横浜スタジアムの顔でもあるリリーフカーが代替わり。半世紀を超える歴史のバトンを引き継いだのは、現行日産リーフ。同車が纏うのは球団とファン、横浜の街への想いと、未来の整備士たちが刻んだ汗の証。マウンドへ向かうその静かな走りは、今季の躍進を後押しする原動力になる。
文:ベストカー編集部 鈴村朋己/写真:日産自動車、ベストカー編集部
【画像ギャラリー】随所にこだわりが満載!! 横浜DeNAベイスターズの選手たちも大満足!! リーフのリリーフカーをじっくり!!(15枚)
現行リーフが投手の登場に華を添える
投手交代を告げるアナウンスに、スタンドの空気が変わる。守り抜きたい1点がある。断ち切ってほしい流れがある。ブルペンからマウンドへ。その短い道のりには、スコアボードに映らない無数の願いが詰まっている。
そんな勝負の入り口へ、投手を送り届ける役割を担うのがリリーフカー。プロ野球チーム「横浜DeNAベイスターズ」の本拠地・横浜スタジアムで親しまれてきたこの働き者に、新しい仲間が加わった。ベースとなるのは、現行の3代目日産リーフである。
日産車とリリーフカーの歴史は、1970年代までさかのぼる。ブルーバード、Be-1、エスカルゴ。時代ごとに姿を変えながら、投手とともに歓声のなかへ走り出してきた。
2017年には初代リーフ、翌2018年には2代目へ。横浜に本社を置く日産は、この街の野球を足元から支え続けている。そして2026年9月22日、中日ドラゴンズ戦。そのバトンは、新しいリーフへと受け継がれることになった。
リーフの持ち味をそのままに短いスパンで制作
9月22日の試合を前に、ひと足先にメディアに向けて公開されたリーフのリリーフカー。ボディを彩るのは、ルミナスターコイズ。チームカラーの「YOKOHAMA BLUE」と響き合う鮮やかな色に、ホーム仕様では星をかたどった特別なシートを組み合わせた。青いイルミネーションも、登場の瞬間を盛り上げる。
華やかさの一方で、投手への気配りも細やかだ。センターコンソールを取り払い、乗降時のステップの高さを調整。客席から表情が見えるよう、座面の高さにもこだわっているという。投手が集中でき、ファンもその姿に期待を託せる空間だ。
デザインの決定から完成までは、約1カ月半から2カ月。設計とデザイン、製作の担当者が密にやり取りし、目の前の実車で形を確かめながら急ピッチで作業が進められた。そこには、横浜を盛り上げたいという共通の思いがある。
日産自動車の国内マーケティング&セールス 執行職役員を務める杉本全氏が勝利への後押しを願えば、横浜DeNAベイスターズ球団の木村洋太社長も、その想いに応えて残りのシーズンを戦いたいと語る。
横浜DeNAベイスターズの相川亮二監督は、華やかなデザインと室内の広さ、乗りやすさを評価した。伊勢大夢投手も座り心地のよさを挙げ、静かな車内が登板前の集中につながると話した。歓声の只中へ向かうための、静かなひととき。その時間も、リリーフカーが届けるものなのだ。
日産自動車大学校の学生たちの結晶も宿る
そして今回、ひときわ心に残ったのは、日産自動車大学校の学生たちも製作チームに加わったことだった。全国5校から各2名。整備士を目指す学生たちが、日程を分けてリリーフカーのプロジェクトに参加。車体のカットをはじめ、担当できる製作作業を分担した。
普段の実習でも、リリーフカーに触れる機会などまずない。まして、自分の手を加えたクルマが、プロ野球のマウンドへ投手を送り届けるのだ。
現場からは、思いがけない機会を喜び、笑顔で作業に向き合う学生たちを高評価。そして、参加者の学生たち、単なる思い出づくりだけでは終わっていなかった。
「学生たちみんな優秀で、伝えたことに対しては素直に聞いてくれました。手先も器用で、すごく助かりました」。製作を担った現場から上がった率直な言葉である。限られた時間で特別な1台を仕上げていく。そのなかで学生たちは、教わるだけでなく、つくり手の一員として力になっていた。
覚えた技術が、誰かの役に立つ。手を動かした先に、人の笑顔がある。整備士という仕事の喜びを、いつもとは違う形で感じられたのではないだろうか。
いつか彼らが実際に整備の現場に立ち、テレビにこのリーフが映ったら。「あのクルマ、自分も携わったんです」。そんな会話が生まれるかもしれない。投手を乗せて走る姿は、自分の仕事を少し誇らしく思える風景にもなるはずだ。
新たなリリーフカーで最高のパレードランを
9月8日終了時点で、横浜DeNAベイスターズはセ・リーグで3位。日本シリーズにつながるクライマックスシリーズの出場圏内にいる。2024年には同じ3位から駆け上がり、日本一に輝いた。あの歓喜を知るチームだからこそ、もう一度と願わずにはいられない。
再び頂点をつかみ、横浜の街を埋める人々の前を、このリーフで進んでほしい。マウンドへ向かう緊張の横顔が、その日ばかりは、ほどけた笑顔に変わる。車体に手を添えた学生たちも、きっと胸を張ってその姿を見つめるだろう。
その光景を見るために、今日もプレーボール。
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