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楽しさと完成度はクラストップ! トヨタ・ヤリス・クロスへ試乗 130馬力のHV追加で競争力強化

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楽しさと完成度はクラストップ! トヨタ・ヤリス・クロスへ試乗 130馬力のHV追加で競争力強化

欧州の売れ筋モデル 130psのハイブリッド追加

流行の大きな波が来ている、コンパクト・クロスオーバー。トヨタは遅れ気味にヤリス・クロスを投入したが、実用性と燃費が評価され、欧州では売れ筋モデルへ躍り出た。

【画像】楽しさと完成度はクラストップ! トヨタ・ヤリス・クロス 競合のクロスオーバーたち 全137枚

そんな人気者も登場から3年。モデル中期のフェイスリフトが施された。最大の変化が、英国では一部のグレードのみながら、130psのパワートレインが追加されたこと。従来の115psとの2択になった。

英国では、フェイスリフトを記念した上級グレードのプレミアエディションも期間限定で用意。これには、ツートーン塗装が設定される。

プラットフォームはトヨタのTGNA-Bで、ヤリスと同じ。1.5Lガソリンエンジンが主軸のハイブリッド・パワートレインも同じ。しかし四角いスタイリングと、樹脂製のフェンダーアーチ、30mm高い車高などが、ライトなSUV感を醸し出す。

AWD-iとトヨタが名付けた四輪駆動も選べ、駆動用モーターがリアアクスル側へ追加される。必要に応じてリアタイヤを回し、新雪の山道走行や、ロックフェスのぬかるんだ駐車場からの脱出を助ける。

ハイブリッド・システムには、2基の電気モーターが組み合わされている。トランスミッションは、e-CVTと表記されることも多いが、従来どおり遊星ギアを用いた動力分割機構だ。

駆動用バッテリーは電圧178Vのリチウムイオンで、約1.5km走れる電力を蓄えられる。基本的にはエンジンを補助するように、短時間だけ駆動用モーターへ電気を供給する。

防音ガラス採用 操作しやすいハードボタン

今回の小改良では、安全機能や、通常のヤリスとの差別化も強化。フロントバルクヘッドは吸音性が高められ、油圧エンジンマウントと排気系を更新。フロントとサイドのウインドウガラスは、防音仕様になった。これまでより、静かな車内を求めて。

サスペンションは、前がマクファーソンストラット式で、後ろはトーションビーム式。これは、ヤリスと基本的に同じ。アルミホイールは16インチから18インチまで設定。GRスポーツでは、スポーティなメッシュグリルが与えられる。

次に車内を見ていこう。前席側の空間は充分。シートとステアリングコラムの調整域が広く、快適な運転姿勢へ落ち着ける。タッチの良い布地など、内装素材は質感が高い。試乗車は、ダッシュボード後方からカタカタと振動音が聞こえてきたが。

リアシート側は、このクラスとしては若干狭め。高身長の大人は、窮屈かもしれない。荷室容量は360Lで、平均的な大きさだ。

インフォテインメント用タッチモニターは、標準で9.0インチ。ソフトウェアは最新のタッチ3システムが実装され、直感的に操作できる。エアコンなどには、実際に押せるハードボタンが用意されており、これも操作しやすい。

上位グレードでは10.5インチへ拡大し、画質はさらに良くなる。右側へショートカット・メニューが表示され、ワイヤレスでスマートフォンとミラーリングもできる。

有能なハイブリッド 乗り心地と操縦性のバランス

さて、実際に走らせてみよう。トヨタおなじみのハイブリッド・パワートレインは、刺激に欠けるとはいえ、間違いなく有能。内燃エンジンと電気モーターが見事に協働し、滑らかに走れる。1.5Lエンジンのノイズは、高負荷時に聞こえてくるが。

e-CVTは、エンジンが不自然に高回転域まで吹け上がる、ラバーバンド感が抑えられている。基本的に、アクセルペダルを深く踏み込むまでは。130ps仕様では低域トルクが太く、エンジンの存在感はさらに控えめだ。

115ps仕様と比べて、動力性能の向上は大きくない。0-100km/h加速は、0.5秒鋭い10.7秒。気張って飛ばすより、少し速めのペースで運転している方が、余力は感じやすいだろう。駆動用モーターが効率的に働き、キビキビ走れる。

発進加速も活発。流れの速い郊外の道にも、問題なく対応できる。追い越しをかけると、エンジンが急に頑張り始めるが、速度上昇はその騒ぎに対応しない。風切り音は小さくなったようだ。

シフトセレクターをBにすると、回生ブレーキが強く働く。駆動用バッテリーの充電量も、高く保てる。

以前からTGNAプラットフォームのトヨタ車は、乗り心地と操縦性のバランスが高く評価されてきた。ヤリス・クロスも同様で、高めの車高にもかかわらず、カーブが連続する区間を驚くほど楽しませてくれる。

ステアリングは正確。レシオもスローすぎず、操る自信を抱きやすい。フロントのグリップ力は高く、バランス良く前後アクスルが荷重を分担して回頭していく感覚がある。

競合を凌駕する運転の楽しさ 高完成度の1台

操縦性の奥深さは、想像以上。小柄なサイズと相まって、一般的なドライバーが試さないような、相当に積極的な走りも実は許容してくれる。運転の楽しさは、フォード・プーマを除いて、このクラスの競合を凌駕する。

乗り心地は、16インチ・ホイールがベスト。多くの凹凸を滑らかにいなし、車内を落ち着いた空間に保ってくれる。プレミアエディションやGRスポーツは18インチを履くが、軽くないバネ下重量を抑えきれず、低速域では揺れが届く場面が増えるようだ。

燃費は、115psで19.3-22.2km/L、130psでは20.1-20.8km/Lになる。これは実環境でも達成が難しくない数字で、試乗した前輪駆動のプレミアエディションでは、積極的に運転した後での平均で、19.5km/Lが表示されていた。

コンパクト・クロスオーバー市場の戦いは熱いが、ヤリス・クロスの競争力は高いまま。燃費に優れ、レギュラーガソリンに対応していることも強みだろう。

特有の動力分割機構が好きになれない、という人もいるはず。それでも高効率で、一般的なユーザーへ運転のしやすさを提供していることは間違いない。

130psのハイブリッド・パワートレインは、環境性能を犠牲にすることなく、実世界での軽快感を高めた。装備は充実し、内装の質感も良好。2024年のアップデートを経て、優位性は一層増したといえる。完成度の最も高い1択だといっていい。

◯:調和して働くハイブリッド・パワートレイン 優れた燃費 予想外に運転を楽しめる
△:クラストップの洗練性ではない 上級グレードのお値段は高め 大径ホイールで悪化する乗り心地

トヨタ・ヤリス・クロス・プレミアエディション FWD(英国仕様)のスペック

英国価格:3万2500ポンド(約657万円)
全長:4180mm
全幅:1765mm
全高:1595mm
最高速度:175km/h
0-100km/h加速:10.7秒
燃費:20.1-20.8km/L
CO2排出量:109g/km
車両重量:1260kg
パワートレイン:直列3気筒1490cc 自然吸気+電気モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:130ps/5500rpm
最大トルク:11.8kg-m/3600-4800rpm
ギアボックス:e-CVT(前輪駆動)

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みんなのコメント

13件
  • kamo
    シートの悪さは改善された?疲れる安いシート。カローラクロスの安価版の方が金かかってる。シートは結構コストダウンになる。バネを少なくウレタンフォームでごまかす。
  • cab********
    欧州でもかなりの人気車なのに、欧州民が選ぶはずないとか言ってる人惨め過ぎておもしろい
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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