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【アウディS3スポーツバック試乗】強烈かつスムーズな加速を味わう際はスピードメーターに要注意!

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【アウディS3スポーツバック試乗】強烈かつスムーズな加速を味わう際はスピードメーターに要注意!

アウディの横置きエンジンCセグメント5ドアハッチ「A3スポーツバック」。これに2.0ℓ直噴ターボエンジンと7速DCT、「クワトロ」4WDシステムを組み合わせた高性能バージョン「S3」に試乗した。PHOTO&REPORT●遠藤正賢(ENDO Masakatsu)

 アウディA3スポーツバックは端的に言えばフォルクスワーゲン・ゴルフのアウディ版であり、横置きエンジン用「MQB」プラットフォームを採用するなど、その基本設計は変わらない。

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 従ってその高性能モデルである「S3スポーツバック」のEA888型2.0ℓ直4直噴ターボエンジンや湿式の7速DCT、前後輪の駆動トルクを100:0~50:50の範囲で配分する第五世代ハルデックスカップリングと電子制御式ディファレンシャルロックを用いた4WDシステムも、ゴルフの高性能モデル「ゴルフR」とほぼ同じと言っていい。

 ただしエンジン性能は、いずれも2017年に行われたマイナーチェンジによって、日本仕様に関してはS3スポーツバックが290ps&380Nmなのに対しゴルフRは310ps&400Nmと、下克上が発生してしまっている。

 なおテスト車両は、オプションの磁性流体ダンパー「アウディマグネティックライド」や235/35R19タイヤ、ファインナッパレザーシート、各種ADASのセット「アシスタンスパッケージ」、「マトリクスLEDヘッドライト」などを装着。車両本体価格615万円に87万円分のオプションを加えた総計702万円の仕様となっていた。

 その内外装はスポーティながらあくまで上質、そしてシンプルかつ機能的。ただしフラットボトムのステアリングホイールだけは、元来乗降性に優れるA3/S3には明らかに不要な、スポーティさの演出だけのために採用されたものであり、残念と言わざるを得ない。

 さて、ゴルフRに下克上されてしまったパワートレインではあるが、1520kgの車重に対し290ps&380Nmの絶対性能が不足しているはずもなく、キレのいい7速DCTの変速制御も相まって、その加速は“強烈”の一言。しかもそれが高回転・低速域に限定されず、また「アウディドライブセレクト」を「エフィシェンシー」あるいは「ダイナミック」に設定していても、あらゆる領域で極めてスムーズに得られるものだから、特に一般道ではスピードメーターに注意する必要があるほどだ。

 またハンドリングに関しても、速度域を問わず抜群に安定しており、それがまたスピード感のなさを助長しているのだが、一方で乗り心地に関しては、「コンフォート」モードを選択しても乗員に伝わる突き上げ感が強め。また粗粒路を明確に苦手としており、速度域を問わずフロアが振動する傾向が見られた。これが標準のスポーツサスペンションと225/40R18タイヤ装着車では、果たしてどのように変わるのだろうか?

 姉妹車であるフォルクスワーゲン・ゴルフは、欧州では年内にも世代交代する可能性が高く、A3も約1年遅れでその後を追うものと思われる。なお、MQBプラットフォームは新型にも継承される見込みだが、フルモデルチェンジしたからといって、走りがより洗練されるとは限らないのが、クルマの面白くもあり難しい所。いまS3スポーツバックの購入を検討するならば、競合車種も一通り試乗したうえでなお、“待ち”か“買い”か、はたまた他の車種に行くかを真剣に悩まなければならないだろう。

【Specifications】
<アウディS3スポーツバック(F-AWD・7速DCT)>
全長×全幅×全高:4335×1785×1440mm ホイールベース:2630mm 車両重量:1520kg エンジン形式:直列4気筒DOHC直噴ターボ 排気量:1984cc ボア×ストローク:82.5×92.8mm 圧縮比:9.6 エンジン最高出力:213kW(290ps)/5400-6500rpm エンジン最大トルク:380Nm(38.8kgm)/1850-5300rpm JC08モード燃費:14.7km/L 価格:615万円

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