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「引退するのは初めてなので」立川節あり涙ありの引退会見「今の自分があるのはスーパーGTがあったからこそ」

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「引退するのは初めてなので」立川節あり涙ありの引退会見「今の自分があるのはスーパーGTがあったからこそ」

 8月4日、今週末に2023スーパーGT第4戦が行われる静岡県の富士スピードウェイにて、2023年シーズン限りでスーパーGTドライバーとしての活動を終えると発表したZENT CERUMO GR Supraの立川祐路がトヨタ主催の会見に出席し、今の心境と、長年在籍したトヨタ、チームセルモへの感謝を語った。

 立川の引退発表は第4戦富士大会が行われるちょうど1週間前の7月28日に、TOYOTA GAZOO Racingのプレスリリースを通じて発表。立川も自身のSNSにてこれまでの感謝をコメントしていた。まず最初に、司会のピエール北川さんによって立川のこれまでの成績が述べられ、代わって話し始めた立川は、スーパーGTのチームセルモ、トヨタへの感謝を述べた。

三度のGT500チャンピオン、立川祐路が2023年シーズン限りでのスーパーGT引退を発表

 以下、立川の記者会見でのコメント全文を紹介する。

■今の自分があるのはスーパーGTという舞台があったからこそ
 先日発表しましたとおり、今シーズン限りでスーパーGTドライバーとしての活動を引退させていただくことになりました。まずは長い間、応援してくれた方々、そして力になっていただいた方々、ありがとうございます。

 ここまでスーパーGT、そして前身である全日本GT選手権を200戦以上参戦してきました。そこまで長い間参戦することができたのも、トヨタ、TCD、セルモ、ゼント、ブリヂストンという多くの仲間たち、そして家族に支えられながらここまでやってくることができました。本当に感謝しかないです。

 人生の半分以上をスーパーGTという舞台で戦ってきたことになるので(引退は)正直、寂しい気持ちはあります。ですが、今の自分があるのも、この素晴らしいスーパーGTという舞台があったからこそです。スーパーGTでは、これまで多くの方々に応援していただき、仲間と一緒にやってくることができました。その舞台でやってこれたことは、自分にとって財産にもなっていると思います。すべてにおいて感謝しかないです。

 今回の第4戦富士を含めて残りは5レースになりますけど、最後の最後、本当に最後の1周まで全力で走るつもりでいますので、最後の1周まで、応援をよろしくお願いします。

■引退を決断したのは2023年第3戦鈴鹿

Q:まず自分の中で引退を意識し始めたのはいつごろでしょうか。また、今この記者会見の場にいることについてどんな思いでしょうか。

 年齢的なこともいろいろとあるので、当然(引退を)考えないことはないです。ただ、実際に引退を考え出したのは昨年くらいで、『進退を賭けてレースをやろう』というつもりでレースに出場していました。今回は実際にそういった決断をして発表させていただきました。正直、何と表現していいか不思議な感じはあります。なんせ引退することは初めてなので、なかなか難しい気持ちもあります。

 でも正直、(引退を)決断して、みなさんに報告するなかで、やっぱり寂しい気持ちもありました。人生の半分以上をレースに費やしてきたので、プレッシャーや責任という大変なものから解放されるという部分ももちろんありますけど、その一方で、ずっとその大変なことをしてきので、自分の生活からそれがなくなるというのは、いまだに想像しにくいですし寂しいです。

Q:引退の決断を下した時期と、その理由を教えていただけますでしょうか。

 はっきりとは言えませんが、決断を下したのは前戦の(第3戦)鈴鹿くらいです。理由については、当然人間はすべてことに始まりと終わりがあるので、いつまでも(ドライバーを)することができないことはわかっています。細かい理由もいくつかありますけど、ひとつはプロドライバーとしてやっている以上、やはり成績に責任を持たないといけませんし、昨年を含めて成績を残せていません。

 これはやはり自分の責任もあります。昨年はいろいろついてないことも多く、トラブルがあったり、クルマがうまくまとまっていないなど、いろいろな理由はもちろんありました。でも、そういった状況があったにせよ、自分のなかでは『前の自分だったら、そういった状況も自分で何とかすることができたんじゃないか』という思いが少しありました。それができないんだったら『引退はこのタイミングかな』 という思いがあり、それが自分のなかで大きかったです。

Q:今回、引退の決断をチームメイトやご家族に伝えたときの反応はいかがだったでしょうか?

 家族に関しては、昨年からそういった覚悟でやると伝えていました。実際に引退をするという話をしたときには、やはり家族ですので『僕が言いだしたら聞かない』ということは分かっているので、『残りのレースを見に行こうと思う』といった感じでした。

 チームメイトの石浦(宏明)にはスーパーフォーミュラ富士戦のときに伝えさせてもらい、『自分はそうすることにしたから、良かったら一緒にどう?』とも言いました(笑)。でも石浦は『自分はもうちょっと……』という話でしたね。(会場にいる石浦に向かって)良かったらどう? まだ間に合うよ?(会場爆笑)。

Q:先日のリリースで『最後まで自分の気持ちを尊重していただきたいと思います』と記されていましたけど、この理由を教えていただけますか。

 今回引退するという決断を下したにあたり、今回は本当に自分ひとりで決断をしました。ある意味、自分勝手に決めた引退でもあります。ですが、そのことを報告させていただいたのですけど、それにもかかわらず皆さんすごく協力してくれて『最後となる今年は良いレースをして終えることができるように』といろいろな協力をしてくれました。今日の会見もそうですし、本当に自分のためにいろいろなことをしてくださっているので、そういった意味でも本当に感謝したいです。

Q:このタイミングでの引退発表について、リリースでもありましたけど、もう少し詳しく教えてください。

 このタイミングでの発表については、今まで応援してくれた方々に、きちんと自分はそういった気持ちになったので、そのことを伝えて、ファンとともに残りのレースを一緒に戦いたいから見てほしいという思いがあったので、シーズン中になるべく早く、まだ半分も終わってないタイミングにはなりますけど、早めに発表をさせていただきました。

 そういった意味では、来年の話など何もしていない状況でした。逆に言うと、そういった状況でトヨタとTCDに自分の決断を報告させてもらったときに、当然残念に思い『来年も』と言ってくれる人もいました。それは自分としてはすごく嬉しくてありがたいですし、その言葉が聞けただけで僕は満足です。

Q:来季以降の活動について、今話せる範囲で考えていることはありますか。

 来季以降については、正確なことは何も決まっていません。というのは、まずは自分の意思を発表させていただき『将来のことはその後に話そう』という思いがありました。そうは言っても、僕からレースを取ったら何も残らないので(レースを)当然やっていきたいと思いますし、今まで長年やってきた仲間たちと何らかのかたちで一緒に仕事はしていきたいと思っています。

Q:これまでのキャリアで一番嬉しかったレースと悔しかったレース教えてください。

 正直、一番嬉しいと思っているのは“今”です。これだけ多くの方が『寂しい』と言ってくれる、それ以上の幸せは正直ないので、本当に今涙が出そうになるくらいです。ドライバーをやっていて、それほどありがたいことはないですし、今までレーシングドライバーをしてきてよかったと思います。

 いろいろなバトルをして勝ったレースはすべて嬉しいですけど、2005年最終戦の土砂降りの鈴鹿が思い出に残ってますね。予選で最多ポールポジション記録に並び、決勝での優勝で最多勝に並んでチャンピオンを獲ることができましたので、そのときの気持ちは思い出に残っています。

 悔しかったことは……これと言ってどれかひとつはないんですけども、こうして引退することになった今思うことは、そういった悔しいレースも含めていい思い出になっていると思います。

Q:これまでの長いドライバーキャリアを振り返り、あえて100点満点をつけるとしたら満点になりますか。その理由も教えてください。

 う~ん、点数は難しいですね(苦笑)。95点くらいですかね。あと 5点は、全部(のレース)を勝つことができていたら100点という気持ちになったとかそうでもないです。それを除けば、何度も言ってるように、これだけの多くの方々に支えられ、仲間たちと一緒に戦ってこれて、多くのファンや応援してくれる方々に、最後まで『寂しい』と言ってもらえるドライバー人生を送ることができたのは幸せですし、満点と言ってもいいくらいだと思います。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 会見終了後に行われた囲み取材では、引退の決断について「寂しい想いもありますが、この決断には怖ささえありました。人生を懸けてやってきたレースが自分の人生から無くなるので、自分で決められるということは幸せですが、非常に難しい決断でした」と、ひとつひとつの言葉を紡ぐようにコメントした。

 これまでのレース人生について問われると、「あっという間でした」と答え、今はまだあまり実感が湧いていない様子。最後に『立川選手にとってスーパーGTとは』と問われた立川は、「人生ですね。スーパーGTがあったから今の僕がありますし、レースやってなかったら大した人間ではなかったので、唯一僕ができたことでした」と答え、多くのメディアとゲストが集まった今回の会見を締めくくった。

 8月6日決勝日のグリッドウォークでは、セレモニーとして立川自身からファンへの挨拶が行われる予定だ。

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