サーキット色の強い特別なミッドシップフェラーリ
フェラーリ・ジャパンは2025年6月21日、主力のミッドシップ・スーパースポーツであるフェラーリ「296」シリーズのハイパフォーマンスカー「296スペチアーレ」を日本初公開しました。
【画像】「えっ!…」これが“特別仕立てのミッドシップ・フェラーリ”の最新型「296スペチアーレ」です(30枚以上)
フェラーリとしては意外性のあるグリーンのボディカラー「ヴェルデ ニュルブルクリンク」が印象的な、日本初公開モデルの発表の場に選ばれたのは富士スピードウェイ。第10回目となるフェラーリのサーキットイベント「Ferrari Racing Days」の開催に合わせての公開となりました。
「296スペチアーレ」は、フェラーリのベルリネッタ(=クーペ)における最新のスペシャルバージョンです。
その歴史は、2003年登場の「360」シリーズをベースとした「チャレンジストラダーレ」に始まり、歴代ミッドシップモデルをベースに、これまで「430スクーデリア」、「458スペチアーレ」、「488ピスタ」が投入されてきました。
その系譜における最新モデル「296スペチアーレ」は、フェラーリのモータースポーツ活動の知見をフィードバックさせて磨かれた、サーキット色の強い特別なモデルとなっています。
目を惹くエアロパーツは、フェラーリとモータースポーツとの深い関係性を感じさせる特徴的なデザインが与えられています。
またインテリアは、黒を基調とながらも赤いバケットシートをくみあわせるなど、フェラーリらしいコーディネートとなっています。なかでも驚くべきは、シートベルトが4点式のみとなっていること。公道走行可能なモデルでありながら、サーキットで真価を発揮する存在であることを強く物語るポイントといえるでしょう。
「296スペチアーレ」の日本初公開に際して来日した、フェラーリS.p.Aのヘッド・オブ・プロダクトマーケティングのエマヌエレ・カランドさんは、「296GTB」をベースに生まれた同モデルの魅力について次のように話します。
「われわれは、オーナーの方がいつまでも愛車に乗っていたい、愛車と離れたくないと感じていただくために必要な、ドライビングエモーションを生み出す要素を理解しています。そのすべてがベースモデルを上回るべく開発された“究極の『296』”が、この『296スペチアーレ』なのです」
その上でカランドさんは、ドライビングエモーションを生み出す要素として“エンジン出力の向上”、“ダウンフォースの向上”、“軽量化”という3つのポイントの重要性について言及してくれました。
まずはエンジン性能。「296スペチアーレ」は、「296」シリーズと同様に3リッターのV6ツインターボエンジンと電気モーターを組み合わせたプラグインハイブリッドユニットを採用していますが、大幅な改良を加えることで最高出力はプラス50CVとなる880CVまで向上しています。
モーターユニットは、V6エンジンと8速DCT(デュアルクラッチ式トランスミッション)の間に収められており、クラッチ機構を介してエンジンと切り離すことでモーターだけでの走行モードも獲得しています。
国や地域の規制によって、今ではモーターでしか走行できないエリアも存在するため、最長25kmの航続距離は重要な意味を持っています。
もちろん電気モーターは、エコだけでなくパフォーマンス向上においても重要な役目を担っており、“エクストラブースト機能”と呼ばれる加速装置の実現や最高出力アップにも大きく貢献しています。
「296スペチアーレ」は、エアロダイナミクスの向上も見逃せないポイントです。
「296GTB」の美点を活かしながらレーシングカーの空力コンセプトも取り入れることで、エアロダイナミクスを大きくブラッシュアップ。「296GTB」と比べて総ダウンフォースは20%も向上しており、それは250km/hで435kgにも達します。
加えて、「FXX-K」と「296チャレンジ」の技術を融合したサイドウィングや、「296GT3」から受け継いだ印象的なフロントマスクにつながるボンネット形状なども、フェラーリがサーキットで培った知見を惜しみなく注ぎ込むことで具現したものとなっています。
徹底した軽量化のためにエンジンの素材も厳選
そんな「296スペチアーレ」で開発時に最も力が注がれたのが軽量化です。
結果、「296スペチアーレ」は「296GTB」と比べて実に60kgもの軽量化を実現していますが、ベースモデルがすでに一流のスーパースポーツカーであり、元々軽量につくられていることを考えれば、そこからの軽量化は技術もコストもさらにハイレベルなものが求められる厳しい開発となったことが予想されます。例えるならば、試合前に減量によって体を整えるボクサーのようと表現することもできるでしょう。
その結果、「296スペチアーレ」のパワーウエイトレシオは1.6kg/CVを達成。これは、後輪駆動のフェラーリ・ベルリネッタでは過去最高の記録となっています。
そうした軽量化の中でも注目に値するのが、エンジン本体の軽量化です。
「296スペチアーレ」が搭載するエンジンはベースエンジンから約9kgの軽量化を実現。それは削減された重量全体の実に15%にも及びます。
とはいえ、負荷の大きいエンジンを軽くすることは、並大抵のことではありません。しかも、専用セッティングの採用で、「296スペチアーレ」の燃焼室の負荷は「296GTB」より約7%も上昇しているのです。
そこで「296スペチアーレ」は、「F80」と同じチタン製のコネクティングロッドや窒化スチール製のクランクシャフトなどを採用。ピストン、クランクシャフト、コンロッドのアッセンブリーで2.2kgの重量削減を達成するとともに、同時にエンジンレスポンス向上にも貢献しています。
また、エンジンブロックとクランクケースには、ル・マン用マシン「499P」のエンジンと同じ手法を導入。機械加工によって贅肉を削り、1.2kgの重量削減に成功しています。
さらに、シリンダーブロックとシリンダーヘッドの結合に使われるネジやスタッドボルトは、通常はレース用のエンジンにしか使われないチタン製となっていますが、それが侮れない効果を発揮し、なんと1.9kgの軽量化につながっています。
加えてターボチャージャーは、「296チャレンジ」や「F80」と同じものを装着することで、約1.2kgの重量を削減。もしユーザーが望めば、専用オプションである軽量なチタン製テールパイプを選ぶこともできます。
このほか「296スペチアーレ」は、車重の軽量化のためにチタンやカーボンファイバーといった特殊素材を内外装に積極導入。
特にインテリアでは、シンプル化と軽量素材の採用がおこなわれており、ドアパネルさえもカーボンファイバー製となっています。そのためスピーカーユニットも、カーボンファイバーパネルに直接取りつけられているほどです。
こうしたさまざまな努力の積み重ねにより、「296スペチアーレ」はベースモデル比マイナス60kgという途方もない軽量化を達成しているのです。
フェラーリ・ジャパンの代表取締役社長であるドナート・ロマニエッロさんは、「296スペチアーレ」を「最新技術と情熱の融合が生んだ究極の作品」と形容しています。
その言葉を裏づけるように、「296スペチアーレ」は最高速330km/hを達成。さらに、0-100km/h加速は「298GTB」比でマイナス0.1秒となる2.8秒、0-200km/h加速は同マイナス0.3秒となる7.3秒、200km/hからの制動距離も同マイナス1mとなる106mとそれぞれレベルアップするとともに、フェラーリの開発テストコースであるフィオラノでのラップタイムも、同マイナス3秒という1分19秒を刻んでいます。
まさに究極の「296」と呼ぶにふさわしいフェラーリ「296スペチアーレ」は、サーキットユースにもこだわるフェラーリファンにとって待望の1台といえるでしょう。(大音安弘)
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
どう考えてもガチのVIPは乗らなそう! イカツ系カスタムの代表「VIPカー」ってなに?
新型空母「ジョン・F・ケネディ」また延期 米海軍空母は一時10隻体制に? 「11隻保有せよ」は法律!? なぜそんなに必要?
トヨタ新「ハイエース」がスゴイ! 超パワフルに進化した「商用ワゴンの皇帝」特別モデル! “20周年”を記念する「スーパーGL“DARK PRIME S”」の魅力とは!
「なんてこった…」政府専用機の“乗った人しか知り得ない情報”公開にSNSザワつく 河野太郎氏が投稿…「民間機並み」
マツダ新型「CX-5」世界初公開! 9年ぶりの全面刷新でディーゼルモデル廃止!? 「主力SUV」の“電動化”が確実なワケとは!
「セルフ式ガソリンスタンド」で大惨事! 高齢女性の“給油ミス”で「ガソリン50L」流出! 意外とよく見る“NG行為”も…知っておくべき「給油時の注意点」を元警察官が解説!
【悩ましい】クルマのボディカラー選び。リセール価格が10%高くなる場合も…プロが指摘する大切な“考え方”とは
高齢者の悲惨な自動車事故を受けてついに「踏み間違い防止装置」が義務化へ!
「セルフ式ガソリンスタンド」での“NG行為”に「意外といるよね」「見たことあるけど怖かった」「危険すぎ」「心配になる」の声も! 知らずにやっているかも!? “給油する時の注意点”に反響集まる!
JRは再編されるべき? 「612億円」の赤字が浮き彫りにするJR各社の格差──“セクショナリズム”打破のカギとは
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント