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新型トナーレ登場の“大きな意味”とは? 新しいコンパクトSUVは紛れもなくアルファ ロメオだった!

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新型トナーレ登場の“大きな意味”とは? 新しいコンパクトSUVは紛れもなくアルファ ロメオだった!

アルファ ロメオ初のコンパクトSUVである「トナーレ」がついに登場した。オンライン・プレゼンテーションに参加した、イタリア車に造詣の深い松本葉がリポートする。

競争の激しいセグメント

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2月8日、アルファ ロメオのニューカマー、トナーレが世界発表された。アレーゼにあるミュージアムからネット配信されたプレゼンテーションのタイトルは「La Metamorfosi」。イタリア語で「変身」とか「転身」を意味する。

デビューしたのは電動化とコネクティビティ新時代に向けて最先端技術を導入したクロスオーバー(コンパクトSUV)。パワートレインにハイブリッドが2種用意されたのは同社モデルでは初めてのこと。くわえて新たなユーザーサービスも満載された。アルファ ロメオが将来に向けて新たな一歩を踏み出す、それを象徴して「メタモルフォジ」とネーミングされたのだろう。「変化は、ここから、始まる」。新型クロスオーバーに与えられた命題は新たなスポーティネスの構築という。

車名のトナーレはステルヴィオ同様、イタリアにある山岳路(Passo del Tonale)に由来するが、今回、デビューしたのは兄貴分よりわずかに小型。全長4.5mほど、全幅およそ1.8m、車高1.6m、ホイールベースは約2.6mで車重は1.5トンあまり。アウディ「Q3」、BMW「X1」、レクサス「UX」、ボルボ「XC40」といった強敵と肩を並べる。まさに欧州で人気のカテゴリー、競争の激しいセグメントに乗り込んだというわけだ。

アルファは転んでもタダでは起きない

もともとトナーレは2019年のジュネーブショーでコンセプトカーとして公開され、新カテゴリーの、特にデザインに注目が集まった。この年のグッドウッドフェスティバルに運ばれるなど、市販化間近と思われたものの、実現には時間を要した。自動車は「なまもの」だ。

さまざまな事情による市販化の遅れは自動車史の中ではしばしば見られたことだが、デビューした時点ですでに古くなっていた“ニューカー”は多い。コンセプトカーのインパクトを、アップデートした形で再度与えることはできるのか。この点を案じたが、アルファ ロメオは「延滞」を上手に利用したと思う。ワールドプレミアムに先駆けて行われたメディア向けデジタル・プレヴューに参加して、この思いを強くした。

それが、112年の歴史の中で何度も危機に瀕しながら、危機を好機に変えて発展した同社らしさに感じられる。アルファは転んでもタダでは起きないブランド。まさにイタリアそのものである。

デビューの遅れはステランティスへの移行による社内事情、コロナ禍の影響もあると思っていたが、実際のところはトナーレの肝である電動化技術の“練り”にあったようだ。

アルファの名に相応しいドライビング・ファンに溢れたエレクトリフィケーションの模索と実現に「急がば回れ」を選んだ。

実際、プレヴューに参加して印象的だったのは、「アルファらしい操縦性を叶えた電動化モデルを実現した」、こう繰り返し強調されたこと。

同社では2025年以降、BEVのみを投入するとしている。第1弾となるトナーレに電動化されたスポーティネスの規範、雛型の役目を求めたのだろう。

ディーゼルも用意

用意されたのは前輪駆動のハイブリッドと四輪駆動のプラグインハイブリッド。前者には130psのエントリーバージョンとその上を行く160psバージョンの2種あって、直4エンジンの排気量は1.5リッター、FireFlyファミリーの一員ながら、シャシー同様ブランニュー、この点にも電動化への強い意欲が感じられる。電気モーターは15kW/55Nmを発生する(48V仕様)「P2」と呼ばれるタイプだ。可変ジオメトリー・ターボチャージャー(これも新開発)および7速デュアルクラッチAT “TCT“と組み合わされた。

性能面と電動化レベルでトップに君臨するのはプラグインハイブリッドQ4、275psを獲得した。1.3リッターのMultiAirガソリンターボエンジンがフロントを、電気モーターがリアを駆動、100km/hへの到達は6.2秒という。EVモードでの走行可能距離は街中で80km以上とセグメント内では最高値となる。

ハイブリッドの影に隠れているが、世界市場の特性に配慮してディーゼルエンジン(1.6リッター/130ps)バージョンがあるのも付けくわえておきたい。こちらのトランスミッションもTCTながら6速。ハイブリッド同様、前輪駆動である。中東と北米市場向けにはガソリン・バージョン(2.0リッター/256ps)も用意される模様だ。

コネクティビティ、インフォティメント、車載ソフトウェア、顧客サービスといった「今時」のものについては、記し始めたらキリがないのではないかと思うほどの数。「アルファ・コネクト・サービス」「マイ・ナビゲーション」、「マイ・リモート」「マイWi-Fi」、まだまだ色々並ぶ。

ドライバー正面の12.3インチのフルデジタルスクリーン、ダッシュボード中央の10.5インチのセンター・タッチスクリーン(大きさはクラス一)から車両オンライン販売のスタート、保証の延長やビデオチェックと初登場が山盛りてんこ盛りながら、車載コネクティビティにアマゾン・アレクサがインテグレートされていると知って驚いた。車内でアレクサちゃんとお喋りするイタリア人を想像するとなんだか可笑しい。車両を宅配ロッカーとして使用することもできるらしい。

なかでもっともびっくりしたのは最近、美術品への紐付けで耳にするようになったNFT(非代替性トークン)証明書の導入だ。1台のトナーレの“生涯”をデジタルで管理することができるというわけで自動車では初。サステナブルな視点からリセールバリューに配慮したということだろう。個人売買が主流の欧州ではメインテナンス等を巡る揉め事にしばしば遭遇するから、この点でもいいアイデアかもしれない。いいアイデアと言えばグレードが「スーパー」と「Ti」の2種類にシンプル化されたのもグッド・ニュースであると思う。入門グレードのスーパーは“スプリント”というパックでカスタマイズができ、Tiには“ヴェローチェ”というスポーティネスを実現するオプションが用意されるそうだ。

かっこいい!

さて、アルファ ロメオにとって操縦性と並んで鍵となるデザインは、誰にとっても最も気になるところだと思う。画面を通して対面した印象はひとこと、「紛れもなくアルファ ロメオ」。コンセプトモデル同様かっこいい。手がけたのはもちろんチェントロ・スティーレ・アルファロメオ、社内デザイン部である。

プレヴューで解説したのは4Cやジュリアで知られるデザイナー、アレキサンドロ・マッコリーニで、彼によれば「ダイナミックで俊敏、筋肉質に見えること」、これがデザインの特徴という。

実現したのは同社の十八番、フロントフェンダーからリアからまで続くサイドの、彼らが呼ぶところの「GTライン」の再現。1963年の「ジュリアGT」から生まれた黄金の法則が今回も用いられた。ワンストロークで描かれたたった1本のラインが、その下のキャラクターラインと共に上部にボリューム感を与え均整のとれたプロポーションを生み出したというのだから、自動車のカタチづくりというのは誠に不思議、同時に魅力的なものであると思う。

足元を引き締め、楽しくしているのは33ストラダーレのテレフォンダイヤル・ホイールだ。同社エンブレム同様、デザインは時代を経て進化したものの、今もアルファらしさを強く与えることに変わりはない。

「手で描いたような」と、彼が表現したライトもキャラづけに重要な役割を果たしている。ティーザー広告でも用いられたヘッドライトはマトリックスモジュールを使った3+3フルLED。「SZザガート」や「ブレラ」のそれを彷彿とさせる。浮かんだようなスクデットと左右に置かれたエアインテークで構成されるトリロボは、これまででもっとも大きく見えるがどうなのだろう。しっかりした顔つきだ。

インテリアはクール&ソリッドのアルミと、ホット&ソフトのヴェーガン・レザーおよびアルカンターラの組み合わせで、3つのレイアウトから選ぶことの出来るTFTクラスターやシフトパドル付き3本スポーク・ステアリングホイールなど、この目で見てこの手で触れる日が待たれる。

アルファ ロメオは昔も今も心の故郷

プレヴューにはちらりとアレサンドロ・メソネロも登場した。ステランティスとなってアルファ ロメオのチーフ・デザイナーに就任した彼はセアト、ダシアでキャリアを磨いたスペイン人、「156」をデザインしたワルター・デ・シルバの愛弟子である。

「パーフェクトとは足すものがなくなった状態ではなく、引くもののなくなった状態を言う」、サン=デクジュペリの言葉を引用してトナーレを語ったが、確かにスタイリングはシンプルにダイナミズムとエレガンスを共存させた。クリーンにまとまっている。

そういえば彼がミラノにやってきたのは昨年7月のこと。「すでにトナーレのデザインはほぼ完成していた」。自動車デザイン誌のインタビューでこう答え、続けて「自分は今はさらにコンパクトなSUVのデザイン作業に取り掛かっている」と、告白した。これまた楽しみだ。

パンデミックによって殊の外大きな痛手を負ったイタリアの人々の、働き方、暮らし方には大きな変化が見られる。明日を待つことなく、今日を自分らしく楽しもうという意識がとても強まっている。エコロジーへの関心の高まりにも驚くべきものがある。

ここ数年新車の販売低迷が続いてきたが、イタリア人にとってアルファ ロメオは昔も今も心の故郷だ、トナーレはさまざまな面で“きっかけ”になるのではないだろうか。「アルファらしい操縦性を叶えたスタイリッシュなコンパクト電動化モデル」は、彼らの心に届くような気がする。我々、日本人の心にも響きそうだ。

本国での発売開始は6月4日。アルファ ロメオの設立記念日が当てられた。日本への導入は年末を目指しているようだ。アルファ ロメオの新しいスポーティネスを味わえる日は近い。

文・松本葉

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みんなのコメント

1件
  • > 紛れもなくアルファ ロメオだった!

    まだ乗ってないどころか実車も見てねぇくせに、よく言うわ!
    メディアって、本当にテキトーだな!! 特にこのGQってのは。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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