現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 第3の新型シビックタイプRがS耐デビュー! のっけから優勝した衝撃のポテンシャル

ここから本文です

第3の新型シビックタイプRがS耐デビュー! のっけから優勝した衝撃のポテンシャル

掲載 4
第3の新型シビックタイプRがS耐デビュー! のっけから優勝した衝撃のポテンシャル

 この記事をまとめると

■スーパー耐久シリーズ第4戦でFIA公認モデルのFL5型シビックタイプR TCRがデビューした

これがホンダの次期型戦闘機! 2024年のスーパーGT参戦マシン「シビックタイプR-GT」を初公開

■FIA公認の本格的なレーシングカーということもあって市販モデルとはまったく別物

■予選ではST-TCRクラス1位・総合10位につけ決勝でもST-TCRクラスで優勝した

 FIA国際規定モデルとしてシビックタイプRがデビュー

 7月29~30日、大分県日田市のオートポリスで開催されたスーパー耐久シリーズ第4戦「スーパー耐久レースinオートポリス」では、先日紹介したようにMAZDA SPIRIT RACINGが、ST-Qクラスにニューマシン「MAZDA SPIRIT RACING ROADSTER CNF concept」を投入。カーボンニュートラル燃料を使用したロードスターとして多くのファンの注目を集めたが、このオートポリス戦ではもう一台、ニューマシンがレースデビューを果たしていた。

 その一台とは、M&K RacingがST-TCRクラスに投入した97号車「Racer HFDP CIVIC」にほかならない。同モデルはシビックタイプR TCRで、新型のFL5型シビックをベースにしたFIA公認モデル。文字どおり、TCR規定で開発されたマシンで、世界に先駆けてこのオートポリス戦で実戦にデビューしたのである。

 これまでも新型のFL5型シビックをベースにした競技車両はスーパー耐久で活躍しており、ホンダの社員チーム、Honda R&D Challengeが743号車「Honda R&D Challemge」をST-2クラスに投入したほか、2023年の第2戦として開催された富士24時間レースからはホンダのワークスチーム、Team HRCがST-Qクラスに271号車「CIVIC TYPE R CNF-R」で参戦してきた。

 それだけにマシンとしては珍しくないが、今大会でデビューしたシビックタイプR TCRはFIAの国際規定モデルであり、国内外を含めて同モデルのデビュー戦となっていただけに、海外からの注目度も高かったに違いない。

 もちろん、マシン開発を行ってきたイタリアのコンストラクター、JASモータースポーツにとっても貴重なデータ収集の場となっていたようで、JAFモータースポーツからエンジニアが帯同していた。

 さて、気になるマシンはFIA公認の本格的なレーシングカーということもあって、市販モデルとはまったく別物といった印象で、前後のバンパーやフェンダー、リヤウイングを含めて専用のエクステリアを採用。

 もちろん、足まわりやブレーキ、ギアボックスもレース専用の装備で、同チームでチーフエンジニアを務める菊地豊氏は、「ベース車両から引き継がれているものとしてはボディ、ルーフ、ドア、ヘッドライトユニットぐらいで、あとは専用部品です。本当に競技用のレーシングカーです」と語る。

 ちなみにM&K Racingは、以前より旧型となるFK8型シビックをベースとするシビックタイプR TCRを投入してきたが、「新型シビックでは旧型モデルのパーツを流用できるものがほとんどないぐらいすべてが新設計になっています。それに、旧型で改善して欲しかったポイントがアップデートされていますね。細い部分で言えば、エアジャッキの位置が給油口のところにあってトラブルが起きていたんですけど、その位置も変わってきました」とのこと。

 デビューレースでは2位に大差をつけてクラス優勝

 さらに「基本的なサスペンションの構成は旧型も新型も変わらないんですけど、ジオメトリーが変わっているので素直なクルマに仕上がっているし、フロントに関しても調整幅も増えたのでセッティングの幅が広がりました。こういうところを調整したいな……と思っていたところに触れられるようになったので、チームとしてはありがたいですね」と菊地氏は付け加える。

 実際、走り始めとしての印象は良く、「あまり触ってない状態でしたが、タイムも良かったし、ドライバーのフィーリングも良いので、ベース車両の素性の良さを感じますね。それに、ブリヂストンタイヤとのマッチングの良さもあるんでしょう。セッティングは安全方向に振っていたんですけど、簡単にタイムが出たな……という印象ですね」と菊地氏は好感触。

 さらに、菊地氏は「もともとシビックTCRは旧型モデルのときから“コーナリングマシン”と呼ばれるほど、コーナリング性能が高いんですけど、新型ではより曲がりやすくなっていると思います。旧型ではアンダーステアに悩まされることが多かったんですけど、新型はオーバーステアを抑える方向で調整するほど反応が良い。鈴鹿やSUGO、岡山みたいなテクニカルなコースでどこまでいけるのか、走らせてみたいですね」と分析する。

 一方で、菊地氏によれば不安要素もあるようで「もともとTCR車両はスプリントカーなので、サスペンションのアームが肉抜きされて軽量化されているんですけど、新型モデルではより軽量化されているので、耐久レースで使う場合、どうなるか気になる部分です」とのことだが、その部分はレース経験を重ね、データを収集することで明らかになってくるだろう。

 また、同モデルのステアリングを握るドライバーも好感触で、M&K Racingで97号車、Racer HFDP CIVICを駆る三井優介選手は「旧型のノウハウを活かしながら新型は作られているので、全体的に改善されているし、次世代のモデルとして洗練されてきた印象がありますね。それに新しいクルマのシェイクダウンでは不具合があったり、乗りづらさがあったりするんですけど、乗り始めから“いいクルマだな”と感じることができました。流す程度のドライビングだったんですけど、仕上がっている感じでタイムも良かった」とインプレッション。

 さらに、「これまでのFK8型モデルと比べるとFL5型はマシンのフィーリングがドライバーに伝わりやすくて、セッティングを変えれば望んだフィーリングにすぐにできるし、もともと素性の良いマシンなので、セッティングを煮詰めるとそのぶん、速くなってくれるので高いポテンシャルを秘めていると思います」と三井選手は印象を語る。

「コーナリングスピードは確実に上がっているし、乗りやすくなっているので安心して走ることができますね。それに、ブリヂストンタイヤの影響もあるのか、旧型モデルでは10周ぐらい走ると0.5秒ぐらい落ちて、もっと走ると1秒ぐらい落ちるんですけど、新型モデルはタイムが落ちないので決勝でのロングランも安定して走れると思います」と期待を寄せた三井選手。その言葉どおり、新型ベースのシビック・タイプR TCRはデビュー戦から素晴らしい走りを披露していた。

 まず、29日の予選で97号車、Racer HFDP CIVICが3分54秒961(注:AドライバーとBドライバーの合算タイム)をマークし、旧型モデルの5号車「Al’ CIVIC」の4分02秒501に大差をつけてST-TCRクラスの1位、総合10位につけたほか、30日の決勝でもRacer HFDP CIVICは141周でチェッカー。132周でチェッカーを受けたAl’ CIVICを大きく引き離してST-TCRクラスで優勝したほか、総合順位でも12位に食い込むことで、デビュー戦からパフォーマンスの高さを証明した。

 決勝中のベストラップを見ても、旧型の5号車、Al’ CIVICがマークした2分03秒108に対して新型の97号車、Racer HFDP CIVICは2分00秒406をマークするなど一発のタイムにおいても卓越したスプリント能力を披露。

 まさにデビュー戦から素晴らしいポテンシャルを発揮しただけに、FL5型の新型モデルをベースにしたシビックタイプR TCRは世界各地のTCR規定レースで猛威を発揮するに違いない。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

ヒョンデのタナクが総合首位をキープ。トヨタのエバンスとオジェが続く……勝田貴元5番手|WRCラリージャパンDAY3午後
ヒョンデのタナクが総合首位をキープ。トヨタのエバンスとオジェが続く……勝田貴元5番手|WRCラリージャパンDAY3午後
motorsport.com 日本版
岩佐歩夢の気になる去就。「F1に向いているハイブリッド思考」担当の小池エンジニアが話すローソンとの比較
岩佐歩夢の気になる去就。「F1に向いているハイブリッド思考」担当の小池エンジニアが話すローソンとの比較
AUTOSPORT web
F1ラスベガスGP FP2:好調メルセデスのハミルトンが最速。角田は初日10番手、アルピーヌやハースもトップ10入り
F1ラスベガスGP FP2:好調メルセデスのハミルトンが最速。角田は初日10番手、アルピーヌやハースもトップ10入り
AUTOSPORT web
レクサス「FRスポーツカー」がスゴイ! 5リッター「V8」&4.7m級の“美しすぎる”「流麗ボディ」採用! 豪華内装もイイ「LC」とは
レクサス「FRスポーツカー」がスゴイ! 5リッター「V8」&4.7m級の“美しすぎる”「流麗ボディ」採用! 豪華内装もイイ「LC」とは
くるまのニュース
フェルスタッペン、特化仕様のリヤウイングがなく「2戦を棒に振っている」予算の影響で2022年から”割り切り”
フェルスタッペン、特化仕様のリヤウイングがなく「2戦を棒に振っている」予算の影響で2022年から”割り切り”
motorsport.com 日本版
高性能Aクラスの集大成、メルセデスAMG『A45 S ファイナルエディション』が限定発売
高性能Aクラスの集大成、メルセデスAMG『A45 S ファイナルエディション』が限定発売
レスポンス
「いきなりステージから現れたんだ」エバンス、WRCラリージャパン“一般車両乱入事件”を語る。当該SSは安全確保のため中止に
「いきなりステージから現れたんだ」エバンス、WRCラリージャパン“一般車両乱入事件”を語る。当該SSは安全確保のため中止に
motorsport.com 日本版
ラスベガス予選で50G超大クラッシュのコラピント、決勝前に再度メディカルチェックへ。「彼の体調が何より重要」とウイリアムズ
ラスベガス予選で50G超大クラッシュのコラピント、決勝前に再度メディカルチェックへ。「彼の体調が何より重要」とウイリアムズ
motorsport.com 日本版
スバル新型「プレオ」発表に期待の声! “約100万円”の「コスパ最強」軽セダンは実用性バツグン! スバルらしい「水平対向エンジン×MT搭載」を求める声も!
スバル新型「プレオ」発表に期待の声! “約100万円”の「コスパ最強」軽セダンは実用性バツグン! スバルらしい「水平対向エンジン×MT搭載」を求める声も!
くるまのニュース
BMW、ディーゼルエンジン車8車種のリコール…最悪の場合は車両火災に
BMW、ディーゼルエンジン車8車種のリコール…最悪の場合は車両火災に
レスポンス
近藤真彦率いるKONDO RACINGを応援する2名の「リアライズガールズ」はだれ? 王道のコスチュームをカッコ可愛く着こなす2人にも注目です
近藤真彦率いるKONDO RACINGを応援する2名の「リアライズガールズ」はだれ? 王道のコスチュームをカッコ可愛く着こなす2人にも注目です
Auto Messe Web
ラリージャパンでアルピーヌA110RGTに同乗試乗! まったく別モノかと思ったら量産モデルに通じる走りだった
ラリージャパンでアルピーヌA110RGTに同乗試乗! まったく別モノかと思ったら量産モデルに通じる走りだった
WEB CARTOP
ラリージャパンで競技区間進入の一般車、スタッフの制止振り切り検問突破していたことが明らかに。実行委員会は被害届を提出予定
ラリージャパンで競技区間進入の一般車、スタッフの制止振り切り検問突破していたことが明らかに。実行委員会は被害届を提出予定
motorsport.com 日本版
ラッセル、予想外のポールポジションに歓喜。コースイン遅らせる判断が奏功「フロントロウの自信はあったけどね!」
ラッセル、予想外のポールポジションに歓喜。コースイン遅らせる判断が奏功「フロントロウの自信はあったけどね!」
motorsport.com 日本版
中型トラックの枠を超えた「超過酷仕様」!フォード レンジャー スーパーデューティ、2026年発売へ
中型トラックの枠を超えた「超過酷仕様」!フォード レンジャー スーパーデューティ、2026年発売へ
レスポンス
なんじゃこの「付け髭」感! デザイナーの意思をガン無視した「5マイルバンパー」はアリかナシか?
なんじゃこの「付け髭」感! デザイナーの意思をガン無視した「5マイルバンパー」はアリかナシか?
WEB CARTOP
超イケてる新型ムラーノをデザインのプロが分析! 個性を主張する「デジタルVモーション」の使いすぎには要注意
超イケてる新型ムラーノをデザインのプロが分析! 個性を主張する「デジタルVモーション」の使いすぎには要注意
WEB CARTOP
女性チームのアイアン・デイムスがポルシェにスイッチ。LMGT3初年度はランボルギーニを使用
女性チームのアイアン・デイムスがポルシェにスイッチ。LMGT3初年度はランボルギーニを使用
AUTOSPORT web

みんなのコメント

4件
  • 俺のブラックのFL5は、湾岸で黒い稲妻って呼ばれてるんだぜ!
  • 僕の白いタイプRターボは湾岸で白い稲妻と呼ばれているんだぜ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

499.7万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

93.0899.8万円

中古車を検索
シビックタイプRの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

499.7万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

93.0899.8万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村