音声ナビのほかドライブレコーダー、Wi-Fiスポット機能も搭載!
最近、ネットやテレビなどでも話題のパイオニアのAI搭載通信型オールインワン車載器の「NP1(エヌピーワン)」。これ1台に音声ナビやクラウドドライブレコーダー、さらにWi-Fiスポットなど、多彩な機能を搭載した全く新しいコネクテッドデバイスだ。
後方映像をスマホに自動保存できるユピテルの前後2カメラドライブレコーダー「Y-410di」
最近では、「Siri」や「Googleアシスタント」などといったAI音声認識サービスが充実してきているため、筆者もこの「NP1」にかなり興味はあったのだが、とはいえ「音声だけのナビなんて本当に使えるのか?」と半信半疑だった。
ただ、あのカーナビでは定評のある「カロッツェリア」ブランドを擁するパイオニアが、わざわざ開発してきたのには、きっと何かあるのではないだろうか?そう思ったら、気になって気になってしょうがない。
ということで、実際に「NP1」を借りて自分のクルマに取り付けてみたので、その使い勝手などをレポートしよう。
自分でも簡単に取り付けられる手軽さがGood!
※パッケージのデザインは異なる場合がある
さて、さっそく「NP1」が手元に届いたので、まずはユーザー目線に立ち、実機の取り付けやセッティングについて写真で紹介してみよう。
「NP1」に同梱される主な付属品としては、シガーライター電源ケーブル(4m)、microSDHCカード(32GB・SDカードアダプター付)、六角レンチ、落下防止ストラップ、SIMカード(本体に挿入済み)などだ。
車内/後方カメラ側
前方カメラ側
車内から向かって右側面
車内から向かって左側面
その取り付け台座を含めた本体サイズは、横幅118mm、奥行き93mm、高さ75mm(本体のみ36mm)で、本体重量は300g(付属品含まず)となっており、イメージ的にはやや大きめのドライブレコーダーといったところだろうか。
まずはじめにやるべきことが、スマホアプリ「My NP1」のダウンロード。そして、購入の際に行なった会員登録の内容でログインすると、取り付けや設定方法を手順を追って丁寧に教えてくれるのでわかりやすい。
もちろん、このアプリでは、その他にも目的地を探してルート設定したり、録画した映像を確認したりなど、さまざまな機能を使うことができるので便利だ。
アプリの初期設定が終了したら、本体の取り付けを手順に従って行なう。まずは本体の側面のカバーをはずし、microSDカードを挿入する。ちなみに写真左側のスロットルには、あらかじめSIMカードが差し込まれている。
さらに続けて、シガーライター電源ケーブルを本体に差し込み、先ほど外したカバーを取り付けたら、クルマのシガーソケットに電源ケーブルを挿入。
そして、クルマのエンジンをかけると「NP1」が起動してライトバーが点灯するので、次にスマートフォンとの接続をBluetoothで行なう。Bluetooth接続が完了すると続けて、自動で本体とスマホをWi-Fi接続してくれる。これにより、スマホの映像を確認しながら取り付けの位置や角度を調整できるようになる。
さて、いよいよ本体をフロントガラスに取り付けるのだが、特に次の2点に注意して設置する必要がある。まず取付台座部は、フロントガラス開口部の実長の上端から20%以内(上の写真参照)に収めなければならない。
また、運転の視界(運転手のアイポイント)の妨げにならない位置に取り付けるようにする。これらを守らないと、道路運送車両の保安基準違反となる可能性があるので気をつけたい。
その他にも、前方カメラがワイパーの拭き取り範囲に収まるようにしたり、ルームミラーや車検ステッカーと重ならない位置にするなど映像を確認しながら調整するといいだろう。
台座は前後だけでなく左右振りの調整も可能
なお、車種によっては、フロントガラスの傾斜角度などの違いで本体とガラスとの間に隙間が開きすぎてしまう場合などがある。
そんな時は、付属の六角レンチで台座のネジを外して前後に移動したり向きを変えたりして調整が可能だ。ちなみに筆者のクルマの場合も開きすぎていた(というより顔に近くて気になった)ので調整したのだが、逆に本体がフロントガラスに近すぎても、揺れた際に干渉してしまうので注意が必要だ。
そして、おおよその取り付ける位置が決まったら、スマホの映像を見ながら本体の角度などを調整していく。このとき、映像上に緑枠が表示され、角度を調整する目安となる基準線がが示されるので、とてもわかりやすい。さらに、カメラを車内の後方カメラに切り替えて、同じように角度を調整する。
取り付け位置が決まったら、付属のガイドシール2枚を位置の目安となるように貼付け、フロントガラスの油や汚れを付属のクリーナークロス等できれいに拭き取る。
先ほど拭いたフロントガラスがしっかり乾いたら、台座の両面テープ剥離紙をはがして本体を取り付ける。このとき、あまり本体を強く押し付けてしまうと破損してしまう恐れがあるため注意したい。
本体の取付が終わったら、再度スマホの映像でカメラの角度を最終確認。
次に配線を行なうのだが、「NP1」の基本セットでは、シガーライター電源ケーブルタイプとなる。もし、駐車監視機能を使いたい場合は、別売りのバッテリー接続タイプの電源ケーブルが必要だ。
なお配線は、フロントガラス両脇にあるAピラーに沿って行なうのだが、特に問題がないようであれば、できるだけ助手席側のAピラーを利用したい。というのも、運転席側に引き回した場合、衝撃などで配線が外れたときにアクセルやブレーキ操作で引っかかる可能性があるからだ。
もしピラー部分を外す場合はツメを折らないように注意したい
また、本来であればピラーのプラスチック部分を取り外し、他の配線と束ねるなどといった処理をしようと思っていたのだが、最近のクルマはピラーにエアバッグが内蔵されていたりと面倒な場合もあるため、今回はパイオニアの推奨するピラーまわりのゴムを利用する方法を試してみた。
まずは、「NP1」本体のすぐ上に位置するフロントガラスとルーフライナーの隙間に指を使ってケーブルを押し込んでいく。
次に、ピラーまわりのゴムをめくりながら、ケーブルを押し込んでいく。実は今回、初めてこの簡易的な方法を試したのだが、思いのほか簡単でラク。
しかもピラー内を通す場合は、他の配線などと結束バンドで固定しないと遊んでしまって異音の原因となるのだが、こちらはゴムが押さえつけてくれるのでその心配がないのだ。さらに見た目にもケーブルでふくらんでしまうなどの違和感もなく、いい感じだ。
そして、ケーブルが足もとまできたらフロアマットの下もしくはグローブボックス裏など利用してシガーソケットまで配線を引き回す。このとき、ケーブの長さが余っているようであったら、結束バンドなどで束ねておくとすっきりする。
最後に、付属の落下防止ストラップ取り付ければ完成!ちなみに、この取付作業は、撮影をしながらでも30分ほどで終了したので、DIYがあまり得意でないという方でも比較的に簡単にできるのではないだろうか。
まるで「ナイトライダー」の頼れる相棒のような存在!?
さて取り付けが完了し、都内周辺および東名高速道路を使って、富士山の麓である御殿場まで足を延ばしたりと「NP1」を数日間にわたり試してみたので、その実力をナビ機能を中心に報告しよう。
まず基本操作だが、「エヌピーワン」と呼びかけると電子音とともにライトバーが点灯するので、「○○へ行きたい」と目的地(施設名など)を言うと「直線距離で○km先に○○が見つかりました。ここに行きますか?」と確認してくる。そこで「はい」などと答えると「目的地は○○です。オススメルートで案内します。目的地まで○km、所要時間は約○分です」と案内がスタート。
ま、この基本操作については、最近の音声認識機能の付いたカーナビとあまり変わらないのだが、「NP1」の場合、こちらの発話に対する認識性が高いため、まるで助手席にいる同乗者と会話をしているようなスムーズさがあるのだ。
また、実際のルート案内についても、「400m先、突き当たりを左です」や「2つ先の信号を右です」、「右から2番目の車線を進んでください」などと音声でわかりやすく案内。しかも、その案内をするタイミングが絶妙で気持ちいいほど。
実は、筆者がいままで使用してきたカーナビなどは、曲らなければならない交差点で案内が遅すぎたり、逆に早すぎて交差点が連続する場所では、どこを曲がっていいのかわかりづらいことがよくあった。
だが「NP1」は、GPSだけでなく準天頂衛星「みちびき」などを使った自車位置の測位能力が優れていることもあり、曲がる場所が近づいてきたら、どのレーンを進み、どちらの方面に向かうのか適切なタイミングかつ具体的に案内してくれるのだ。
先ほど「まるで助手席にいる同乗者と会話をしているよう」と書いたが、その同乗者が道路状況を見ながらナビをしてくれているような、そんな安心感がある。
しかも、もし案内を聞き逃してしまったり、進んでいるルートが正しいか不安になった場合には、「もう一度言って」「この道で合ってる?」などと聞くと答えてくれるので頼もしい限り。
また、ルート案内の際に「目的地に駐車場が併設されていません。近くの駐車場を探しますか?」なんていう気遣いもしてくれる。
そこで、「お願い」などと答えると目的地周辺の空いている駐車場(提携先のタイムズやリパークなど)を検索して提案してくれる。さらに、もし運転中に駐車場が埋まってしまっても、自動で再検索してくれるので、わざわざ停車して検索する必要がないのだ。
加えて、「美味しい物を食べたい」などと気軽に話しかけても、その意図を理解してグルメサービス「Retty」と連携したお店を紹介してくれる。しかもお店までの距離だけでなく評価(星の数)や予算(登録されている場合)まで教えてくれるのでありがたい。
さらにいえば、ルート案内中に観光名所や史跡などの近くをとった際に紹介してくれる場面も。これならば、知らないところへドライブするのも楽しくなる。
しかもこれは、毎回行なうのではなく、基本的には初めて通る道で紹介するようになっているとのことで、何度も同じことを聞かされるようなことがない。
さて、ここまでいいとこばかり書いてきたが、正直、残念な部分もある。というのも、「NP1」の音声での目的地検索では、住所や電話番号での検索ができないのだ。
さらに施設などであってもデータに登録されていなければ、当然ながら検索されない。これについては、仕事柄、目的地を住所で検索することが多い筆者は、最初は戸惑いを隠せなかった。
ただ、そこで活躍するのが、スマホアプリの「My NP1」だ。このアプリ内では、住所や電話番号はもちろん、地図上、ジャンル別、登録地、履歴などを使って目的地の検索・設定ができるのだ。
そのルートも「最も所要時間が短い(時間優先)」「最も距離が短い(距離優先)」などの複数から選択することが可能。またルート案内中も、誘導画面が表示され、地図やイラストを使って情報を表示してくれるので、音声だけでは心配という方も安心だ。
純正のカーナビも同時に使い比較した
そして、もうひとつ便利なのが「ドライブコール」という機能。これは家族や友だちなど、あらかじめ登録した相手とスマホを介してリアルタイムな情報共有が可能に。
これを使えば、例えば友だちの家に向かっているときに道に迷っても、クルマからの映像や地図を頼りに、離れたところにいる友人などから道案内を受けることができるのだ。
「ドライブコール」の映像は車内側にも切替えが可能
さて、「NP1」は、ナビ以外にも多彩な機能が充実している。前方用と車内/後方用の2つのカメラを使うドライブレコーダー機能では、通常時のSDカード保存に加え、衝撃検知時や、ユーザーの音声や手動による操作時にはクラウドにも自動保存を行なう。したがって、もしもの時にも録り逃しの心配が無く、さらにスマートフォンで簡単に録画映像を確認することができるので安心だ。
「NP1、映像(もしくは写真)を撮って」と言えば、動画は操作前の7秒間と後の8秒間、合わせて15秒間の映像(もしくは画像)がクラウドとSDカードに保存される
また、車内向けインターネット接続サービス「docomo in Car Connect」を別途契約すると、LTEデータ通信を定額で制限なく利用できるWi-Fiスポット機能を搭載。スマートフォンやタブレット端末を最大5台まで接続でき、動画などのストリーミング再生やオンラインゲームなどを車内で快適に楽しめるので、家族も喜ぶのではないだろうか。
さらに最近では、Amazonが提供する音声アシスタント「Alexa」の利用が可能となり、音楽・ラジオや最新ニュースの再生、天気予報の確認、スマート家電の操作などを音声で行なえるようになった。
これだけ多彩な機能を持つ「NP1」だが、実はその真骨頂は、OTA(Over The Air)で新機能を追加・アップデートすることができため、最新の地図情報はもちろんのこと、ドライバーの運転スタイルを学習しながら、個々に最適なデバイスへと進化していくこと。つまり、使えば使うほど自分に合った相棒となっていくのだ。
何だか、筆者のような世代にとっては、1980年代に日本でも大ブームを巻き起こしたドラマ「ナイトライダー」の主人公マイケル・ナイトの相棒「ナイト2000」の電子頭脳「K.I.T.T.」を彷彿とさせるのではないだろうか。
さて、数日間にわたり「NP1」と過ごしてみたが、音声だけでも的確に案内してくれるため、運転に集中できることが最大のメリットであり、それが安全性につながるのだと強く感じた。これからのカーナビは、この音声AIをメインとした方向へとシフトしていくのかも知れない。
関連情報:https://jpn.pioneer/ja/np1/
取材・文・撮影/土屋嘉久(ADVOX株式会社 代表)
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そのルートも「最も所要時間が短い(時間優先)」「最も距離が短い(距離優先)」などの複数から選択することが可能。またルート案内中も、誘導画面が表示され、地図やイラストを使って情報を表示してくれるので、音声だけでは心配という方も安心だ。
純正のカーナビも同時に使い比較した
スマホアプリ使うんだったら、もう、NP1要らないんでは?