ホンダは5月14日、ハイブリッド車(HV)を軸とした新たな事業戦略を発表した。2027年以降に次世代HVを投入し、29年度までにグローバルで15モデルを投入する。同日、2年以内に投入する次世代HVのプロトタイプも公開した。一方で40年にすべての新車販売を電気自動車(EV)と燃料電池車(FCV)とする目標を撤回した。ホンダはEV需要の失速で上場以来初の赤字に転落したが、HVを軸とした成長戦略で巻き返しを図る。
同日、都内で開いた会見で三部敏宏社長は「ホンダを取り巻く環境はかつてないほど不確実性が高い、厳しい環境にある」と述べ、これまでEVを軸とした事業戦略を転換し、足元で需要が高いHVに経営資源を配分する方針を示した。
27年以降に投入する次世代HVは、北米を中心にグローバルに展開する。北米では全工場でHVを生産できる体制を整え供給力を引き上げる。新開発のV型6気筒エンジンと組みわせたハイブリットシステムを搭載した大型モデルも29年に投入する。
次世代HVのシステムは、23年モデルに対して30%以上コストを低減し、10%以上燃費を向上する。また、プラットフォーム(車台)も刷新し、大幅に商品力を引き上げる。
同日、2年以内に市場投入予定の次世代HVのプロトタイプとして、セダンタイプと高級ブランド「アキュラ」のSUVタイプを披露した。
北米と日本、インドを注力地域と位置付けた地域戦略も打ち出す。日本市場では、28年に主力自動車「N-BOX(エヌボックス)」のEVを投入する。同年以降には新型「ヴェゼル」を皮切りに次世代HVを順次、投入していく。
開発体制もてこ入れする。「開発費」「開発期間」「開発工数」をそれぞれ25年比で半減する方針だ。人工知能(AI)などデジタル技術の活用で開発効率を高めて新型車の投入期間を半減し、“チャイナスピード”に対抗する。また、生産効率も向こう5年間で約2割高める方針だ。
一方、EV戦略については市場動向の変化を踏まえ、ブレーキを掛ける。3月には次世代EV「ゼロシリーズ」2車種の開発を中止すると発表したが、今回、カナダのEVと電池工場プロジェクトの無期限凍結を正式に発表した。EV専用プラットフォームや全固体電池の開発は継続するが、開発中の車載OS(基本ソフト)「アシモOS」はEVだけでなく次世代HVにも搭載する方針だ。
中期的な財務指標として、四輪車事業の立て直しと二輪車事業の強化により、29年3月期に営業利益1兆4000億円以上、31年3月期にはROIC(投下資本利益率)10%を目指す方針を示した。29年までのEV関連投資は8000億円に縮小し、ガソリン車とHVに4兆4000億円、ソフトウエアには1兆円を投じる。
(2026/5/14更新)
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