問題が出たらその都度修理すればいい
つくばのメカトリエで大貴族号(愛車となった先代マセラティ・クアトロポルテ)に初対面し、望外の試乗も完了。内外装やサスペンションは一部没落しているものの、機関および変速機が健全なので、走行には支障ナシ! 大勝利だ。
【画像】ナンバーは42!かつて筆者が所有したフェラーリ458イタリア 全19枚
オレ「じゃ、とりあえず最低限の整備をしてもらって納車、ってことで」
問題が出たらその都度修理すればいい。サスペンションの「タタタタタタ!!」って音も、我慢できなくなってから直せばいい。その方がロマンを満喫できるはずだ。
しかし、マセラティの名店は、私の提案をにべもなく拒絶した。
タコちゃん(マイクロ・デポ岡本和久代表)「いや、ダメです。カムシールからオイルが滲んでるので、それは直します」
多少のオイル漏れくらい、ぜんぜんいいのになぁと思ったが、口調に気圧された私は、「そ、そうですか……」と答えるしかなかった。
タコちゃん「あと、サスペンションもやんないとダメです」
このまんまでも走れるのになぁと思ったが、そのうちあの音に耐えられなくなる予感はしたので、これまた「そ、そうですか……」と答えざるを得なかった。
タコちゃん「それと、シートやドアモールの白サビもやりましょう。ウチは一切儲からないんですけど、専門家に頼めば、だいぶキレイになりますから」
タコちゃんの目には、懇願にも似た光が宿っていた。
没落貴族を大貴族に戻すのがロマン
考えて見るとマイクロ・デポは、ピカピカのビンビンに仕上げた中古マセラティを売るお店。タコちゃんは、ピカピカのビンビンじゃないとガマンできない人だ。なにしろ本社の電話番号が『ゴクローはしないナ(03-5968-4717)』なのだから!
中古マセラティに苦労せずに乗れますよと、ハトヤの電話番号みたいに豪語しているのである。
私としては、中古マセラティなんて、苦労したくて乗るクルマだと思うのだが(編集部注:あくまで筆者の印象です)、タコちゃんによると、「そんなお客さんは清水さんくらいしかいません」。信じられないが、それが世間一般の要求らしい。みんなロマン(≒故障)が嫌いなんだなぁ……。
逆にマイクロ・デポにすれば、ロクに整備もせずにクルマを売るのは、ロマンがないのだろう。タコちゃんにとっては、ズタボロの没落貴族を大貴族に戻すのがロマン。
ロマンとロマンのぶつかりあいだが、今回私は、「直す前の状態がわかったから、ま、いっか」ってことで、全面的に譲ることにした。仕上がった時、「これがあの没落貴族か!?」と感動するのも、ひとつのロマンかなということで。
その後タコちゃんは、大貴族号のパーツを続々と取り寄せて整備を始め、マイクロ・デポのブログでその様子を逐一報じた。
かつてのマセラティは伝統的に整備性が劣悪。トヨタみたいな親切設計とは無縁の貴族である。手のかかる貴族をなだめすかし、力業で整備する姿は、まさに自動車ロマン。ロマンを愛する者として、目頭が熱くなった。
大貴族号にふさわしいのは何番?
この調子だと、目論んでいた早めの納車なんて到底ムリそうだが、とりあえず名義変更は先に済ませてもらおう。そう思って連絡を取ったら、「希望ナンバーどうします?」と返信があった。
うーん、大貴族号にふさわしいのは何番だろう。
真っ先に思い浮かんだのは『42』だった。いわゆる『死に番』である。日本では、プロ野球選手も42だけは背番号に選ばず、ほぼ外国人選手専用になっている。かつてメルセデスにあった420SELも、『死に丸』と呼ばれ縁起がうんぬんされた。
しかし、あえて縁起の悪い番号を付けるのが、捨て身な男のロマンの表現。坂本龍馬の『ドブの中での前のめりに死にたい』という思考である。考えて見りゃ大貴族号は、排気量が4.2リッターだし、42はピッタンコ! よし、死に番でキマリだ!
タコちゃんにそう伝えると、「もうちょっと縁起のいい番号がいいな……」と、泣きそうな返信があったが、これだけは譲れなかった。私にとって大貴族号は自動車ラスト・ロマン。男の死に場所なのだから!
(つづく/毎週金曜日昼頃公開予定)
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みんなのコメント
いいんじゃないすか?アメリカMLBでもだれも着けてない番号。
こちらは忌み数ではなくMLB初の黒人選手ジャッキー・ロビンソンを記念した名誉ある番号で全チームの永久欠番。
イタリア車だけに17を着けなかったのは英断。
イタリアでは17は、ローマ数字でXVII、並べかえるとVIXI、ラテン語で「私は生きることを終えた=私は死んだ」の意味になるため忌み数となっている。