店営業マン)】
新型コンパクトSUVが今秋に発売される、という情報は年初にメーカーから通達を受けていました。トヨペット店は2016年まで『ラッシュ』の専売店だったので、これが復活するのは楽しみです。
以前のラッシュはオフロード4WD色が強かったのですが、今度の新型車はFFも設定し、クロスオーバータイプになると言われています。こちらのほうがより幅広い層に売れるので販売台数は大幅に増えるのは間違いないでしょう。
3年前までは細々ながら売っていたのでトヨタ系列店の中では最もシェアが大きくなると予想しています。
価格は登録車の中で最も安く買い求めやすいので若い層や女性に好まれるはずです。
これまでSUVはハリアーだけの専売でしたが、これに新型ラッシュが加わり、2020年5月にはRAV4、ランドクルーザー、ランドクルーザープラドも売れるようになるのでさらに商売がしやすくなる。
現在ランナップにないコンパクトSUVはトヨタにとっても貴重な存在となる。タンク、ルーミー同様に手ごろ感が受けて大ヒットする可能性も充分にある
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ダイハツがトヨタの完全子会社となってダイハツが開発・製造を受け持つOEM車の強化が重要課題のひとつに挙げられていたが、その第1弾が新型コンパクトSUVとなる。
ダイハツ、トヨタの両販社の証言からも新型コンパクトSUVへの期待感の高さが伝わってくる。ダイハツにとってはスズキの牙城を切り崩すこと、トヨタにとっては更なるシェアの拡大など、新型コンパクトSUVの担う役割は大きい。
第46回東京モーターショーでダイハツブースの目玉のひとつとなるのは間違いない。
消費税が10%に引き上げとなった後に販売を開始するため、価格は若干アップする可能性あり
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