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語り草になるオーバーテイクを見せたフェルスタッペン。表彰台に近付いたアルボン【独自選出:F1第7戦ベスト5ドライバー】

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語り草になるオーバーテイクを見せたフェルスタッペン。表彰台に近付いたアルボン【独自選出:F1第7戦ベスト5ドライバー】

 長年F1を取材しているベテランジャーナリスト、ルイス・バスコンセロス氏が、各グランプリウイークエンドのドライバーたちの戦いを詳細にチェックし、独自の評価によりベスト5のドライバーを選出する。今回は第7戦エミリア・ロマーニャGPの戦いを振り返った。

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フェルスタッペンとの勝負に弱すぎるノリス。対ピアストリでは明るい兆し【独自選出:F1第6戦ベスト5ドライバー】


■チャンピオンにふさわしいパフォーマンスで勝利をつかんだフェルスタッペン

マックス・フェルスタッペン(レッドブル):予選2番手/決勝1位

 4度のワールドチャンピオンであるフェルスタッペンは、イモラで再び驚異的なパフォーマンスを示した。素晴らしい予選ラップを走り、フロントロウを獲得。決勝ではスタート直後にオスカー・ピアストリを抜いてトップに立った。その動きは、今後何年か、『ベスト・オーバーテイク』の映像特集に必ず取り上げられるだろう、素晴らしいものだった。

 フェルスタッペンは、ピアストリの慎重なアプローチを利用して前に出ると、フィニッシュまでずっと先頭を走り続け、タイヤに過度な負担をかけることもなく、一切ミスを犯さなかった。

 予選では最速のマシンではなかったが、イモラが追い抜きが困難なサーキットであり、さらにはタイヤに問題がなかったことで、4年連続チャンピオンにふさわしいパフォーマンスを見せつけた。


■表彰台争いへの自信すら見せたアルボン

アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ):予選7番手/決勝5位

 アルボンは、今シーズンの開幕から注目すべき存在のひとりだ。イモラでは自身とウイリアムズにさらに10ポイントをもたらし、コンストラクターズ選手権の5位争いにおいて、下位のチームに大きなギャップを築き上げた。

 ベテランのサインツがウイリアムズに加入して以来、アルボンは、チームメイトのスピードと労働倫理に圧倒されてはいたものの、そのうち、特にレースペースにおいて、自身のパフォーマンスを着実に向上させていった。

 イモラのレースで、アルボンは、最も効果的だったタイヤ戦略で戦った。ミディアムの性能が突然低下した4周にわたる苦しい時間を耐え抜いた後、再びペースを取り戻して走行を続け、ステイアウトした結果、バーチャルセーフティカーが導入されたため、効率的にタイヤ交換を行うことができた。

 アルボンは非常に好調で、ピアストリと表彰台争いができるかもしれないという自信すら持っていた。そのためにすぐ前にいるシャルル・ルクレールを抜こうとしていたが、バトルのなかでルクレールにコース外に押し出された。最終的にアルボンはルクレールの前に出たものの、その時にはすでにルイス・ハミルトンにもかわされた後だった。


■フェラーリ愛を胸に、ホームレースで奮闘したルクレール

シャルル・ルクレール(フェラーリ):予選11番手/決勝6位

 ルクレールは、情熱がパフォーマンスの強力な原動力になり得ることを改めて証明した。予選で低迷したが、決勝で鮮やかな追い上げを見せた。

 約30年前のジャン・アレジ以来、どのドライバーよりもフェラーリへの愛情が深いルクレールは、ホームレースで予選Q2敗退に終わったことに絶望していた。しかしそれによって、レースでアブレッシブな戦略を採ることを決断、レース開始時点から唯一明確に2ストップ戦略を採用し、その過程で、大胆かつ効果的なオーバーテイクをいくつも成功させた。

 後半のセーフティカー出動により、4番手をつかむ望みは絶たれた。新品タイヤが残っていなかったため、ルクレールはステイアウトし、ハミルトンとアルボンに抜かれてしまったのだ。しかし、レースを通じて彼が見せた走りは素晴らしく、6位より上位の価値がある内容だった。


■チームメイトより速さがあったが運に恵まれなかったピアストリ

オスカー・ピアストリ(マクラーレン):予選1番手/決勝3位

 ピアストリは、スタート直後にマックス・フェルスタッペンに対してドアを開けてしまうという重大な過ちを犯した。ラッセルに意識を向け、彼が首位に飛び込んでくる可能性を警戒しすぎて、ピアストリは必要以上に早くブレーキをかけて、レーシングラインをフェルスタッペンに譲る形になったのだ。だが、彼はこのようなミスを今後二度と繰り返さないはずだ。

 それ以外の場面では、今回もピアストリはランド・ノリスと互角以上のパフォーマンスを見せた。予選では、ポールポジションを確保するために必要なすべてをやりきった。最後のふたつのコーナーでほとんど停車しているかのような4台のマシンに遭遇し、その4台は明確に進路を妨害していたわけではないが、処理するのに0.2秒近くを失った。それにもかかわらず、ピアストリはポールを獲得したのだ。

 決勝でもチームメイトより速かった。しかしピアストリとチームは、9周目から14周目の間にミディアムコンパウンドのグリップが奇妙に落ちたタイミングに対して、あまりにも早く反応してしまい、2ストップ戦略に切り替えた。この戦略はうまくいくはずだったが、終盤のセーフティカーによってライバルたちがタイムを失うことなくタイヤ交換を行えたことで、ピアストリはチャンスを失い、フェルスタッペン、ノリスの後ろの3位に終わった。

 それでも、ピアストリはチャンピオンシップのリーダーという立場を守っている。それこそが彼にとって最優先事項であったはずだ。


■果敢に戦い、最大限の結果を手に入れたノリス

ランド・ノリス(マクラーレン):予選4番手/決勝2位

 レースに勝てる状況でないときに、最大限の結果を出すことは、タイトル争いにおいて極めて重要な要素である。それを実行したのが今回のノリスだった。彼はフェルスタッペンに次ぐ2位でフィニッシュし、チームメイトであるピアストリとのタイトル戦いにおいてギャップを3ポイント縮めた。

 今回もまた、ノリスは予選で実力を発揮しきれず、決勝で大きな挽回を求められる展開となった。しかし予選で4番手にとどまったことにより、ノリスがレースで激しく戦う姿を我々は見ることができた。レース序盤でのラッセルへの仕掛け、終盤のピアストリへのオーバーテイクなどだ。ピアストリに対してノリスは新しいタイヤを履いていたことが圧倒的に有利ではあったが、あのオーバーテイクは、彼があまり見せたことがない一面を示すものだった。

 フェルスタッペンとの差を詰めようとする試みは実を結ばなかったが、それでもノリスはイモラを後にする時に、自分にピアストリと互角に戦う力があるという自信を感じることができただろう。それでも、今後もオーバーテイクが難しいサーキットが多いため、Q3でのペースを向上させる必要があるのは明らかだ。

[オートスポーツweb 2025年05月22日]

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