日産自動車は5月9日、福岡県北九州市に建設予定だったリン酸鉄リチウムイオン(LFP)電池工場の建設を中止することを明らかにした。日産は事業再生に向けて2026年度までに約4000億円を削減する計画を進めており、建設中止の理由について「投資効果について慎重に検討を重ねた結果」としている。
日産は福岡県などに対し、9日までに建設中止を説明した。経済産業省も最大557億円の補助金を交付する予定だったが、同日付で認定を取り消した。計画は当初、1533億円を投じて年間5ギガワット時の生産能力の工場を25年度中に着工し、28年7月以降の供給開始を予定していた。
トヨタ、福岡の電池新工場 立地協定締結を延期 生産は変更なし
今年1月に開いた地元自治体との立地協定式では、約500人の新規雇用を表明するなど、地元からの期待も高まっていた。武内和久北九州市長は9日、日産側から謝罪を受けたことをSNS「X」上で明らかにし、「計画が白紙となったことは誠に残念でならない」と投稿した。
日産は、事業再生計画「ターンアラウンド」で、26年度までに100万台の生産能力縮減と9000人規模の人員削減を計画している。今月13日に発表する25年3月期決算は、最大7500億円の赤字となる見込み。4月に就任したイヴァン・エスピノーサ社長率いる新たな経営体制の下で立て直しを急いでおり、投資戦略も見直す。
生産するLFP電池は主に電気自動車(EV)への搭載を計画していたが、EVは世界的に販売が伸び悩んでいる。欧州ではEVの新車販売が24年に初めて減少に転じた。米国でもカリフォルニア州など一部地域での普及にとどまり、トランプ大統領はEV普及策を見直す考えを表明している。
電池工場の新設では、トヨタ自動車と子会社のトヨタバッテリー(静岡県湖西市)も福岡県苅田町に車載電池工場の建設を計画しているが、3月に予定していた地元自治体との立地協定締結を延期した。建設計画に変更はないとしているが、28年に予定する生産開始時期は需要動向を睨んで検討するとしている。
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